取材ノート
野菜ソムリエが選ぶ
今もっともおいしいミニトマト!

2024年5月、日本野菜ソムリエ協会にて『第3回全国ミニトマト選手権』が開催されました。全国各地の産地からエントリーされたミニトマトは102品。50名の野菜ソムリエたちが評価員となり、商品名や産地・生産者情報などがすべて伏せられたブラインドでの食味審査が行われました。

準備室を覗くと、壁一面に重ねられた準備用のカゴ、カゴ、カゴ! 圧巻のボリュームです。

野菜ソムリエは食いしん坊が多いけれど、さすがに一度に102品もの食味審査をするのはハードルが高すぎます。心配しながら審査会場に向かうと、入り口に座席表が掲示されていました。どうやらひとり34品ずつ担当するようA〜Cの3つにグループ分けがなされている様子。少しだけホッとしたのは私だけでは無いはずです…(笑)

すでに審査が始まっているレタス教室を覗いてみました。みんな真剣にミニトマトに向き合っています。

こちらは少し広めのトマト教室。静けさの中で評価シートにコメントを書く鉛筆音だけが響いていました。

さて、私もそろそろ審査に参加します。まずは味覚テストから。薄い味付けの甘味、塩味、酸味、無味の水溶液を判別します。いつも前日から刺激物を控えて、繊細な味を判別できるよう心がけてのぞんでいます。後で正解を聞いたらきちんとクリアしていました(よかった!)

次に赤い小分けカップに入ったミニトマトの味を確認。「評価基準」として配布された市販のミニトマトで、この食味を10点満点の4点と設定します。

私の席には「グループA」のミニトマトたちが用意されていました。審査は公平を期すために、それぞれ付箋が貼られている番号から始めることになっています。私の席は16番に付箋。配布された3個のうちの1個を食べてみると、小粒ながらも味わい深く非常に好みの味でした。

次は17番。見た目からして、大好きな品種「プチぷよ」っぽい。やさしい甘みと酸味、ぽよんとした食感。これも非常に好み。出だしから高評価が続きます。

1品あたり2〜3個ずつの配布がありましたが、1個ずつの試食で34品を一巡。評価シートには「一番おいしいと感じたミニトマト」も記載しなければなりません。10点をつけたミニトマトは複数あったため、残りのミニトマトで最終決戦。個体差で一巡目と印象が変わったものもあり、おかわりをいただいて迷いながらも一番を決めさせてもらいました。

グループA(エントリーNo.1〜34)

グループB(エントリーNo.35〜68)

グループC(エントリーNo.69〜103)

すべての審査を終えて廊下に出ると、全エントリーのミニトマトがずらり。商品名や産地、生産者情報などが書かれた資料なども用意されていました。

審査結果は以下の通りです!
※敬称略(販売時の商品名/出品農家・団体名/生産地)

最高金賞
「クラシックトマト『ショパン』」
SKファーム

(長野県佐久市)

<評価員のコメント>

・ジュースのような果汁で青臭さがなく、フルーツのよう
・種がほぼないように感じた。やや肉厚でとても食べやすい
・果肉が柔らかく口の中に果汁が広がり、余韻が印象的

<生産者のこだわりポイント>

糖度11~12度(年間平均)の『Classic Tomato』はクラシック音楽を聞いて育ちます。ただ甘いだけではありません。最高の『甘さ・酸味・余韻』が特徴です。スプーン1杯分の水をいつあげるのかを見極めるため、常にトマトから目を離さず栽培を行っています。

<お問い合わせ>

https://www.skfarm.net/

金賞
「さわとまと極み」 澤藤園

(東京都府中市)

※第2回全国ミニトマト選手権にて「さわとまと」で最高金賞受賞、「さわとまと極み」で金賞受賞。2年連続の上位受賞。

<評価員のコメント>

・しっかりした甘みと嚙んだ瞬間に広がる果汁
・じゅわっと口いっぱいに広がりジュースのよう
・奥深い味わいで今まで食べたことがない味。歯ざわりも良く、また食べたいと思わせてくれるトマト

<生産者のこだわりポイント>

一般的な大玉トマトと比較して、リコピン含有量が2倍といわれている品種の苗を仕入れ、統合環境制御の技術によりトマトのポテンシャルを最大限に引き出しながら栽培した、平均糖度12度以上の極めて甘みの強いフルーツトマトです。

<お問い合わせ(Instagram)>

https://www.instagram.com/sawatomato_sawatoen/

金賞
「やまきちとまと」
林農園

(三重県北牟婁郡紀北町)

<評価員のコメント>

・果肉も多いので食べごたえあり。大満足
・一口目から”おいしい!”と感じるトマト、とがりすぎていない強い甘みとうまみ
・食感も柔らかすぎず香りもよかった

<生産者のこだわりポイント>

僅かな水しか通さない特殊フィルムを使用した栽培により、トマトに水分ストレスを与えることで、トマトの持つ甘み・うまみを引き出しております。太陽の恵みと大台山系から流れ出るきれいな地下水をもとに、真っ赤でみずみずしく、糖酸度のバランスが程よいトマトが育ちました。

<お問い合わせ(メール)>

林農園(代表/林 康成) yamakichi@zc.ztv.ne.jp

金賞
「サンサントマト(サンオレンジ)」
サンサンファーム倉持

(茨城県下妻市)

<評価員のコメント>

・甘いだけじゃなく酸味や塩味もしっかりと感じられる味が濃いトマト
・食べた瞬間、口の中に濃厚な味が拡がる
・手にとった時の質量(重み)があり、味わいもまた濃厚で力強い

<生産者のこだわりポイント>

香りがよく、フルーティーな甘みがあって皮が柔らかいので、家族みんなでおやつ感覚でパクパク食べられるトマトです。当農園では、「トマトをつくる」ではなく、生き物と同様に「そだてる」を意識しています。温度管理や成長を観察し、トマトが育ちやすい環境をつくり、夫婦で心を込めて育てたトマトを食べてみてください。

<お問い合わせ(Instagram)>

https://www.instagram.com/sunsunfarmkuramochi

銀賞以降は下記にてご確認ください。
https://www.vege-fru.com/event/summit/2024/may/

受賞された生産者の皆様、おめでとうございます!
生産者の皆様、ご出品ありがとうございました!

■全国青果物選手権HP:

https://www.vege-fru.com/event/seika/

photo
written by

タナカトウコ

/取材・文・撮影

野菜ソムリエプロ、ベジフルビューティーアドバイザー。薬膳や漢方の資格も複数保有し、「食」を軸に多角的に活動中。書籍に「日本野菜ソムリエ協会の人たちが本当に食べている美人食」「毎日おいしいトマトレシピ」「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」等がある。

インスタグラム toko_tanaka