菜果図録
いちごは野菜!? 果物じゃないの!?

 春を代表する人気の果物といえば、いちご。バラ科の多年草で、クリスマス頃から市場に出回りますが、露地物の旬は3月から4月にかけて。この時期のいちごは甘みが強く、価格も手頃ですから、ぜひ思いきり満喫してくださいね。
 ところで、いちごは植物として分類すると、果物ではないのをご存じでしょうか。果実は木に実るものであり、畑で作る草本性のいちごは野菜の仲間に入るのです。とはいえ、市場でも店頭でも並んでいるのは果物のエリアですし、食べ方だって果物そのもの。そのため、いちごは果実的野菜と呼ばれています。

国産いちご第1号は東京生まれ!

 東日本を代表する「とちおとめ」、赤い・丸い・大きい・うまいの頭文字なら名付けられた「あまおう」、大粒で紅色が鮮やかな「紅ほっぺ」、酸味が少なく甘みが強い「さがほのか」、とよのかとアイベリーを掛け合わせて生まれた「さちのか」、大粒で人気の「スカイベリー」など、各地で様々な品種が生産されている国産いちご。その第1号は、1898(明治31)年、皇室の栽培試験場である新宿植物御苑(現・新宿御苑)で誕生しました。開発にあたった福羽逸人農学博士の名から「福羽」と名付けられたこの品種は、現在約250種にもなるといわれる国産いちごの多くの品種のルーツとなったのだそうです。

カラダの中からキレイを応援!

 メラニン色素の生成を抑え、コラーゲンの生成にも欠かせないビタミンCは、美肌を守る大切な栄養素。ビタミンCが豊富ないちごには、100g当たり62mg含まれています。成人の1日当たりのビタミンC推奨量は100mgとされており、大粒のいちごなら2~3個、小粒なものなら7~10個を食べれば、1日分のビタミンCが摂取できます。また、いちごの赤い色はアントシアニンという色素成分によるもので、すぐれた抗酸化力はアンチエイジングの強い味方になってくれそう。ちなみに、数あるフルーツの中でも、いちごは非常に低カロリーなので、ダイエット中の方にもオススメですよ。

おいしい食べ方&選び方とは?

 いちごは、ヘタに近い部分よりも、とがった先端側が先に熟し、甘みが強くなるそうです。店頭でいちごを選ぶ際には、おなじみの三角形のものよりも、形がいびつでも、鶏冠果と呼ばれるトサカ型のものや、先端の部分が幅広い台形のものを選ぶと、より甘い部分が大きいということになります。また、日光を浴びて濃く色づいたものほど、甘みが強くなるのだとか。食べる際には、先端から食べるのではなく、ヘタに近い部分から食べ、甘みを感じやすい舌先で先端を味わうと、より甘さを楽しめるかもしれません。


切り餅でOK!電子レンジで作るいちご大福

 甘みの少ない残念ないちごを購入してしまったときは、キッチンの片すみに残った切り餅を活用して、電子レンジで簡単に作れる、いちご大福がオススメです。餅に砂糖を加えて混ぜることで、硬くなるのを防ぎます。作りたてのおいしさをお楽しみくださいね。

作り方
  1. 切り餅(50g)3個は4等分に切り、耐熱ガラス器に入れ、水大さじ3杯強を加え、ラップをかけて電子レンジ強(600W)で3分ほど加熱します。熱いうちにグラニュー糖30gを加えてよく練り混ぜます。
  2. 市販のつぶあん(こしあん、白あんなどお好みでOK)200gを8等分にして、手のひらでボール状に丸めます。いちご8個はヘタを取り除いておきます。
  3. 1の餅を8等分し、水で濡らした手のひらに取り、円盤状に広げ、2のあんをのせて包みます。
  4. 片栗粉を薄く広げたバットに3を置き、いちごをのせます。
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written by

堀 基子

/文・写真

野菜ソムリエ上級プロ。J Veganist。冷凍生活アドバイザー。アスリートフードマイスター3級。ベジフルビューティーセルフアドバイザー。ジュニア青果物ブランディングマイスター。アンチエイジング・プランナー。受験フードマイスター。第6回・第8回野菜ソムリエアワード銀賞受賞。