取材ノート
12月においしい「冬いちご」No.1は?
第3回クリスマスいちご選手権。

2025年12月3日、クリスマスシーズンの12月にもっともおいしいいちごを選ぶ「第3回クリスマスいちご選手権」が開催されました。

今回エントリーされたいちごは79品。会場となった東京・池袋にある武蔵野調理師専門学校のキッチンには、全国から寄せられたたくさんのいちご箱が並んでいました。いずれも生産者さんの思いがぎゅっと詰まった大切な品々です。いちごは果皮がやわらかいため、少しの衝撃でも傷んでしまいます。準備スタッフたちはひと粒ずつ丁寧に扱っていました。

会場には評価員の野菜ソムリエたちが大集結。A、B、Cのグループに分かれて、1人あたり26〜27品の審査を担当しました。審査方法は、産地・品種・生産者などすべての情報が伏せられたブラインド方式です。

まずは全評価員が「甘味・塩味・酸味・無味」の4種の水溶液を判別する味覚識別テストを受けます。体調が悪ければ、判別を間違えてしまうほどの繊細な濃度。毎回のことながら緊張します。

味覚テストを終えたら、いちごの審査に着手。筆者はBグループ27品を担当しました。全体的に大粒の傾向。最後まで集中力を維持するには、ペース配分を考えて進める必要がありそうです。

食味評価は、公平を期すために異なる場所に貼られた付箋の番号からスタート。評価は10段階で平均的な味を5点、最高得点を10点として採点し、1品ずつコメントも記入していきます。

筆者のテーブルは、エントリーNo.37に付箋が貼られていました。

ご存知の方も多いと思いますが、いちごは部位によって糖度が大きく異なります。開始時に「必ず、全体を試食してから評価してください」とアナウンスもありました。というわけで、筆者は持参したミニまな板とナイフで縦にパカーンとカット。美しい維管束に萌えながら、1/2個をひとくちでいただきました。

No.37は、しっかりした食感にたっぷりの果汁。コンデンスミルクのような濃密な甘みと程よい酸味。絶妙な糖酸バランスに華やかな香り。とても好みの味わいでした。残りの半分は、最後にひとつだけ選ぶ最終決戦のために残しておきます。

No.82 は、評価のバランスを調整するために用意された市販のいちごでした。エントリーされた他のいちごに比べると、甘みは淡く酸味は強め、果肉は硬め、香りはすっきり系でした。


他の評価員たちは、ナイフで縦カットして試食する派、感覚を大切にしてかぶりつく派など、それぞれに好みのスタイルで評価を行なっていました。



1/2個ずつの試食で評価を進め、27品の評価を完了。最後に「一番おいしいと感じたいちご」を一つだけ選ぶという任務が残っています。いちごの断面が並ぶ可愛らしさにキュンとするオタク心を鎮め、冷静になって最終決戦を行います。これがまた難しい・・・。なんとか1個を選び出し、残った1/2個ずつのいちごも生産者さんたちの熱意を感じながら完食させてもらいました。

審査終了後、すべての情報が公開されます。あれはあの品種だったのかぁ、あの産地だったのかぁとつぶやきながら、あらためて実物と向き合っている評価員も多数いました。

グループA(No.1〜27)※1品キャンセル

グループB(No.28〜54)

グループC(No.55〜81)※1品キャンセル


審査結果は以下の通りです!
※敬称略(販売時の商品名/出品農家・団体名/生産地)

<最高金賞>
「べにたま -X-」
久米原農園 8代目 美幸

(埼玉県本庄市)

※X(くれない)美幸(よしゆき)

<評価員のコメント>

・ひと口で惚れてしましました。それ位激しい感動的な出会いでした。これぞトップオブいちご!
・しっかり甘みもあり程よい酸味もあるおいしいいちご。味の濃さもしっかりあり、果汁もたっぷりで非常に好ましい風味です。鼻に抜ける香りもフルーティさが十分に感じられおいしく感じました。
・ガッツリした甘味がずっと後まで残りボリュームもある。1粒で主役になるイチゴ!

<生産者のこだわりポイント>

埼玉県が誇るべにたまいちごを一粒一粒心を込めて作りました。肥料や水分管理を徹底し、味を凝縮させ甘さを引き出させた逸品です。

<お問い合わせ>

Instagram:https://www.instagram.com/kumehara_farm/

 

銀賞以降は下記リンクからご確認ください。

https://www.vege-fru.com/event/summit/2025/dec/

ご出品いただいた生産者の皆様、ありがとうございました!

 

■全国青果物選手権HP:

https://www.vege-fru.com/event/seika/

photo
written by

タナカトウコ

/取材・文・撮影

野菜ソムリエプロ、ベジフルビューティーアドバイザー。薬膳や漢方の資格も複数保有し、「食」を軸に多角的に活動中。書籍に「日本野菜ソムリエ協会の人たちが本当に食べている美人食」「毎日おいしいトマトレシピ」「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」等がある。

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