菜果図録
皮ごと食べて抗酸化力UP! りんご

 野菜や果物がおいしい秋、日を追うごとに店頭を賑わす品種が増えてくるのが、りんごです。りんごはバラ科に属し、原産地はヨーロッパ東南部からアジア西部といわれ、古くから世界中で愛されてきました。日本へは明治初期に北海道開拓使が欧米から導入し、苗を青森県など各地に配布したのが栽培のスタートとなりました。農林水産省発表の平成28年産りんごの都道府県別収穫量によれば、堂々の1位は約6割を占める青森県、次いで約2割が長野県。その他、岩手県、山形県、秋田県、福島県、宮城県、秋田県などでも生産されています。

 国内で栽培されている品種は70種以上といわれ、平成27年産りんごの品種別収穫量によると、全収穫量81万1500トンのうち、ふじ53%、つがる11%、王林8%、ジョナゴールド7%、その他が21%となっています。8月から収穫が始まる極早生種の夏緑(なつみどり)や祝(いわい) 、早生種のシナノレッド、きおう、9月からは早生種のつがる、トキ、早生ふじ。10月には中生種の世界一、シナノスイート、ジョナゴールド、陸奥、王林、小型のアルプス乙女など様々な品種が最盛期を迎えます。最もポピュラーなフジは晩生種で、収穫時期は11月ごろです。
 りんごの果皮には、赤色系の色素アントシアニン、緑色系の色素クロロフィル、黄橙色系の色素カロテノイドが含まれており、そのバランスによって赤や黄色の品種になるのだとか。果皮の近くには抗酸化力にすぐれたりんごポリフェノールも多いので、ぜひ皮ごと食べましょう。ワックスのように表面をおおう成分の正体は、乾燥を防ぐために自ら分泌した、リノール酸やオレイン酸など人体に害のない不飽和脂肪酸の一種ですので、どうぞご安心ください。
 りんごは、体内の余分な塩分の排出を助けるカリウム、腸内環境を整える食物繊維などが豊富です。100g当たり54kcalと意外に低カロリーなのも嬉しいですね。

選びかたと保存

 選ぶ際は、香りや色つやがよく、お尻までよく色づき、変形がなく、軸が太いものを。新聞紙で包んでポリ袋に入れて冷蔵すると、長く鮮度を保てます。ちなみに、りんごはエチレンガスの放出量が多く、他の野菜や果物の熟成(老化)を促すため、りんごだけをポリ袋に入れて保存しましょう。逆に、早く追熟させたいアボカドやキウイなどは、りんごと一緒にポリ袋に入れておくと、早く熟します。


薔薇りんご&クリームチーズのパンカップ

 スライスして電子レンジで加熱したりんごを、花びらのように巻くだけで、美しい薔薇に! アップルパイ、ケーキ、アイスクリームに飾ったり、カップに入れて紅茶を注いでも素敵です。

作り方
  1. りんご(小)1個は皮ごと縦半分に切り、スプーンで芯をくり抜き、縦に薄くスライスします。耐熱皿に並べてレモン果汁小さじ2とシナモンシュガー少々をふり、ラップをかけ、電子レンジ(600w)強で4分ほど加熱します。
  2. サンドイッチ用パンは耳を落とし、4辺の中央あたりに2センチほど切り込みを入れ、カップ状に成形し、シナモンシュガー少々をふってトーストします。
  3. 2にクリームチーズをのせ、1を重ねて巻いて薔薇を作り、上に飾ります。
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written by

堀 基子

/文・写真

野菜ソムリエ上級プロ。J Veganist。冷凍生活アドバイザー。アスリートフードマイスター3級。ベジフルビューティーセルフアドバイザー。ジュニア青果物ブランディングマイスター。アンチエイジング・プランナー。受験フードマイスター。第6回・第8回野菜ソムリエアワード銀賞受賞。