メインディッシュの脇に添えたり、刻んで散らすだけで、ぐっと料理を引き立ててくれるパセリは、まさに食卓の名脇役。原産は地中海沿岸で、セリ科オランダゼリ属に分類されます。日本へは18世紀にオランダ船によって持ち込まれたといわれ、オランダゼリという和名にその歴史を感じます。
農林水産省が発表した令和2年産の地域特産野菜生産状況調査によれば、全国の収穫量2780トンのうち、1位が千葉県の1170トン、2位が長野県の670トン、3位が静岡県の234トンで、熊本県、香川県、福岡県などがそれに続き、北は北海道から南は沖縄まで各地で栽培されています。
主な産地となっている千葉県では10月から翌7月にかけて、長野県では5月から11月にかけて出荷されているため、年間を通じて新鮮で美味しい国産パセリが入手できるのです。
イタリアンパセリも親戚!?
鮮やかな緑色の小さな葉が集まり、モコモコとしたおなじみの形になっているパセリは、カーリーパセリとも呼ばれる縮葉種で、「グランド」、「けさお」、「カーリ・パラマウント」、「中里パセリ―」、「グリーンカール」、「瀬戸パラマウント」といった品種があります。一方、パクチーや三つ葉に似た形をしたイタリアンパセリは平葉種で、縮葉種よりも香りや苦味が柔らかくいのが特徴。日本やアメリカでは縮葉種が、ヨーロッパなどでは平葉種が主流です。
野菜界の優等生!パセリの栄養学
パセリの栄養価はとても優秀で、脇役どころか主役級の実力です。100g当たりのベータカロテンは、にんじんと肩を並べる7400μgというハイスコア。抗酸化作用にすぐれ、抵抗力を高める働きでも注目されるビタミンCは120mgで、野菜の中ではパプリカやブロッコリーに次ぐ豊富さです。止血のビタミンとも呼ばれ、丈夫な骨づくりにも役立つビタミンKは850μgで、数ある野菜の中で第1位となっています。ミネラルも非常に豊富で、貧血予防のために積極的に摂りたい鉄分は7.5mg、体内の塩分の排出を助けてくれるカリウムは1000mg、骨の健康に欠かせないカルシウムは290mgと、いずれも野菜界でもトップクラスの含有量です。ちなみに、パセリ特有の香りはアピオールという香り成分によるもので、口臭予防や食欲増進、疲労回復などの効果が期待できるといわれています。
パセリの選び方、保存法、調理のコツ!
購入の際には、葉が濃く美しい緑色で光沢があり、縮れが細かく、ふんわりとしていて、切り口が新鮮なものを選びます。葉が黄色っぽく変色したものや乾燥したものは避けましょう。保存の際は、ポリ袋に入れるか、水を入れたコップに挿して葉の部分をラップでふんわりと包み、冷蔵庫の野菜室へ。また、丸ごとポリ袋に入れて冷凍し、凍ったパセリを袋ごと手でもみ砕き、太い枝だけを取り除けば、簡単にみじん切りになり、とても便利です。調理の前には、葉の細かい縮れの中まで流水で丁寧に洗い、キッチンペーパーではさみ、しっかりと水気を取りましょう。
レバノンやシリアでは「タブーリ」、トルコでは「羊飼いのサラダ」と呼ばれ、中東でよく食べられているパセリが主役のサラダ。本来はブルグルやクスクスなどが加わりますが、今回は野菜だけで作りました。お好みでミントの葉やクミンパウダーなどを加えてもOKです。
● | パセリ | 6本 |
● | 紫たまねぎ | 1/2個 |
● | きゅうり | 1/2本 | ● | ミニトマト | 6個 |
● | オリーブオイル | 大さじ1強 |
● | レモン果汁 | 大さじ2 |
● | 塩 | 小さじ1/2 |
● | こしょう | 少々 |
- パセリの葉と紫たまねぎは粗みじん切りに、きゅうりは厚さ5ミリのいちょう切りに、ミニトマトは4等分に切ります。
- ①に塩をふって全体になじませ、オリーブオイル、レモン果汁、こしょうを加えてよく混ぜます。