猛暑が続く中、ついついエアコンに頼りがちになり、夏バテや夏風邪に悩まされていませんか。そんなときこそ6月から9月にかけて収穫期を迎える、スタミナ野菜の王者にんにくの出番です。原産地は中央アジアといわれ、古代エジプトやギリシャなどでは紀元前3000年以上にまでさかのぼり、強壮効果をもつ薬用植物として栽培されていたようです。日本へは8世紀から9世紀頃の奈良時代に、中国または朝鮮半島を経て伝来したとされています。
にんにくは従来、たまねぎ、ねぎ、らっきょうなどともにユリ科ネギ属に分類されてきましたが、新たな分類体系(DNAの塩基配列を用いて推定された系統関係を反映しているAPGに基づく)ではヒガンバナ科ネギ属に分類されています。
おなじみのにんにくは、地下茎が肥大した鱗茎という部分を食用にしていますが、近年は「にんにくの芽(茎にんにく)」や「葉にんにく」、つぼみのついた「花にんにく」も人気が高く、よく見かけるようになりました。また、熟成発酵させた「黒にんにく」は「フルーティにんにく」とも呼ばれ、しっとり柔らかな食感と甘みのある味わいで愛されています。
農林水産省の令和3年産の都道府県別の統計によれば、全国の収穫量20,200トンのうち約2/3を占める青森県が首位独走の1位で13,500トン、2位が北海道の898トン、3位が香川県の751トンで、他に岩手県、秋田県、福島県、山形県、徳島県、福岡県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県などでも生産されています。
バラエティ豊富なにんにくの種類!
主な国産の品種としては、青森産の代表格である大粒で甘みが強い「福地ホワイト六片」、赤紫色の皮が特徴的な「富良野にんにく」、山形県を中心に栽培されている「最上赤にんにく」、朝鮮半島から長崎県壱岐市に伝わったのが名前の由来という「壱州早生」、茶色がかった皮で小粒な「遠州極早生」、中国原産ながら四国や九州での栽培が増えている「上海早生」、実がやや黄色を帯びた「平戸にんにく」、主に福岡県で栽培されている「博多八片にんにく」、沖縄の在来種といわれる「島にんにく」などがあります。また、植物としてはにんにくとは別種に分類され、ジャンボリーキまたはエレファントガーリックとも呼ばれる「ジャンボにんにく」、房に分かれずに1玉が丸ごと1片になっている「プチにんにく(一片種にんにく)」、中国料理に適した中国山東省の蒼山産や金郷産の「山東にんにく」、香りも辛みも強く、イタリア料理に欠かせない「イタリアにんにく」など、にんにくの種類はとても多彩です。
特有の香りの成分アリシンで疲労回復!
にんにく特有の香りはアリシンという成分によるもので、食欲増進効果や殺菌効果に加え、糖質をエネルギーに換えるのを助けるビタミンB1の吸収を高める働きがあるため、豚肉や豆腐などビタミンB1を含む食材と一緒に摂ると、疲労回復や滋養強壮に役立ちます。また、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を助けてくれるカリウム、たんぱく質の分解や合成に関わるビタミンB6、糖をエネルギーに変換するのをサポートするビタミンB1、赤血球の形成に役立つ造血のビタミン葉酸なども含まれています。ただし、食べ過ぎると胃腸を刺激してしまう場合があり、特に生のままでは刺激が強いので、1日1~2片程度に控えた方が安心でしょう。
にんにくの選び方、保存法、調理のコツ!
購入の際は、外皮がしっかりと乾燥し、お尻にカビがなく、ずっしりと重みがあり、1片ずつの大きさが均等なものを選びます。軽いもの、外皮と実の間にすき間のあるもの、芽が伸びているものは避けましょう。風通しのよい冷暗所でも保存できますが、夏場はポリ袋に入れて冷蔵庫で保存するのがおすすめです。長期保存する際は、1片ずつ薄皮をむき、ラップで包むか食品用保存袋に密封して冷凍を。調理の際は、フライパンなどに油を熱してから入れると焦げやすいので、火にかける前から油とともに入れておき、弱火で加熱するのがポイントです。
にんにくの甘み、ほっくりとした食感が魅力の丸ごと焼き。一度に食べきれないときは、箸を付ける前に房を崩し、1粒ずつ皮をむいて、冷蔵または冷凍で保存を。食べる際は電子レンジで温め直したり、ペペロンチーノや炒飯などにアレンジするのもおすすめです。
● | にんにく | 1個 |
● | オリーブオイル | 大さじ2 |
● | 塩 | 2つまみ |
● | 粗挽きこしょう | 少々 |
● | ローズマリー | 少々 |
- にんにくの上部を切り落します。
- アルミホイルを広げ、中央に①をのせ、オリーブオイルを回しかけ、塩とこしょうをふり、ローズマリーをのせ、アルミホイルで包み、オーブントースターで10~15分ほど焼きます。
- アルミホイルの上部を開き、竹串を刺してみて、ほぼ火が通っているようであれば、アルミホイルを開けたまま焼き色が付くまで焼きます。