2024年2月7日、日本野菜ソムリエ協会にて『第2回全国いちご選手権』が開催されました。いちご選手権はこれまでに、「第1回全国いちご選手権」(2023年2月)、「クリスマスいちご選手権」(2023年12月)が実施されています。今回は全国から145品ものいちごが結集。過去最大の出品数となりました。
いちごはデリケートな果実。つぶれや傷みは食味に影響を与えてしまいます。バックヤードでは、準備班の野菜ソムリエさんたちがいちごを丁寧に取り扱いながら、迅速に準備を進めていました。
審査会場に入ると見渡す限りのいちご!いちご!いちご! 甘い香りに包まれて思わず頬が緩みました。
指定された席に着き、薄く味付けされた水を判別する味覚チェックを終えたら、いちごの食味評価に取り掛かります。今回もすべての情報がふせられたブラインド審査で行われました。枠外に置かれたカップのいちご(市販品)は、相対評価の基準用とのことでした。
評価対象のいちごはランダムにA〜Dのグループに分けられていて、一人あたり35〜39品の食味評価を担当することになっていました。評価員は食いしん坊の野菜ソムリエたちですが、それでもかなりのボリュームです。最後の1個まで集中力を切らさぬよう、みな真剣に目の前のいちごと向き合っていました。
A(エントリー番号1〜40)
B(エントリー番号41〜80)
C(エントリー番号81〜121)
D(エントリー番号122〜163)
当初予定されていたエントリー数は163品。前日の大雪の影響で配送に混乱が生じた結果、直前で泣く泣くキャンセルせざるを得なかったいちご、選手権開始間際にギリギリで到着したいちごもあったそうです。
私が割り当てられたC(エントリー番号81〜121)は、39個ものいちごを試食して評価しなければなりません。基準のいちごもカウントしたら40個です。お腹がいっぱいになると味覚も鈍ってきますから、用意されていたプラナイフで縦半分に切り、半分ずつで試食することにしました。
一巡した時点で既にお腹はたぷたぷです。しかし、評価用紙にはそれぞれの評価点とコメントのほか、最もおいしいと感じたいちごの番号も記載しなければなりません。深呼吸をして気持ちを引き締め、残りの半割いちごで最終決戦を行いました。さんざん悩んで自分の一番を決めましたが、本当に僅差の一番でした。そして食べきれなかった分は持ち帰って大切にいただきました。
では結果発表です!
※敬称略(販売時の商品名/出品農家・団体名/生産地)
最高金賞
「あまりん」市川いちご園
(埼玉県秩父市)
<評価員のコメント>
・大粒で食べ応えがありつつも、甘さと香りが芳醇
・後味もスッキリとしていて、口の中でおいしい味の余韻を長く感じることができます
<生産者のこだわりポイント>
お客様にご購入いただくときに、まず目でいちごをご堪能いただくので、果色・果形に気を使い選果しています。「あまりん」はヘタまで紅くないと本来の味わいを感じにくいので特に品質に気を使っています。秩父のおいしい水とたくさんの太陽の光を浴びて、すくすくと育ったいちごをお召し上がりください。
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金賞
「あまりん極」久米原美幸さん
(埼玉県本庄市)
<評価員のコメント>
・とてもバランスが良いと感じました!ジューシーで喉越し良く、次に甘みの余韻が残りました。食感もイイ感じでした
・甘さ・酸味・香り・食感、すべての要素が調和して秀逸な和音を奏でている。うっとりする味
<生産者のこだわりポイント>
土作りに重点を置きミネラル分たっぷりの肥料を使用し、減農薬天敵資材の導入し安心安全ないちごを栽培しております。いちごの概念を覆すほどの奥深い甘みが特徴の久米原農園の「あまりん」! ぜひ一度ご賞味下さい。
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金賞
「やよいひめ」鈴木翔太さん
(栃木県茂木町)
<評価員のコメント>
・ヘタまで甘く酸味もあるため、とてもコク高いイチゴだと思います。香りも華やかです
・淡い赤が美しく、甘い桃のような香りです。甘みが際立っていながらも、ほど良く酸味が入っていてバランスが良く、味も濃くて大満足のひと口です
<生産者のこだわりポイント>
「とねほっぺ」と「とちおとめ」を掛け合わせたやよいひめ。サイズが大きめで、果皮の色は少しオレンジがかった明るめの赤色。きれいな円錐形をしていて、果肉は硬く輸送性と日持ち性に優れます。また、甘みが強くてまろやかな味のイチゴです。茂木町で作った「やよいひめ」をぜひご賞味ください!
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金賞
「かおりん」いちご畑花園
(埼玉県深谷市)
<評価員のコメント>
・フォルムがとてもキュート♡ 香りも華やか!口の中に広がる甘酸っぱさ、後味はガツンと甘み・うまみを感じました
・小粒ながら甘みが濃く、ほど良い酸味が味を引き締めていてバランス良く、めまいがしそうな位おいしいです。桃のようなやさしい香りも好きです
<生産者のこだわりポイント>
「いちご畑花園」はいちごに適した環境に調整することで、味にこだわった栽培を実践しています。「かおりん」は姉妹品種の「あまりん」が有名で影を潜めておりますが、希少価値が高いいちごのため『幻のいちご』と言われています。名前の通り、いちごの香りが豊かで甘みと酸味が強く濃厚な味わいで、いちご通にはたまらないいちごです。
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銀賞(7品)
・「あまりん」安藤農園(埼玉県深谷市)
・「今日イチあまりん」ただかね農園(埼玉県秩父市)
・「美しの香クレオパトラ」美作農園(岡山県美作市)
・「佐藤果実工房のあまクイーン」佐藤果実工房(兵庫県西脇市)
・「あまりん」北川辺いちご部(埼玉県加須市/旧北川辺地区)
・「あまりん」農事組合法人五十嵐苺園(埼玉県本庄市)
・「U FIRM!のあまりん」株式会社ユーファーム(埼玉県本庄市)
銅賞(9品)
・「ならあかり」橋本農園(奈良県五條市)
・「中里苺園とちあいか」中里駿介さん(栃木県真岡市)
・「あまりん」ただかね農園(埼玉県秩父市)
・「佐藤果実工房のスターナイト」佐藤果実工房(兵庫県西脇市)
・「あまりん」株式会社げんき農場(埼玉県羽生市)
・「とちあいか」ストロベリー工房Hosoya いちご3兄弟(栃木県真岡市)
・「あまりん」長瀞福島農園(埼玉県秩父郡長瀞町)
・「やよいひめ」常盤 翼さん(群馬県高崎市)
・「古都華」いちごの縁F(奈良県生駒市)
入賞以降は下記サイトでご紹介しています。
https://www.vege-fru.com/event/summit/2024/feb/
受賞された生産者の皆様、おめでとうございました!
惜しくも入賞を逃された生産者の皆様、ありがとうございました!
■全国青果物選手権HP:
タナカトウコ
/取材・文・撮影
野菜ソムリエプロ、ベジフルビューティーアドバイザー。薬膳や漢方の資格も複数保有し、「食」を軸に多角的に活動中。書籍に「日本野菜ソムリエ協会の人たちが本当に食べている美人食」「毎日おいしいトマトレシピ」「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」等がある。
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