取材ノート
クリスマスシーズンに採れるいちごが大集結!
『クリスマスいちご選手権』に潜入。

2023年12月19日、日本野菜ソムリエ協会にて『クリスマスいちご選手権』が開催されました。
この選手権は、青果物のさらなる価値向上を目指す品評会『全国青果物選手権』として、それぞれの品目が旬をむかえる時期に合わせて開催されています。
今回主役となるいちごは収穫期が冬~初夏と長く、品種ごと最盛期も異なります。そのため、昨シーズン2月のみだった『いちご選手権』を、今シーズンは開催時期をずらして2回行なうこととし、今回はその1回目となる『クリスマスいちご選手権』に潜入した様子をレポートします。

開催前のバックヤードは大忙し。生産者から届いたいちごを1つ1つ丁寧に洗って水分をふき取り、カップに入れています。今回のエントリーは34品。シーズン最初に採れる一番果は大粒なものが多く、どれも食べ応えがありそうです。

いよいよクリスマスいちご選手権が始まります。まずは味覚チェックから。塩、砂糖、酢でかなり薄く味付けされた水を飲み比べます。毎回とても緊張しますが、これをすることで味覚が研ぎ澄まされる気がします。

こちらが今回出品された34のいちご。食味評価は産地や生産者、品種名をふせたブラインド審査で行われます。公平を期すために、ふせんが貼られた番号のものから評価をしていくことになっています。

さっそく私も、ふせんが貼ってあった2番のいちごを手に取り、評価を始めました。ふつうにおいしいと感じるものを5点とし、それに対して加減で配点する相対評価。今回はカットされた状態ではないため、色や形など、外観の美しさも評価の指標にしました。
自分好みのいちごから、好みではなくても美味しいと感じるもの、香りが強いもの、食べ応えのあるもの、果汁が溢れ出すもの、など、様々。自分の表現力の乏しさやボキャブラリーの少なさを感じながらも、限られた時間の中で味わい、評価をしました。

評価員をつとめたのは野菜ソムリエ有資格者たち。自分たちの出した評価が生産者の人生を変えることもありますから、そのプレッシャーも相当なもの。いちごの香りが漂った空間は、ペンを走らせる音だけが響き、みな真摯にいちごと向き合っていました。

食味評価が終わって外に出ると、エントリーしたいちごがずらり。評価員たちは野菜ソムリエの顔に戻り、エントリー一覧を見ながら品種や産地をチェックしたり、それぞれが気に入ったいちごの話で盛り上がったりしていました。

では結果発表です。
※敬称略(商品名/出品農家・団体名/都道府県)

最高金賞
「べにたま」北川辺いちご部

(埼玉県加須市/旧北川辺地区)

<評価員のコメント>

・甘みは強いが、味が引き締まっていておいしい。
・酸味が少なめで強い甘みを感じる。香りも良く歯触りも良い。

<生産者のこだわりポイント>

埼玉県育成品種の「べにたま」です。来シーズンの本格出荷に向け3年目の試験販売が始まりました。
収穫始めから濃厚な甘みと、さわやかな酸味で飽きの来ない食味となっています。
北川辺いちご部では高品質、食味重視の化学農薬に頼らない栽培を目指しています。
安心安全の埼玉ブランドいちごを是非お召し上がりください。

<お問い合わせ>

hokusai472@st-ja.or.jp

金賞
「あまつおとめ「よつぼし」」津インターファーム

(三重県津市)

<評価員のコメント>

・中心部までかなり赤い。美しい赤色で酸味が控えめで甘みがとても強い。
・つやのある真っ赤な見た目。中まで赤く良い香り。強い甘みを支える酸味のバランスも素晴らしい!

<生産者のこだわりポイント>

【あまつおとめ】は「五感で楽しむ至福のいちご」をコンセプトに品質をお約束したブランド名です。
食味はもちろん、安心安全面に関しても独自の厳しい基準を設けて、栽培からお客様の元へ届くまでこだわりを持っています。

<お問い合わせ>

https://www.instagram.com/tsuinterfarm

銀賞
「とちあいか」小島農園

(栃木県真岡市)

<評価員のコメント>

・甘いだけでなく酸味に支えられて甘さが際立っていてバランスが良い。適度な硬さもあり食感も楽しめる。
・果肉がジューシーでやわらかく、食べ進めるごとに香りが立って幸福感が広がる。

<生産者のこだわりポイント>

植物で言うところの土は、ヒトで言う腸に当てはまると考え、土作りに力を入れています。
海や山の自然のものを土で発酵させることで、栄養豊富でふわふわにします。
この状態が根を張りやすく、イチゴの実に甘みとハリを与え、程よい食感と味わい深さを作ります。

<お問い合わせ>

https://www.rubyonthefield.com/

銀賞
「lipの幸せ古都華」lip Berry Garden 上平和真

(奈良県五條市)

<評価員のコメント>

・甘み、酸み、香りのバランス良し!この時期にこの味が出ることに驚き!
・うっとりするようなバラのような香りで、果汁は甘く滑らかでおいしい。

<生産者のこだわりポイント>

20代若手農家として、積極的にSNSを活用し、農業の魅力を発信。
園の風景や収穫の様子を通じて、農業の日常を共有し、お客さまとのコミュニケーションを大切にしています。
そして、徹底した農薬の削減を実施。
小さなお子さまも安心して 楽しめる苺狩り園です。

<お問い合わせ>

https://www.lipberrygarden.com/

銅賞
「とちあいか」ストロベリー工房Hosoya いちご3兄弟

(栃木県真岡市)

<評価員のコメント>

・香り甘み酸味のバランスも個人的には好みの一品。
・甘みの中に酸みもしっかりある。比較的やわらかい食感。

<生産者のこだわりポイント>

土づくりからとことんこだわり独自栽培によって、糖度の高いいちごに仕上げています。
美味しいのは勿論の事、安心安全ないちご作りを常に心がけております。
お陰様で、パティシエ鎧塚俊彦さんを始めとした数多くの人気スイーツ店等で、ご使用頂いております。
とちあいかはケーキにも合う品の良い甘さです。

<お問い合わせ>

https://www.instagram.com/hosoya.ichigo_3brothers/

銅賞
「あまりん」株式会社 和銅農園

(埼玉県秩父市)

<評価員のコメント>

・香りの強さが際立つ。程よい柔らかさでみずみずしい。さっぱりしていて重くないので、いくつでも食べられそう!
・とてもジューシーで甘みが強い。爽やかな後味。

<生産者のこだわりポイント>

埼玉県限定のあまりんです。
糖度と酸味のバランスが良く限られた生産者のみの栽培となっています。

<お問い合わせ>

https://www.wado-nouen.jp/

銅賞
「あまりん」水野農園

(埼玉県加須市)

<評価員のコメント>

・完熟の甘みがやわらかい果肉と共に口に広がる。硬めが好きな方にも喜ばれそう。
・香りが強く果汁が口の中に広がる。食べ終わった後もしばらく味が残る。

<生産者のこだわりポイント>

土壌改良を繰り返し試行錯誤しながら大きさや甘味が最大限に出せるように栽培を目指しています。
また農薬をできるだけ使わないように最新の設備を導入して病害虫の発生を抑えるようにしています。

お問い合わせ

080-7010-1583

入賞(4品)

・「恋姫」株式会社 苗香屋(長野県伊那市)
・「あまつおとめ「スターナイト」」津インターファーム(三重県津市)
・「佃農園のこだわり完熟古都華」佃農園(奈良県大和郡山市)
・「佃農園のこだわり完熟奈乃華」佃農園(奈良県大和郡山市)

※敬称略(商品名/出品農家・団体名/都道府県)

受賞された生産者の皆様、おめでとうございます。
惜しくも入賞を逃された生産者の皆様、ありがとうございました。

■全国青果物選手権HP:

https://www.vege-fru.com/event/seika/

photo
written by

村上由実

/文・撮影

野菜ソムリエプロ・果物ソムリエ。
「焼肉屋の嫁が野菜ソムリエっておもしろくない?」という軽い気持ちで資格を取得した後、山梨の農産物の魅力に目覚め、フルーツを中心とした農産物のPRや地産地消の推進、食育活動などを行っている。