菜果図録
注目の栄養素がいっぱい ビーツ

2016年11月22日UP
 秋が深まり、スープやシチューが恋しい季節になりました。ロシアの伝統料理ボルシチに欠かせないビーツは、秋から冬が収穫期。カブによく似た姿をしていますが、アブラナ科ではなく、ほうれん草やスイスチャードと同じヒユ科に属する野菜です。ビーツ特有の鮮やかな濃紫紅色は、ポリフェノールの一種であるベタシアニンという成分によるもので、すぐれた抗酸化力があります。最近人気が高まっているスーパーフードの赤いドラゴンフルーツにも含まれている色素成分です。

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 また、砂糖の原料となる甜菜(てんさい=別名サトウダイコン)の仲間だけあって、糖分が多く、スポーツの秋の疲労回復にはぴったり。体内の余分な塩分の排出を助けるカリウム、造血のビタミンとも呼ばれる葉酸、貧血気味の方におすすめの鉄分をはじめ、腸内の善玉菌を増やしてくれるオリゴ糖や食物繊維、肝臓に脂肪がつくのを防ぐ働きがあるといわれるベタイン、血流をよくする効果が期待されているNO(一酸化窒素)など、注目の栄養素が目白押しです。

 従来のビーツは煮込み料理や、加熱したものをサラダなどに使いますが、最近では生食してもアクが少なく、白地に赤い年輪模様が美しい「渦巻きビーツ」もよく見かけるようになりました。
 購入の際は、いびつではなく均等に丸いもの、表面に傷やヘコミが少ないものを選びます。保存するときは葉を切り落として新聞紙などで包み、冷蔵庫の野菜室へ。根は1週間以内、葉は当日のうちに調理しましょう。葉は、ほうれん草やスイスチャードと同様に、炒め物などに使えます。
 ビーツをゆでる際は、皮つきのまま鍋に入れ、ひたひたの水で火にかけます。竹串を刺して少し抵抗が残る程度にゆでて火を止め、ゆで汁に浸したまま冷めるまでおいておくと、余熱で火が通り、色よくゆで上がります。ビーツの色素が衣服に着くと非常に落ちにくいので、調理の際はご注意くださいね。

ビーツのマリネ

ビーツのマリネ

ゆでたビーツを輪切りにして、マリネするだけの簡単レシピ。食品用ポリ袋に入れて密封すれば、マリネ液は少なめでOKです。

作り方
1)ゆでたビーツ2個の皮をむき、輪切りにします。
2)オリーブオイルとバルサミコ酢を合わせ、1を漬けておく。浸ける時間はお好みで。

文/写真:野菜ソムリエ 堀基子