昨今、メディアで話題になることも多くなった「全国青果物選手権」(日本野菜ソムリエ協会主催)。2024年2月上旬に行われた「第2回全国いちご選手権」に続いて、2月16日に『全国焼き芋選手権』が開催されました。野菜ソムリエたちが評価員となり、エントリーされた57品から、「焼き芋」でもっともおいしい「サツマイモ」を選出します。生イモでエントリーする「サツマイモ部門」と、焼き芋に加工している商品でエントリーする「焼き芋部門」があり、2部門に分けて評価することになっていました。
今回の会場は池袋にある武蔵野調理師専門学校でした。準備中のキッチンを覗くとホイルに包まれた焼き芋がずらり。会場のオーブンで焼かれたサツマイモ部門(生イモ)の焼き芋たちでした。それにしても、ものすごい量です。
通路を抜けた先に審査会場がありました。席に着くとテーブルいっぱいに並んだ紙皿のうち、手前側の半分の紙皿にのみカットされた焼き芋が載っています。これは…、まさか…、57品全部を評価するのでしょうか???(ドキドキ)
開始時間になり、評価方法について説明がありました。やはり一人で57品全部を評価する模様。すでに配布されているのは「焼き芋部門」の32品で、「サツマイモ部門」の25品は追って配布するとのことでした。商品名や産地、生産者情報などはすべて伏せたブラインド審査で、そのおいしさを食味のみで評価します。
まずは、味覚テストから。甘味、塩味、酸味、無味の水溶液を判別します。
審査に公平を期すために、ふせんが貼られた番号の焼き芋から試食を始めるルール。私の席は6番にふせんが貼られていました。57品すべてを公平に試食するにはペース配分も大切です。途中でおなかいっぱいになって集中力が途切れてしまわないよう、気をつけながら食べ進めました。
座って評価する人、立って評価する人、それぞれがやりやすい姿勢で真剣に評価しています。
「焼き芋部門」の審査をしている間に、会場のオーブンで焼かれていた「サツマイモ部門」の焼き芋が配布されました。白い紙皿がどんどん埋まっていくと、いろいろな焼き芋を試食できるワクワク感と共に、評価員としてのプレッシャーも迫ってきます。
今回エントリーした焼き芋はどれも目を見張るほどの高糖度で、まさにスイーツレベル、いやそれ以上にさえ感じました。普段はあまりスイーツを食べないせいか、20品審査したところで早くも意識がもうろうとし始めました。まだまだ1/3地点です。お手洗いに立ったり、軽くストレッチをしたりしながら、なんとか集中を取り戻し、一品一品に向き合いました。全品の審査を終えて思ったのは、今の潮流は高糖度&ねっとり系なのだなということでした。(ホクホク好きとしては若干寂しい…)
すべて揃うと圧巻!手前の4列が「焼き芋部門」、奥の3列が「サツマイモ部門」です。
審査終了後には、商品名や産地、生産者情報などが公開されました。
では、結果発表です!
※敬称略(販売時の商品名/出品農家・団体名/生産地)
サツマイモ部門・最高金賞
「紅ハルカ」
小城農園・小城 涼さん
(熊本県阿蘇郡西原村)
<評価員のコメント>
・適度な水分量のため、水っぽさがなく、ねっとりとコクのある甘さが口いっぱいに広がる
・黄金色に透き通った美しい質感です。香りも味もコク深く、豊かな風味です
<生産者のこだわりポイント>
小城農園では、手を抜かない土作りをしています。甘さにこだわった自然の味です。ぜひ一度ご賞味ください。
<お問い合わせ>
サツマイモ部門・金賞
「潮風農法べにはるか」
つよしファーム
(新潟県新潟市)
<評価員のコメント>
・ねっとりなめらか。深いオレンジ色で蜜もたっぷり。甘さはあるが、すっきり食べられる
・黒糖のような甘み。コクがある。深みのある味。食べ応えのあるしっかり食感
<生産者のこだわりポイント>
甘くてしっとり食感の蜜いも「べにはるか」です。甘み・うまみ・香りのバランスの良さにこだわりました。
<お問い合わせ>
サツマイモ部門・金賞
「紅はるか」
池ちゃん家のおいも村
(鹿児島県志布志市)
<評価員のコメント>
・三温糖のような深みのある甘み。やや主張のある酸味。しっとり、ややほっくりな食感
・ソフトでモッチリとしている。甘さは強くはないが食感が滑らかです
<生産者のこだわりポイント>
お客様からの「美味しい」の言葉が嬉しくて、苗・畑の土作りから貯蔵までこだわり家族で心を込めて作付をしています。お芋は、口当たりに繊維が少なくなめらかで、ねっとり甘く、冷めてからももっちりとした食感に蜜がまわり甘さがのります。
<お問い合わせ>
焼き芋部門・最高金賞
「佐之衛門の焼いも あいこまち」
米川農園佐之衛門
(茨城県鉾田市)
<評価員のコメント>
・肉質はしっかりしていて芋らしさがあり、甘すぎるのが苦手な人に好まれると思う
・控え目な甘さにやや塩みを感じられ、ほのかに香るイモの香りがやさしく良かったです
<生産者のこだわりポイント>
茨城県鉾田市特有のミネラルを多く含んだ潮霧が、甘く美味しいサツマイモを育ててくれます。「あいこまち」は糖度が高く、見た目の良さから美人の代名詞である「小町」の名がついています。しっとりとした美味しさをお楽しみください。
<お問い合わせ>
焼き芋部門・金賞
「べにはるか焼き芋」
農業法人深作農園有限会社
(茨城県鉾田市)
<評価員のコメント>
・すっきりした甘みの中にコクを感じます。特に皮に近いところが香ばしさもあり美味
・なめらかでしっとりした身と、蜜がキャラメル化した皮とのバランスが絶妙
<生産者のこだわりポイント>
サツマイモ生産量日本一の茨城県鉾田市で、6代に渡りサツマイモを栽培。有機質肥料ともぐら植えにより株間を広くとり、大きく甘いサツマイモができあがります。
<お問い合わせ>
それぞれの銀賞以降は下記サイトでご紹介しています。
https://www.vege-fru.com/event/summit/2024/feb_2/
受賞された生産者の皆様、おめでとうございました!
惜しくも入賞を逃された生産者の皆様、ご出品ありがとうございました!
■全国青果物選手権HP:
タナカトウコ
/取材・文・撮影
野菜ソムリエプロ、ベジフルビューティーアドバイザー。薬膳や漢方の資格も複数保有し、「食」を軸に多角的に活動中。書籍に「日本野菜ソムリエ協会の人たちが本当に食べている美人食」「毎日おいしいトマトレシピ」「旬野菜のちから−薬膳の知恵から−」等がある。
インスタグラム toko_tanaka