取材ノート
旬のりんごが大集合!
『第2回全国りんご選手権』に潜入。

2023年11月30日、日本野菜ソムリエ協会にて『第2回全国りんご選手権』が開催されました。この選手権は、青果物のさらなる価値向上を目指す品評会『全国青果物選手権』として、それぞれの品目が旬をむかえる時期に合わせて開催されています。

バックヤードをこっそり覗いてみると、全国から届いたりんごたちが静かにスタンバイしていました。今回のエントリーは21品。りんごの味わいを損ねないよう、開始直前にカットされるようです。

さて、そろそろ全国りんご選手権が始まります。まずは味覚チェックから。塩、砂糖、酢でかなり薄く味付けされた水を飲み比べ、チェックシートを提出します。これが毎回ドキドキの瞬間です。

最初に1番から11番までのりんごが配布されました。食味評価は産地や生産者、今回は品種名もふせられたブラインド審査で行われます。公平を期すために、ふせんが貼られた番号のりんごから食味評価をしていくことになっています。

評価員をつとめるのは野菜ソムリエの有資格者たち。自分たちの出した評価が生産者さんの人生を変えることもありますから責任重大です。またひとつひとつにフィードバックコメントも記入しなければなりません。会場にはシャクシャクとりんごを噛む音とペンを走らせる音だけが響いています。評価員たちは皆、真剣にりんごと向き合っていました。

私もりんごに対峙しなければ!と、ふせんが貼ってあった6番のりんごを手に取りました。ひとくちかじってみると強い甘みと酸味が口の中にあふれました。シャクシャクと小気味良い歯応えがあり、パンチのあるおいしさを感じました。評価方法は、ふつうにおいしいと感じるものを5点とし、それに対して加減で配点する相対評価です。1個目から10点(満点)をつけてしまいました。次は番号順に7番、8番と順番に食べていきましたが、どれも目を見開いてしまうほどのおいしさが続きました。

頃合いをみて12番から22番のりんごも配布されました(直前で1品辞退)。こちらもふせんが貼られた番号から評価をスタートです。私の席でふせんが貼られていたのは12番。果皮がクリーム色のりんごで、かじってみるとふだん食べ慣れているりんごとは異なる風味がしました。コンデンスミルクやココナッツミルクのようなミルキーでトロピカルな甘みと香り、酸味はマイルド。シャリ感のある食感も好みのタイプでした。続いて、13番、14番と食味評価を続けます。

今年は猛暑などの影響でりんご栽培にも大きなダメージがあったと聞いています。しかし今回エントリーされたりんごたちのクオリティが高すぎて、ただただ驚き感服するばかりでした。

食味評価が終わって外に出ると、番号順にりんごがずらり。「あのりんごはこれだったのか」と評価員たちは野菜ソムリエの顔に戻り、それぞれ楽しそうに番号をチェックしていました。

では結果発表です!
※敬称略(商品名/出品農家・団体名/都道府県)

最高金賞
「はるか」白田憲彦

(山形県朝日町)

<評価員のコメント>

・甘さがコク深く、こんなにも上品な甘さのりんごを初めて食べました
・甘みの強いりんご。果肉の硬さが丁度よい。皮がとても薄くて食べやすい

<生産者のこだわりポイント>

黄色りんごです。美味しいりんごを作るためにがんばっています。

<お問い合わせ>

https://www.instagram.com/ooyakajukumiai/
https://www.instagram.com/shiratamaniacs/

金賞
「葉取らずふじ」fumifarm/清野輝文

(山形県朝日町)

<評価員のコメント>

・甘い蜜の香りがして、濃厚なりんごジュースを飲んでいるよう
・一口食べると指にまで垂れるジューシー感。甘みと酸味のバランスもとても良い。真っ赤な色味も美しいです。

<生産者のこだわりポイント>

葉取らずで栽培することにより、糖度を高めることを目的としています。葉取らず栽培でも見た目も良くするために、反射シートや玉回し等の着色管理も通常栽培よりも多く手間をかけています。

<お問い合わせ>

http://fumifarm-yamagata.com/

銀賞
「サンふじ」白田憲彦

(山形県朝日町)

<評価員のコメント>

・ひと口噛じるとまず酸味を感じ、その後にじゅわっと甘みが広がってりんごの王道といった風格を感じます
・甘さ、酸味の濃さが丁度良い。サクッと軽やかな食感とジューシーさもあり、毎日食べたいです

<生産者のこだわりポイント>

美味しいりんごを目指してりんご栽培がんばっています。

<お問い合わせ>

https://www.instagram.com/ooyakajukumiai/
https://www.instagram.com/shiratamaniacs/

銅賞
「光選のサンふじ(蜜入り糖度14度以上)」 株式会社ファーマインド

(青森県)

<評価員のコメント>

・とにかく味が濃い!酸味が強め。ジャム、アップルパイなど、どの料理にも合いそう
・サクッとした歯ざわりが心地よい。酸味も程よくあって甘みと酸味のバランスが良い

<生産者のこだわりポイント>

光選のりんごは「いつでもおいしく安定した品質」の商品をお届けするため、光センサーによる品質チェックと糖度選別を行っています。見た目よりも味にこだわった「葉とらず栽培」でおいしく育てたりんごを1玉ずつ選別、鮮度を保つ事に力を入れています。
甘み豊かなサンふじの中でも糖度14度以上の蜜入りを厳選しました。

<お問い合わせ>

https://www.farmind.co.jp/

銅賞
「ムーンルージュ」山戸敬太

(長野県下高井郡山ノ内町)

<評価員のコメント>

・果肉の紅のさし方がまずぱっと目をひく美しさ。予想に反してしっかりとした酸味、甘み、硬さも好みです
・色鮮やかな見た目にも癒され、味も濃くてびっくりしました。
色付きの濃さが素晴らしい!!

<生産者のこだわりポイント>

現在、話題になりつつある、赤果肉りんご。その中でも、ずば抜けた食味の良さのムーンルージュ。しかし、栽培面では、紫外線や日焼けに弱く、作るのが難しい品種です!私は、りんご栽培をする中で、大事なことは外観や美しさよりも、味だと思います。硬めの肉質と、酸味、甘味のバランスが良くカンキツを思わせる味がします。

入賞(8品)

・「はるか」株式会社 丘の上ファーム(長野県豊丘村)
・「はるか」fumifarm/清野輝文 (山形県朝日町)
・「宮美ふじ」fumifarm/清野輝文 (山形県朝日町)
・「葉とらずふじ」RED APPLE 赤石農園 (青森県弘前市)
・「光選のサンふじ」株式会社ファーマインド(青森県)
・「養田さんのチャンピオンリンゴ サンふじ」株式会社大澤屋(長野県山ノ内町志賀高原)
・「葉取らずふじ」白田憲彦(山形県朝日町)
・「光選のぐんま名月」株式会社ファーマインド(青森県)

※敬称略(商品名/出品農家・団体名/都道府県)

受賞された生産者の皆様、おめでとうございました!
惜しくも入賞を逃された生産者の皆様、ありがとうございました!

■全国青果物選手権HP:

https://www.vege-fru.com/event/seika/

photo
written by

タナカトウコ

/取材・文・撮影

野菜ソムリエプロ、ベジフルビューティーアドバイザー。薬膳や漢方の資格も複数保有し、「食」を軸に多角的に活動中。書籍に「日本野菜ソムリエ協会の人たちが本当に食べている美人食」「毎日おいしいトマトレシピ」「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」等がある。
ホームページ http://urahara-geidai.net/prof/tanaka/
インスタグラム toko_tanaka