日ごとに春の気配が強くなってきた今日この頃。冬から春にかけてはブロッコリーがおいしい季節です。ブロッコリーといえば、指定野菜に追加されることになったという農林水産省のニュースが記憶に新しいのではないでしょうか。

新たな指定は1974年のじゃがいも以来およそ半世紀ぶりとのことで、2026年度から適用されます。指定野菜とは国民生活に欠かせない特に消費量の多い野菜で、価格が大きく下落した際には国が指定産地に補助金を出して生産量を確保するそうです。ブロッコリーは指定野菜に準じる特定野菜でしたが、過去10年間での生産量が増えており、他の指定野菜に比べても遜色がないと昇格が決まったのだとか。農林水産省が発表した令和5年産野菜生産出荷統計のブロッコリーの収穫量を見ると、第1位は北海道の26,600トン、第2位は埼玉県15,200トン、第3位は愛知県14,300トンで、香川県、長野県、徳島県、長崎県と続きます。ちなみに冷涼な北海道や長野県は春播き夏採り、温暖な埼玉県や愛知県は夏播き冬採りで、年間を通じて国産ブロッコリーが流通しています。
ブロッコリーの歴史と種類
ブロッコリーはキャベツや白菜と同じアブラナ科に属し、原産地は地中海沿岸で、古代ローマの時代から食用とされていたそうです。15~16世紀頃にヨーロッパに広まり、19世紀にはアメリカへ伝わり、日本へは明治時代に導入されましたが、本格的に栽培されるようになったのは1980年代からで、特にこの30年で出荷量がおよそ2倍に増えました。
葉や根や実を食べる野菜が多い中、ブロッコリーは花蕾(からい)と呼ばれるつぼみの部分を食用とします。ブロッコリー1株に約30000個ものつぼみが密集しており、収穫せずにいると、つぼみが開花し、菜の花のような花が咲きます。
ブロッコリーは世界に90種類以上あるといわれ、細い茎も美味なスティックブロッコリー、新芽の部分を食べるブロッコリースプラウトなども人気があります。定番のブロッコリーには「おはよう」、「ピクセル」、「サマードーム」、「グリーンビューティ」など様々な品種があり、中国野菜カイランとのかけ合わせで生まれた「スティックセニョール」や中国野菜サイシンとのかけ合わせで生まれた山口県生まれの「はなっこりー」などのスティックブロッコリー、新芽を食す「ブロッコリースプラウト」などもブロッコリーの仲間です。
ブロッコリーの栄養学
すぐれた栄養価から「野菜の王様」とも称されるブロッコリー。100g当たりの栄養価をチェックしてみると、免疫力の維持に欠かせないビタミンCは140mgで、数ある野菜の中でもパプリカ、芽キャベツに次ぐトップクラス。特に12月から3月にかけて収穫されるものはビタミンCの含有量が豊富です。抗酸化作用にすぐれたベータカロテンは900μg含まれ、中でも3月に収穫されるものは含有量が多く、1500μgを超えます。造血のビタミンとも呼ばれる葉酸は220μg、止血のビタミンと例えられるビタミンKは210μg、腸内環境を整えるのに役立つ水溶性食物繊維は0.9g、お通じをよくする働きが期待される不溶性食物繊維は4.3g含まれている、とても健康的な野菜です。また、タンパク質が5.4gも含まれていて、アスリート御用達の理由がここにあります。さらに、肝機能の改善効果などで注目される機能性成分スルフォラファンを含むことでも知られており、特にブロッコリースプラウトに豊富に含まれています。
ブロッコリーの選び方、保存法、調理のコツ!
購入の際は、緑色が濃く、花蕾がこんもりとして、つぼみが小さく、すき間なく詰まったものを選びます。つぼみが黄色っぽくなっているもの、茎の切り口に空洞があるものは避けましょう。また、生のままでは日持ちしないため、できるだけ早く調理すること。長く保存するなら硬めにゆでて冷凍を。紫色を帯びている場合がありますが、寒さで天然色素成分アントシアニンが生成されたためで、加熱調理すると紫の色は消えてしまいます。
調理の前には、つぼみの中に虫やゴミが入り込んでいる場合があるので、ポリ袋に入れて水を注ぎ、軽く空気を抜いて密封し、ふり洗いします。切り落とした太い茎は捨ててしまいがちですが、中はとても甘くて美味なので、硬い皮をむき、食べやすい大きさに切って、一緒に加熱調理しましょう。
加熱の際は、小房に切ってたっぷりの湯でゆでると断面からビタミンCが流出しやすくなるため、蒸すのがおすすめです。小房に切ったものを耐熱皿に並べ、水を少々回しかけ、ラップをかけて電子レンジ加熱してもOK。600Wの電子レンジなら1株で3~4分が目安です。
おなじみのアクアパッツァにブロッコリーをたっぷり加えてみたら、魚介のスープがブロッコリーにしみ込んで、それは美味な逸品に。今回の具材の他、菜の花、芽キャベツ、アスパラガス、ズッキーニ、エリンギ、マッシュルームなどの野菜もよく合います。タイムやローズマリーなどお好みのハーブを加えても。

材料(2人分)
● |
白身魚の切り身 |
4切れ |
● |
あさり |
12個 |
● |
ミニトマト |
10個 |
● |
ブロッコリー |
小1個 |
● |
にんにく |
1片 |
● |
オリーブオイル |
大さじ1 |
● |
白ワイン |
大さじ4 |
● |
水 |
大さじ4 |
● |
塩 |
小さじ1 |
● |
あらびきこしょう |
少々 |
作り方
- 白身魚の切り身2枚は塩小さじ1/2を振り、10分ほど置いてからペーパータオルで水分をふき取り、生臭みを抜きます。あさり10個は砂抜きしておきます。ミニトマトはヘタを取り除き、ブロッコリーは小房に切り分けます。
- フライパンに、オリーブオイルとにんにくを入れて中火にかけ、いい香りが立ってきたら白身魚を入れて焼きます。
- 魚に焼き色がついたら、ブロッコリー、ミニトマト、あさりを入れ、白ワインと水を加えて強火にし、アルコールを飛ばした後、ふたをして3~4分ほど蒸し焼きにして、あさりの口が開いたら残りの塩小さじ1/2とあらびきこしょうで味を調えます。