フレッシュな香りと爽快な酸味で、夏によく使うイメージがあるレモンですが、近年よく見かけるようになってきた国産の黄色いレモンは冬から春にかけて旬を迎えます。国産のうち6割以上が広島県、次いで愛媛県、和歌山県で生産されており、広島県では12月から翌年の春にかけて黄色に実った露地栽培のイエローレモンが収穫され、5月に開花期を迎えた後、7~9月にハウス栽培のまだ青いグリーンレモン、10~11月に露地栽培のグリーンレモンが収穫されます。
生産量日本一の広島県でレモンが栽培されるようになったきっかけは、なんと苗木の取り違え!明治31年にネーブルの苗木を購入した際、レモンの苗木3本が混入しており、それを試植したのがはじまりなのだとか。その後、続いた栽培は、昭和39年のレモン輸入自由化を機に生産量が激減し、アメリカやチリからの輸入品が主流となりました。しかし、輸入レモンは収穫後に防かび剤が使用されることから、安全なレモンを求める声が高まり、防かび剤不使用の国産レモンの存在が見直されるようになったのです。
レモンはなんとミカンの仲間!?
レモンはおなじみのミカン科ミカン属に分類されていますが、柚子やライムと同じ香酸柑橘の仲間で、酸味が強く糖度が低いのが特徴です。そのため、フルーツとしてそのまま生食するよりも、香りのよい果汁をしぼって調理などに使います。
国産レモンの代表的な品種は「リスボン」と「ビラフランカ」で、広島県で最初に試植されたのもリスボン系だと推測され、現在、広島県で栽培されるレモンの大半が「リスボン」とのこと。他にも、アメリカのカリフォルニアでよく栽培されている「ユーレカ」、チリで栽培されている「ジェノバ」、通常のレモンの3倍ほどの大きさに育つ「ポンテローザ」、オレンジとの自然交雑で生まれた「マイヤーレモン」などの種類があります。
風邪や貧血の予防に!リラックス効果も
レモンに含まれる栄養素といえばビタミンCで、100g当たり100mgも含まれています。ビタミンCは、抗酸化力にすぐれ、コラーゲンの合成や鉄分の吸収をサポートしてくれる他、免疫力を高める働きでも知られ、風邪の予防にも役立ちます。ビタミンCは摂りだめがきかない水溶性ビタミンなので、毎日の食事で摂ることが大切です。レモンの酸っぱさのもととなる主な成分はクエン酸で、100g当たり6g含まれています。クエン酸にも鉄分の吸収を高める効果があるので、貧血が気になる方にはおすすめです。また、レモン特有の香り成分リモネンにはリラックス効果が期待できます。
レモンを使いこなす調理と保存のコツ!
店頭でレモンを選ぶ際は、色ムラがなく、ヘタが枯れておらず、果皮にツヤと張りがあり、手に持ったときに重く、弾力を感じるものは果汁が多いといわれています。皮ごと使いたいときは、できるだけ防かび剤不使用のものを選びましょう。
調理の際は、果皮の表面に塩をまぶし、手でこすり洗いし、流水でしっかりと洗い流してから使います。一度カットしたら、ラップをかけて冷蔵しても早めに使いきるべきですが、丸ごと1個はなかなか使いきれないもの。そんなときは、くし切りや輪切りにしてから、ラップで包むか食品保存袋に入れて冷凍保存を。ビタミンCや香りの損失が少なく、1カ月まで保存OKです。
レモンの爽やかな香りが食欲をそそり、魚介類の臭みも消してくれる、一石二鳥のレモン鍋。今回は牡蠣と帆立貝を使いましたが、魚や海老などにもよく合います。昆布だしを鶏がらスープに変えて、豚肉や鶏肉団子の鍋に仕立てても美味です。
- レモンは輪切りにし、白菜、水菜、長ねぎ、えのきだけ、豆腐は食べやすい大きさに切り、しいたけは石づきを取っておきます。
- 昆布だし汁500ml、酒大さじ1、薄口しょうゆ小さじ2、塩小さじ1/3を土鍋に入れ、白菜の軸の部分、長ねぎ、レモンを入れて火にかけます。ふつふつとしてきたら白菜の葉先、豆腐、きのこ類を入れ、沸騰してきたら牡蠣と帆立貝を入れ、再び沸騰したら水菜を入れて火を止めます。