2025年9月17日に開催された「第2回全国ぶどう選手権」。全国各地から寄せられた62品のぶどうを評価員の野菜ソムリエたちがブラインドで審査。今もっともおいしい「ぶどう」が選ばれました。
第2回全国ぶどう選手権
バックヤードには、準備スタッフによって審査用に一粒ずつ丁寧に房から切り話されたぶどうたちが。色味や形状などぱっと見ただけでも多種多様でワクワクが止まりません。
各テーブルには審査用のぶどうがスタンバイ。評価員はA・Bの2グループに分かれ、産地・品種・生産者などの情報をすべて伏せたブラインド審査を行いました。
BグループはエントリーNo.32〜63(1品キャンセル)。
食味審査の前に味覚識別テストを行います。かなり薄い濃度の甘味・塩味・酸味・無味の4種の水溶液を判別し、正解はすべての審査が終了後に公表されます。(全問正解でひとまず安心)
公平を期すために付箋の貼られた番号から食味評価を行っていくルールです。筆者はBグループを担当。付箋の貼られている38番から順に食味評価を行っていきました。評価は10段階で平均的な味を5点、最高得点を10点として採点し、1品ずつコメントも記入していきます。青系、黒系、赤系、どれもそれぞれの品種ごとのおいしさがあり、一律に評価するのはなかなかの難しさがありました。
ひときわ存在感があったインパクトある大粒の2品。黒系の方は、皮つきでもさっくりと歯切れよく、多汁で赤ワインのような香りがしました。より大粒な赤系の方は、香り高く、さわやかな甘みとすっきりとした酸味が印象的でした。
審査終了後にすべての情報が公開されます。会場の出口には今回エントリーされたぶどうがずらり。和菓子のような、宝石のような、かわいらしい姿にハートを撃ち抜かれた野菜ソムリエたちが続出していました(笑)
今回参加した評価員の感想をご紹介します。
今回は緑、赤、黒系ぶどうが同じ土俵での審査だったので評価が難しく、またマスカット系は完熟の味わいと青みのあるおいしさをどう評価するのかも悩ましかったです。改めてぶどうのおいしさは甘さや酸味のほか、香りや食感も大事な要素であると感じました。
●松本 久美子さん(野菜ソムリエプロ)
粒揃い・個性派揃い。葡萄たちの色や果汁そして果肉の食感、五感を研ぎ澄ませ、ひと粒ひと粒のバランスを重視し評価いたしました。
●知久 幸子さん(野菜ソムリエプロ)
シャインマスカットひとつとっても千差万別で個性があって楽しかったです。黒系ぶどうが受賞され、スポットライトが当たったことを嬉しく思います。赤系ぶどうに最高点をつけましたが、今まで体感したことのない香りに一瞬で虜になりました。生産者それぞれの想いがぶどうひと粒ひと粒から伝わって来ました。
●越川 純さん(野菜ソムリエプロ)
全体的にエントリーされるぶどうのレベルがどんどん上がってきていて、どれも素晴らしいものばかり!その中で、ひとつずつ個性を見極め、評価していくのは自分でいうのもなんですが、評価員のみなさま至難の業だと思います。近年甘味が強いものが多くなっている一方で、甘味のみでなく酸味や旨み、食感も大切にしている生産者さんがいたりするのも、ホッとします。今年は果汁を含め食感や旨みにこだわった赤系ぶどうの活躍が目覚ましいと感じました。白系、赤系、黒系と、それぞれの個性もあるので、今後もいろいろな方向へのぶどうの進化が楽しみです!
審査結果は以下の通りです!
※敬称略(販売時の商品名/出品農家・団体名/生産地)
<最高金賞>
「ピオーネ」
横山果樹園
(長野県須坂市)
<評価員のコメント>
・とてもジューシーでうまみ、渋み、香りのバランスが良い。口の中に甘みと香りが残ってぶどうを食べた満足感を得ることができる。
・どっしりと濃厚な甘み。たっぷりの果汁と芳醇な香り。一粒で心豊かになるような味でした。
・味わいの濃さが秀でている。皮の渋みも味わいの奥行きを助長し多彩なインパクトを与えている。
<生産者のこだわりポイント>
毎年の土壌分析をもとに、適正な肥料を組み合わせ年々の気候に対応できるように栽培管理を行っています。
<お問い合わせ>
■全国青果物選手権HP:

タナカトウコ
野菜ソムリエプロ、ベジフルビューティーアドバイザー。薬膳や漢方の資格も複数保有し、「食」を軸に多角的に活動中。書籍に「日本野菜ソムリエ協会の人たちが本当に食べている美人食」「毎日おいしいトマトレシピ」「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」等がある。
インスタグラム toko_tanaka