菜果図録
専門料理店が続々登場する人気ぶり パクチー

 エスニックな香りに魅せられてしまうパクチーは、セリ科の一年草で、露地栽培のものは春から初夏にかけて旬を迎えます。東南アジアのイメージがありますが、原産地は地中海東部といわれています。
 パクチーというのはタイ語の名称で、和名はコエンドロ、中国語では香菜(シャンツァイ)、英語ではコリアンダーと呼ばれます。このコリアンダーという名の由来、じつはカメムシを表す古代ギリシャ語なのだとか。確かに、個性的な香りはカメムシの臭いに似ていると例えられることもあります。好き嫌いが分かれる香りでありながら、通称“パクチスト”と呼ばれるほど熱狂的なファンも多く、昨今パクチー料理の専門店も続々誕生し、人気を博しています。

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 パクチーに含まれる栄養素の中でも注目なのは、すぐれた抗酸化作用で知られるベータカロテン。体内でビタミンAに変換され、粘膜や皮膚を健やかに保つのに役立ちます。パクチーのベータカロテン含有率はニラや小松菜よりも多く、100gあたり4000μgも含まれています。
 そのほか、高い抗酸化力を持ち、血流改善効果が期待されるビタミンEや、出血を止める因子を活性化し、骨を丈夫にしてくれるビタミンK、体内の余分な塩分の排出を助けるカリウム、骨粗しょう症の予防や成長期には欠かせないカルシウムなども含まれており、とても健康的な野菜です。
 ちなみに、パクチーは消化促進やデトックスの働きがあるともいわれていますが、食べ過ぎるとこれらの影響が強く出るせいか、消化不良や頭痛など体の不調を起こす場合もあるようですので、くれぐれも食べ過ぎにはご注意くださいね。

選びかたと保存

 選ぶ際は、葉先にしおれや黄ばみがなくてみずみずしく、新鮮なものを。保存する場合は、乾燥しないように濡れた新聞紙で包んでからポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて保存すれば、2~3日はOKです。ただし、香りは日ごとに薄れてくるので、早めにフレッシュな香りを楽しみましょう。


パクチーたっぷりトマトのファルシ

 パクチーの緑とトマトの赤が目にも鮮やかなサラダはおもてなしにぴったり。パクチーの香りとたまねぎの風味が相性バツグンで、パクチーが苦手という方にもオススメです。

パクチーたっぷりトマトのファルシ
作り方
  1. パクチーは葉と細い茎だけを細かく刻み、たまねぎはみじん切りにし、油を切った缶詰ツナ、レモン果汁、E.V.オリーブオイル、塩こしょうを加えて混ぜます。
  2. トマトはヘタごと上部を切り落とし、中をくり抜きます。
  3. 2に1を詰めてパクチーの葉を飾ります。お好みで周囲にもパクチーを添えて。
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written by

堀 基子

/文・写真

野菜ソムリエ上級プロ。J Veganist。冷凍生活アドバイザー。アスリートフードマイスター3級。ベジフルビューティーセルフアドバイザー。ジュニア青果物ブランディングマイスター。アンチエイジング・プランナー。受験フードマイスター。第6回・第8回野菜ソムリエアワード銀賞受賞。