菜果図録
日本だけで約300品種!いちご

 冬から春にかけて、甘酸っぱいおいしさとフルーティな香り、そして愛らしい姿で楽しませてくれる、いちごが旬を迎えます。世界各国で食べられていますが、日本では特に生食で楽しまれる割合が高いのが特徴です。国内の品種は約300といわれ、世界でも日本は品種改良が非常に盛んな国として知られています。

 2026年2月上旬には、東京と大阪の2会場で、評価は野菜ソムリエが行い、産地や品種、生産者などの情報をすべて伏せて食味して審査する「第4回 全国いちご選手権」が開催され、全国から432品のエントリーがありました。

 農林水産省が発表した令和6年産いちごの作物統計によると、出荷量1位は「とちおとめ」で名高い栃木県24,100トン、2位は「あまおう」発祥の地である福岡県13,700トン、3位は「ゆうべに」で知られる熊本県10,500トン、4位は「あきひめ」を誕生させた愛知県9,930トン、5位は「いばらキッス」などのオリジナル品種がある茨城県9,610トン、6位は「紅ほっぺ」を生んだ静岡県9,560トンと続きます。

いちごのトリビア

 日本人といちごの関わりは非常に古く、「日本書紀」や「枕草子」に野いちごが登場します。日本で本格的な栽培が始まったのは明治時代からで、1898(明治31)年に、皇室の栽培試験場である新宿植物御苑(現・新宿御苑)で、海外から取り寄せた種子から国産第1号のいちごが誕生。開発にあたった福羽逸人農学博士の名から「福羽」と名付けられたこの品種は、国産いちごの多くの品種のルーツとなりました。

 1980年代には栃木県生まれの「女峰」と福岡生まれの「とよのか」が、それぞれ東日本と西日本のいちご市場を席捲。やがて「女峰」は「とちおとめ」に、「とよのか」は「さちのか」などを経て「あまおう」へと主役が移り、全国各地で品種改良が加速していきました。

 2000年代後半には赤い色素成分アントシアニンをほとんど含まない白いちご「初恋の香り」がデビュー。2011年には桃やココナッツの香りを感じる「桃薫」が登場。今後もどんな新品種が誕生するのか、期待が高まるばかりです。

 ところで、スーパーなどの店頭では、いちごはフルーツとして扱われていますが、園芸学的には微妙な立ち位置にあります。というのも、果物は木に実る(木本性)果樹で、草に実る(草本性)ものは野菜に分類されますが、いちごは草本性だからです。そのため、すいかやメロンとともに「果実的野菜」と呼ばれています。

いちごの栄養学

 いちごに含まれる栄養素の中で、特にすぐれているのが、体内でのコラーゲンの生成や免疫力の維持に欠かせないビタミンC含有量です。100gあたり62mg含まれており、大粒のいちごなら2~3個、小粒なら7~10個ほどで、成人の1日当たりのビタミンC推奨量100mgに近い量をとることができます。
また、いちごの赤い色は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンという、すぐれた抗酸化力を持つ天然の色素成分によるものです。アンチエイジングが気になる方や、よくスポーツをする方、ストレスがたまりやすい方などは、ぜひいちごを召し上がっていただきたいと思います。

いちごの栄養学

 表面に張りとつやがあり、全体がしっかりと濃く赤く、へたの付け根まで赤く色づいていて、へたが緑色で反り返ったものを選びましょう。

 傷みやすく、日持ちしないため、できるだけ早く食べるのが基本です。保存の際は、購入したパッケージのままではなく、いちごを立てても余裕で入る密閉容器などを用意して移し替えます。密閉容器の底にキッチンペーパーを敷き、やわらかい果肉が圧迫されないように、へたを下にして並べ、乾燥防止にふんわりとラップをかけて冷蔵庫の野菜室へ。また、水分に弱いので、食べる寸前に洗ってから、へたを取るのがオススメです。

いちごシャンパンクラッシュゼリー

シャンパンの風味をそのまま生かした贅沢な大人のスイーツです。アルコール分を控えめに作るなら、シャンパンをシャンパン100 mL+サイダー100 mL、またはシャンパン150 mL+サイダー50 mLにしても。ノンアルコールで作るならシャンパン風炭酸飲料やサイダーを使い、砂糖の代わりにきび糖で色づけを。

材料(3~4人分)
いちご 12個
シャンパン 200mL
100mL
砂糖 20g
粉ゼラチン 5g
レモン果汁 小さじ1
ミントの葉 適宜
作り方
  1. 大さじ2の水を取り分けて小さめの耐熱容器に入れ、粉ゼラチンを振り入れ、ふやかしてから電子レンジ(500W)で20秒ほど温めます。
  2. 鍋に残りの水と砂糖を入れて中火にかけてよく混ぜ、砂糖が溶けて鍋の縁がフツフツとしてきたら火を止め、ふやかしたゼラチンをちぎりながら加えてよく溶かし、こし器を通しながらバットに注ぎます。
  3. 2にシャンパンを静かに注いで加え、泡が立たないように静かに混ぜ、ラップをかけて1~2時間ほど冷やし固め、固まったらスプーンで混ぜて崩します。
  4. いちごは洗ってへたを取り、キッチンペーパーでやさしく水気を拭き取り、縦4等分に切り、3に加えて軽く混ぜ、器に盛り、お好みでミントの葉などを飾ります。
*バラ科

・表面に張りとつやがあり、 全体がしっかりと濃く赤く、へたの付け根まで赤く色づいていて、へたが緑色で反り返ったものを選びます。
・種類:「あまりん」、「とちあいか」、「古都華」、「よつぼし」、「べにたま」、「かおりん」、「とちおとめ」、「いばらキッス」、「かおり野」、「かんな姫」、「紅ほっぺ」、「あまおう」、「ゆうべに」、「あきひめ」など。

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written by

堀 基子

/文・写真

野菜ソムリエ上級プロ。果物ソムリエ。J Veganist。冷凍生活アドバイザー。アスリートフードマイスター3級。ベジフルビューティーセルフアドバイザー。ジュニア青果物ブランディングマイスター。アンチエイジング・プランナー。受験フードマイスター。第6回・第8回野菜ソムリエアワード銀賞受賞。