どこのご家庭でも必ずストックされている野菜の定番といえば、たまねぎ。ユリ科ネギ属に分類され、中央アジア原産とされています。紀元前4000年頃のエジプト王朝時代には、神聖なものとして祭壇に供えられ、食用にされたのだとか。その後、15世紀頃のヨーロッパで栽培が本格化し、日本へは江戸時代に長崎へ伝わったといわれています。明治時代の文明開化とともに、ライスカレーが愛されるようになり、たまねぎも一般に普及したのだそうです。
たまねぎは全国各地で生産されていますが、8月から3月にかけては全国の半分以上の生産量を誇る北海道、4月から7月にかけては佐賀県が出荷量のナンバーワンで、年間を通じて店頭に並んでいます。中でも、この季節ならではのお楽しみといえば、3月から5月頃にかけての期間限定で登場する新たまねぎです。甘みが強く、辛味が少ないため、サラダやスライスオニオンなどの生食にぴったりです。一方、茶色の皮に包まれたおなじみのたまねぎは、収穫後に干され、表皮を乾燥させて、保存性を高めてから出荷されます。
いくつご存じ?多彩なたまねぎ品種
もっとも多く出回っているのは黄色種の辛たまねぎで、「札幌黄」、「泉州黄」、「北もみじ」などの品種があります。保存性が高く、辛味が強いのですが、じっくり加熱することで辛味成分が甘みに変化します。新たまねぎは、「早生」や「極早生」の品種を、早どりして乾燥させずに出荷します。中でも、葉付きのまま収穫された葉たまねぎは、たまねぎと長ねぎの両方のおいしさを楽しむことができます。生食には、平たい形の「サラダタマネギ」、名前の通り真っ白な「真白」などの白たまねぎも向いています。アントシアニンという色素成分により、表皮が赤紫色をしている「アーリーレッド」や「湘南レッド」などの赤たまねぎも、サラダを彩る野菜としておなじみです。また、ピンポン玉ほどの大きさの「ペコロス」は、丸ごと煮込み料理やピクルスに使うと、愛らしい見た目に仕上がります。
ビタミンB1の吸収を促して疲労回復!
たまねぎ特有の辛みと匂いの成分は、硫化アリルの一種であるアリシンによるもの。このアリシンは、糖質のエネルギー代謝を助けるビタミンB1の吸収を促しますので、ビタミンB1を豊富に含む豚肉や大豆製品、糖質を含む炭水化物などと一緒に食べると、疲労回復に役立ちます。また、皮に多く含まれるケルセチンという成分は、抗酸化力にすぐれています。
おいしいたまねぎの選び方&保存法!
皮が乾燥してツヤがあり、首がしっかりと締まっていて、ずっしりと重いものを選びます。購入後は、涼しい季節なら風通しのよい涼しい場所でネットに入れて吊るし、暑い時期なら冷蔵庫の野菜室で保存を。カットしたものは早めに使い切るか、冷凍保存がおすすめです。
新たまねぎは、水分が多く、とても傷みやすいので、ラップでぴったりと包み、冷蔵庫の野菜室で保存し、できるだけ早めに食べきるのがポイントです。色が白く、首が締まり、切り口から新芽が伸びていないものを選びましょう。
たまねぎの甘みが引き立つ丸ごとのホイル包み焼き。じっくりとオーブンで焼き上げました。今回はタイムを添えましたが、ローズマリーなどお好みのハーブを添えてください。
- たまねぎ2個は、汚れた外の皮を取り除き、根だけを切り落とし、高さの半分程度まで4等分に皮ごと切り込みを入れます。
- 25cm角のアルミホイル2枚を用意し、その中央にたまねぎを1個ずつのせます。切り込みを軽く広げ、塩こしょう少々をふり、オリーブオイルを回しかけ、お好みのハーブ少々をはさみ、アルミホイルで包みます。
- 200℃に余熱したオーブンで30分ほど焼きます。