取材ノート
耕作放棄地をサポート付き貸し農園に再生!
誰もが手ぶらで楽しめる「シェア畑」(後編)

前編でご紹介したサポート付き貸し農園「シェア畑」では、じつにさまざまな方が野菜づくりを楽しんでいらっしゃいます。大人でも合格率3割という難関「野菜ソムリエプロ」を最年少で突破し注目を集める小学生、緒方湊くんもそのひとり。小学1年から始めて6年目をむかえるという菜園ライフをのぞいてきました。

緒方湊くんが利用しているのは「青葉森田体験農園」。
この日はいちごが収穫期をむかえていました。

「シェア畑」を利用することになったきっかけは?

野菜が好きで、自分で育ててみたいと思ったことがきっかけです。スーパーでは食べる部分だけが売られていますが、葉っぱや種、花、どんな風に実がなるのか?など見てみたいと思いました。
 
僕は好きになると一直線。「知りたい」という思いが強くなります。もともと食べることが好きで、じつは最初に興味を持ったのは「魚」でした(笑)。日本魚検定準1級も持っています。その興味が野菜へも広がって、畑を借りることになったんです。

借りている区画には湊くんお手製の看板が。
(画像提供:緒方湊くん)

「シェア畑」は、野菜ソムリエになる前、小学1年生から利用しています。今、6年生です。広さは2種類あり、広い方を借りました。その後、もっとやってみたいと思い、現在は2区画分を借りています。両親は農家ではないので、この畑で菜園アドバイザーさんから野菜栽培の基本を教えてもらいました。

ご両親と菜園アドバイザーの門川さんに見守られながらの農作業。

どんなものを栽培していますか?

今の時期は、ジャガイモやトウモロコシ、ナス、トマト、ピーマン、キュウリ、パプリカ、エダマメ、オクラなど、夏野菜を栽培しています。

ナスの苗木のお手入れ中。

実際に栽培してみて、どんなことを感じましたか?

実際に育ててみると、虫がたくさんつくことや、天候に左右されることなど、思っていた以上に大変だと思いました。でも自分で育てた収穫したての新鮮な野菜はとてもおいしく、感動しました。畑をやってよかったと思います。特にトウモロコシやエダマメ、ソラマメなどは鮮度が命なので、収穫したては甘みがあり毎年楽しみにしています。

シェア畑は無農薬栽培。虫や病気が出ていないかをチェック。

ところで、なぜ野菜ソムリエになろうと思ったのですか?

両親に「野菜ソムリエ」という資格があるけど受けてみる?って聞かれて、受けました。野菜ソムリエの資格を取得したのは8歳11ヶ月、野菜ソムリエプロを取得したのは、10歳3ヶ月です。野菜ソムリエプロを目指すことにしたのは、野菜ソムリエアワードなどで先輩方の活躍を知り、僕はマイナー野菜や伝統野菜を広めたいと思ったからです。例えば、ヤーコンは栄養価が高くておいしいのにあまり知られていません。なぜ知られていないの?と思って調べていくうちに面白くなっていきました。
 
野菜ソムリエプロ講座の座学で得た知識は、実際に野菜を栽培することで確認しているような部分はあります。また、逆に実際に野菜を栽培していたので、座学での勉強に関してもイメージしやすく、相乗効果があったと思います。

栽培しているいちごは、「宝交早生」という品種。

シェア畑の利用はこの先も続けていく予定ですか?

続けていけたらいいと思っています。でも本当は、もっと広い農地でやってみたいです。そして将来は農家になりたいと思っています。ヤーコンのような魅力あるマイナー野菜をどんどんつくって広めていきたいし、そこの風土に合う伝統野菜の栽培にもチャレンジしていきたいと思っています。

緒方 湊くんのプロフィール
8歳で「野菜ソムリエ」、10歳で一段階上の「野菜ソムリエプロ」に合格。最年少記録を大幅に更新。いばらき大使(茨城県)、ノウラボbyマイナビ農業 アンバサダー(マイナビ)、チョクバイ!オフィシャルサポーター(ファーマーズ・ガイド 博報堂DYホールディングス)、TOKYO GROWN TOKYO LOVERS(公益財団法人東京都農林水産振興財団)。イベントやメディアに多数出演し、子ども目線から野菜・果物の魅力を伝えている。

取材協力
シェア畑運営会社 株式会社アグリメディア
https://www.sharebatake.com/

photo
written by

タナカトウコ

/取材・文・撮影

野菜ソムリエプロ、ベジフルビューティーアドバイザー。薬膳や漢方の資格も複数保有し、「食」を軸に多角的に活動中。書籍に「日本野菜ソムリエ協会の人たちが本当に食べている美人食」「毎日おいしいトマトレシピ」「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」等がある。
ホームページ http://urahara-geidai.net/prof/tanaka/
インスタグラム toko_tanaka