子どもの頃、実家でよくつくっていた「パセリ入りオリジナルコロッケ」。それが、私の思ひ出の味である。加熱したジャガイモ・豚肉・タマネギ・ニンジンを混ぜ合わせてしっかり冷ました後に、生のままみじん切りにしたパセリを混ぜる。ジャガイモ1に対してパセリは0.2の比率だった。優しくほっとする香りと味で、やわらかい食感のなかにニンジンがアクセントにもなっていた。キツネ色に揚げられた俵型のコロッケに箸を入れると、たっぷりと混ぜたパセリの緑色とニンジンの赤色の彩りが美しく、目にも楽しんで食べることが出来た。
当時、コロッケをつくる時は大量につくって知り合いにも配るのが常だった。両親と私の3人で、丸める人、粉をつける人、卵をつける人、パン粉をつける人、揚げる人と作業を分担しながら文句も言いつつ楽しく連携プレイでつくっていたものだ。一度に200個以上はつくっていたように思う。
見た目もカラフルで味のよい我が家のパセリ入りオリジナルコロッケは、「出来立ても美味しい」「冷めても美味しい」「赤と緑がきれいだね」「またお願いね」とか言われ、配った先々では大好評だった。まだ小学校低学年だった私にとって、200個以上もの大量のコロッケをつくるお手伝いはかなり大変なことだったが、みんなからとても喜ばれたのでつくり甲斐はあった。
パセリは脇役として扱われることが多い。彩りとして添えられ食べ残されることも少なくないだろう。しかし、我が家のオリジナルコロッケのように具材にたっぷりと混ぜ込めば、メイン食材にもなると思った。特にみじん切りにして使うことで緑が映え、色みも鮮やかになる。
ベジフルビューティーアドバイザーの講座を受講した際、ビタミンCは加熱によって減ってしまうことを学んだ。以来、果物と一緒にスムージーにしたり、刻んでポテトサラダに散らしたりするなど、出来るだけ加熱をせずに栄養丸ごとおいしくいただいている。
野菜は体によいとは思っていたが、具体的にどうよいのか知りたかった。そしてインターネットで「野菜」をキーワードに調べている時に見つけたのが「野菜ソムリエ」だった。資格取得後も学んだことをベースに、疑問があれば調べて教科書にまとめなおしている。野菜の学びは尽きることがない。野菜ソムリエプロとして、今後はカフェの運営を通じて野菜の魅力や食べ方を伝えていきたいと思っている。
Instagram:flower_leaf_sprout
タナカトウコ
/取材・文
野菜ソムリエプロ、ベジフルビューティーアドバイザー。薬膳や漢方の資格も複数保有し、「食」を軸に多角的に活動中。書籍に「日本野菜ソムリエ協会の人たちが本当に食べている美人食」「毎日おいしいトマトレシピ」「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」等がある。
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