とりわけ暑かった今年の夏。ようやく暑さが落ち着いてくると、店頭に並ぶ野菜も少しずつ顔ぶれが変わってきますね。チンゲンサイは年間を通じて流通していますが、特に春と秋に多く出回ります。小松菜などと同じアブラナ科に属し、中国の華中・華南地域で生まれたとされている中国野菜です。日本へは1972年の日中国交回復以降に入ってきた、意外と歴史が浅い野菜で、クセのない風味やシャキシャキとした食感が日本人の舌に合い、いつしかおなじみになりました。漢字では青梗菜と書きますが、梗は中国語で植物の茎や枝を意味し、茎が緑色をしているため、この名になったのだとか。チンゲンサイの仲間で、茎が白いものは、パクチョイと呼ばれます。
農林水産省の令和3年産の都道府県別の統計によれば、北海道から沖縄県まで全国各地で生産されている中、全国の収穫量41,800トンの1/4以上を占めるのが1位の茨城県で11,700トン、2位が静岡県の7,330トン、3位が愛知県の3,010トンと続き、埼玉県、群馬県、長野県、福岡県などでも栽培されています。
中国野菜らしい名前がズラリ!
おなじみのチンゲンサイは、長さ20~25センチほどで、丸みのある葉と幅広で肉厚な茎が特徴です。販売されている種子も「青帝」、「武帝」、「青冴」、「翠勲」、「頼光」、「八仙」など、中国野菜らしい名前を多く見かけます。長さ10~15センチほどのミニチンゲンサイは、葉も茎も軟らかく、切らずに株ごと調理でき、家庭菜園の人気品種です。小松菜よりも少し太めの長い茎をした長茎チンゲンサイもあり、沖縄などで栽培されています。ちなみに、チンゲンサイは菜花もとても美味です。また、先にご紹介した茎が白いパクチョイもチンゲンサイの仲間です。
ベータカロテン豊富な緑黄色野菜!
チンゲンサイはクセのない味わいながら、その栄養価は大変すぐれています。特に注目したいのはベータカロテンで、100g当たり2000μgと非常に豊富です。ベータカロテンは体内でビタミンAに変換され、粘膜を健やかに保つのに役立つため、乾燥や風邪などで鼻やノドの粘膜の健康が気になるこれからの季節は、ぜひ積極的に食べたい緑黄色野菜の一つです。また、ベータカロテンは油と一緒にとると吸収が高まります。さらに、免疫力の維持や美肌に欠かせないビタミンCは小松菜やほうれん草よりも多く、100g当たり24mgも含まれています。他にも100g当たりに、体内の余分な塩分の排出を助けるカリウムは260mg、骨の健康に欠かせないカルシウムは100mg、赤血球の生成に関わることから造血のビタミンとも呼ばれる葉酸は66μgも含まれており、とても優秀な健康野菜です。
チンゲンサイの選び方、保存法、調理のコツ!
店頭で選ぶ際は、葉が鮮やかな緑色で黄色い変色がなく、根元に近い茎が肉厚で、ふっくらと丸みがあるものを選びます。購入後はできるだけ早く食べるのが基本ですが、保存するなら湿らせたペーパータオルや新聞紙で包んでポリ袋に入れ、根元を下にして冷蔵庫の野菜室へ。2~3日で使い切れない場合は、水洗いして水気を切り、食べやすい大きさにカットし、食品用保存袋に入れて空気を抜いて密封し、冷凍しておくと、凍ったままで汁物、お浸し、炒め物などに使えて便利です。
調理の際は茎と茎のすき間に泥が入りやすいため、しばらく水に浸けてから、流水でしっかりと洗いましょう。また、チンゲンサイはアクが少ないため、生食できます。新鮮なものが手に入ったら、ぜひサラダなどで召し上がってみてください。加熱する際も、火を通し過ぎず、手早く調理することで、シャキシャキの食感や熱に弱いビタミンCを守れます。
チンゲンサイのクセのないおいしさと、シャキシャキの食感を満喫するサラダです。今回はにんにくをすりおろしましたが、薄切りにしてカリッと焼いても美味なアクセントに。りんご酢は、ワインビネガーやレモン果汁などでもOKです。
● | チンゲンサイ(小さめ) | 2株 |
● | ミニトマト | 2個 |
● | ベーコン | 2枚 |
● | オリーブオイル | 大さじ1.5 |
● | りんご酢 | 大さじ1/2 |
● | おろしにんにく | 小さじ1/2 |
● | 塩 | ひとつまみ |
● | 粗挽きこしょう | 少々 |
- チンゲンサイはよく洗って水気をきり、3センチの長さに切り、根元は4等分に切ります。ミニトマトは半分に切ります。
- フライパンにオリーブオイルとおろしにんにくを入れて弱火にかけ、いい香りが立ってきたら1.5センチ幅に切ったベーコンを入れ、弱火でじっくり焼きます。
- ベーコンに焼き色が付いてきたら、火を止めて、りんご酢、塩、粗挽きこしょうを加えて混ぜ、再びサッと加熱し、皿に盛った①の上から回しかけ、全体を混ぜていただきます。