東京・自由が丘にあるショップ「マット&ラグファクトリー」にて、キュートな野菜収納グッズを発見! その名は、Vegi mage「たてる」「つるす」「つつむ」「あらう」。それぞれの商品には、野菜をおいしく保つためのマニアックな配慮も見られます。商品開発を担当されたオカ株式会社の千原さんに開発秘話などを聞いてみました。
「Vegi mage」シリーズが誕生した経緯は?
「野菜保存の不便を解消したい!」という気持ちが、ことの発端ですね。毎日、仕事から帰って家族のごはんをつくるわけですが、その時になって「使おうと思っていた野菜が無い!」ということが度々あったんです。私は土日にまとめて買い物をしているため、野菜室の中がぐちゃぐちゃになりがちで…。野菜が傷んでしまって捨てなければならない心苦しい日もありました。
だからこそ「簡単に、正しく、野菜を保存できる商品」をつくりたいと思ったんです。野菜が手に取りやすいように収納管理できて、鮮度もキープされていれば、野菜をきちんと食べることにつながるし、野菜をたくさん食べれば健康も維持できますよね。そんな思いから、「Vegi mage(ベジマジ)」シリーズは生まれました。ネーミングは、“野菜をマジメにマネージメントする”というコンセプトに由来しています。
“野菜をマジメにマネージメント”とは! これまであったようでなかった考えですね。では、商品開発のために野菜ソムリエを受講したのですか?
そうですね。まずは私が野菜のことをきちんと知らなくちゃと思って、野菜ソムリエ講座を受けましたが、それだけでは商品開発のための知識は足りないと感じました。そこで野菜の知識と経験があり、ターゲットに近い主婦感覚と建築士の視点までも持ち合わせた野菜ソムリエプロの牧野悦子さんに監修をお願いすることにしたのです。牧野さんからは野菜の特性に基づく的確なアドバイスや情報を提供していただき、牧野さんがいなければ商品化できなかったものさえあったほどです。お願いしたよかった!と心から思いました。
それぞれの商品について開発秘話などを教えてください!
「たてる」は、アスパラガスやにんじんなどが実っている状態と同じ向きで保存することで、鮮度が保たれ、冷蔵庫もスッキリと片づく商品です。細い野菜も太い野菜も挿しやすく倒れにくいこと、野菜が傷つかないこと、食器洗浄機や乾燥機に入れられるよう耐熱性があることなどを想定して、何度も試作を重ね、デザインと素材の選定にはかなり苦労しました。
突起のパーツが2つに分かれていて、容器から取り外して洗いやすい仕様になっているのもポイントです。このサイズは、冷蔵庫のドアポケットにもすっきり収まる大きさにしてあります。
鮮度保持や衛生面での配慮までされているとは! 収納の達人ともいえる商品ですね(笑)
「つるす」は、玉ねぎ用とじゃがいも・さつまいも用の2種類があります。当初は毛糸で試作しましたが、対荷重試験をして、最終的には、風合いが良く強度もあるポリプロピレン糸を採用しました。すべてかぎ針での手編みのため職人によってゲージが異なり、ほんの少しずつサイズや雰囲気も違っていますが、それはそれで手工芸の温もりを感じていただけるかと思います。
玉ねぎは、風通しがよい場所での常温保存が最適。光が当たっても問題がないとアドバイスをもらったので、ネット状に編んで通気性をあげました。
じゃがいもやさつまいもは、日に当たると芽が出てしまうので、光を遮って常温保存。つるさずに棚においてもOKです。かわいいからとご近所バッグ用に購入される方もいらっしゃいます(笑)
こんなにかわいらしいのに耐久性も抜群とは!(驚) 手編みの温かさにもなごみますね。早速購入します(笑)
「あらう」は、サラダスピナーを洗って後片付けするのが面倒という意見から生まれました。野菜を洗い、水を切り、そのまま保存ができる商品で、ボウル、ざる、フタがセットになっています。また、ボウルはそのまま食卓へ出せるデザインになるようこだわりました。フタは、パッと見て中身がわかりやすいように、透明度の高い飽和ポリエステル樹脂を採用。いちいちフタをあけて中をチェックする面倒さを解消しました。それからこの容器は密閉する必要がないことから、カビやすいパッキンは敢えてつけず、洗いやすくしています。
ざる部分は丈夫なABS樹脂製にしました。穴の形状も試行錯誤して水切れのよいデザインを見つけました。底に足もつけているので、シンクに直置きもできます。
サラダ用野菜のマネージメントに最適な商品ですね!!
「つつむ」は、梅炭和紙の抗菌効果と調湿効果を利用して、菌によって傷みがちなキャベツなどの葉物野菜の鮮度をキープする商品です。
梅炭和紙は非常に高価なため、試作の段階で商品化は無理だと判断していました。しかし、試作品を使った牧野さんの強い要望によって一転、商品化することになったものです。最小面積の梅炭和紙で最大の効果を導き出すための縫製にはかなり試行錯誤しましたが、この「つつむ」は、今や人気商品です。
「つつむ」は本当に斬新な商品ですね! ラップと違い、洗って繰り返しつかえるエコな感じもいい。
さて、Vegi mageシリーズはどこで購入ができますか?
自由が丘の直営店の他、東急ハンズやLOFTの一部店舗でも取り扱いがあります。また、弊社サイトでも購入が可能です。どの商品も、打ち合わせ開始から1年半ほどかけて丁寧に試作を重ねた商品ですから、使い勝手には自信があります。もし見かけられましたら、是非手にとっていただけたらと思います。
今後はどのような展開を予定されていますか?
まだ着手はしていませんが、冷凍保存に適した容器などを考えてみたいですね。
冷凍庫もぐちゃぐちゃになりがちなので、それは嬉しい(笑)
新商品も楽しみにしています。
取材協力・画像提供:オカ株式会社
http://www.oka-kk.co.jp
タナカトウコ
/取材・文・人物撮影
野菜ソムリエプロ、ベジフルビューティーアドバイザー。薬膳や漢方の資格も複数保有し、「食」を軸に多角的に活動中。書籍に「日本野菜ソムリエ協会の人たちが本当に食べている美人食」「毎日おいしいトマトレシピ」「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」等がある。
ホームページ http://urahara-geidai.net/prof/tanaka/
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