2015年5月13日UP
澄んだ湧水や小川などの水辺に群生する野生のクレソンは、3月から5月にかけて、もっとも色鮮やかで柔らかく、一番おいしい旬の季節を迎えます。
アブラナ科に分類されるクレソンは、ヨーロッパ原産で、オランダ水ガラシとも呼ばれ、フランスでは14世紀に栽培が始まり、日本へは明治初年に導入。爽やかな香りとピリッとした辛みが肉料理の脂っこさを和らげてくれるため、洋食レストランのステーキやハンバーグの付け合わせに用いられるようになり、いつしかおなじみの野菜になりました。現在では、山梨県、栃木県、沖縄県など日本各地で栽培されています。
クレソン特有の辛みは、ワサビなどにも含まれるシニグリンいう成分によるもので、食欲を刺激して胃腸の働きを高め、消化吸収を促す効果があると言われています。ベータカロテン、カルシウム、カリウム、鉄、ビタミンCなども豊富な、とてもヘルシーな野菜です。
購入の際は、香りが強く、葉の緑色が濃く、茎が太過ぎないものを選ぶのがポイント。あまり日持ちしないため、保存するならコップに水を入れて茎を挿し、乾燥しないようにポリ袋をかぶせて冷蔵庫へ。水は毎日取り換え、早めに食べ切りましょう。
生のままサラダで味わうのが定番ですが、炒め物や和え物、天ぷら、お浸し、スープなど加熱しても美味なクレソン。火を通すと辛みや苦みが和らぎます。たっぷり手に入ったら、ぜひ一度しゃぶしゃぶで。豚肉との相性が抜群で、いくらでも食べてしまえるおいしさです。
作り方
クレソンは1人1束、しゃぶしゃぶ用の豚肉は1人100gを目安に。たっぷりの水で振り洗いし、茎の硬い部分を切り落としたクレソンは、豚肉で包むようにして熱湯にくぐらせ、ごまだれ、ぽん酢しょうゆなど、お好みのつけだれで。
文/写真:野菜ソムリエ 堀基子