温州みかんをはじめ、冬の定番フルーツといえば柑橘類ですね。中でもデコポンは、ぽっこりと先端が盛り上がった愛らしい姿、濃厚でジューシーな甘み、ポンカンに似た華やかでフルーティな香り、皮のむきやすさなどで、人気を集めているブランドフルーツ。1月から5月にかけて、全国各地へ出荷されます。
実はデコポンという名前は品種名ではありません。ポンカンと清美という2種類の柑橘を交配して1972年に長崎県の果樹研究所で生まれた「不知火(しらぬい)」が、正式な品種名です。この不知火のうち、光センサーのチェックにより、糖度13度以上、クエン酸1%以下という全国統一糖酸品質基準をクリアしたものだけが、デコポンと名乗ることを許されます。ちなみにデコポンという名称は熊本県果実連の登録商標で、熊本県をはじめ、愛媛県、佐賀県、和歌山県などでも生産されています。
食べ比べてみたい!デコポンの兄弟品種
不知火という品種は、収量性が悪く、酸度が高くなりやすいため、デコポンの基準を満たす果実に育てるのは、なかなか難しいのだそうです。そこで、熊本県では、不知火にマーコットという品種を交配した熊本生まれデコポン「肥の豊(ひのゆたか)」という品種を育成し、2003年に品種登録されました。
また、不知火は枝変わり(突然変異)が発見されることもあります。鹿児島県の農園で見つかったものは2006年に「大将季(だいまさき)」の名で、愛媛県で見つかったものは2013年に「愛の香」の名で、品種登録されています。
コブがなくても大丈夫!
選ぶ際は、色ムラがなく、ずっしりと重いものを。たまに上部のコブのような盛り上がりがないものがありますが、これは栽培状況などによるもので、味に問題はないそうです。
保存は直射日光の当たらない冷暗所で、できれば1週間以内に食べきりましょう。冷蔵する場合は、乾燥を防ぐため、ポリ袋などに入れてから、冷蔵庫の野菜室へ。
ビタミンCは温州みかんの1.5倍も!
不知火100gあたりの栄養価は、免疫力アップに欠かせないビタミンCは48mgで、なんと温州みかんの1.5倍も。抗酸化力にすぐれたオレンジ色の色素成分ベータクリプトキサンチンや、体内の余分な塩分の排出を助けるカリウム、腸内環境を整えるのに役立つ食物繊維なども含まれ、とても健康的なフルーツであることが分かります。この冬、デコポンに出会ったら、ぜひ旬の味を満喫してくださいね。
熊本のデコポン生産者である野菜ソムリエプロの宮本好美さんに、いつもは捨ててしまうデコポンの皮を主役にしたマーマレードを教えていただきました。
- デコポンの皮2個分をよく洗ってから細かい千切りにし、苦味を抜くために3回ゆでこぼします。
- 水分を絞って鍋に入れ、小さくほぐしたデコポンの果肉1/2個分、砂糖300g、水400mlを加えて火にかけ、煮立ったら火を弱め、焦がさないように煮詰め、とろみがついてきたら出来上がりです。