夏から秋にかけて、いちじくが旬を迎えます。クワ科に属するいちじくは、アラビア南部、西アジアが原産地。聖書にもっとも多く登場する果物といわれ、エデンの園で禁断の果実を口にしてしまったアダムとイブが、裸体を隠すのに用いたのもいちじくの葉でした。古代のエジプトやギリシアでも食され、その後、ペルシアからシルクロードを経て、唐の時代に中国へ伝わり、日本へは江戸時代の17世紀に伝来したといわれています。
いちじくは漢字で無花果と書きますが、文字通り、花は若い果実の中で開花します。いちじくの果実と私達が呼んでいるのは、花托と呼ばれる部分が発達し肥大したもので、その内側に詰まっている無数の粒の一つ一つが小さな花なのです。世界各地に数百もの品種があるといわれていますが、日本の市場で流通しているうちの約8割は「桝井ドーフィン」という品種。福岡発の新品種「とよみつひめ」は、高い糖度ととろけるような味わいで人気です。
いちじくには、食物繊維のペクチンや、カリウム、カルシウム、鉄などのミネラル、ビタミンC、B1、B2、B6などが含まれ、果皮には抗酸化力にすぐれたポリフェノールの一種であるアントシアニンという赤紫系の色素も含まれていて、とてもヘルシーな果物です。
選びかたと保存
選ぶ際は、ふっくらと丸く、果皮に張りがあり、切り口に白い樹液のついたものが新鮮です。傷みやすいため、購入後はポリ袋に入れて冷蔵し、早めに食べるのが基本ですが、食べきれない場合は加熱してコンポートやジャムにするのがおすすめです。
いちじくに火を入れず、生のままコンポートにしてみました。保存する場合は、いちじくを加えてから加熱し、お好みの加減に煮てから冷蔵してください。
- 白ワイン大さじ6に、粉黒糖(きび砂糖でもOK)大さじ2を加えて溶かし、火にかけてアルコールをとばします。
- いちじく3~4個は縦4等分に切り、1に浸けて、30分~1時間ほど冷蔵庫で冷やします。