春から初夏へと季節が移りゆく中、まるで季節の花の便りのように、南から新じゃが前線が北上します。じゃがいもの旬というと秋を思い浮かべますが、収穫期は春と秋の年2回あり、春に収穫されるものが新じゃがの名で知られています。長崎など九州では3月頃から収穫が始まり、その後、本州の産地が続き、北海道では7月頃まで新じゃがと呼ばれるそうです。
“じゃがいも”と新じゃが”の違いは?
春の新じゃがは、地上にある葉や茎がまだ緑色のうちに収穫されるため、水分が多くて柔らかく、皮が薄く、香りがよいのが特徴です。新鮮な新じゃがは皮がとても薄く柔らかいので、水洗いしながら手でこするだけで皮がむけてしまうほどです。逆に秋のじゃがいもは、葉や茎が自然に枯れた状態になってから収穫され、でんぷんなどの栄養分がぎっしりと中に蓄えられて、ほくほくとした食感になります。
新じゃがの栄養
じゃがいもはミカンに匹敵するほどビタミンCが豊富で、100g当たり35mgも含まれています。加熱に弱いビタミンCですが、じゃがいもの場合は、でんぷんに守られるため、熱に強いという特長があります。体内の余分な塩分の排出を助けてくれるカリウムも100g当たり410mgと多く、新じゃがの場合は皮ごと食べられますから食物繊維も豊富です。また、皮には抗酸化作用にすぐれたポリフェノールの一種であるクロロゲン酸も含まれています。
食中毒に注意!緑色の部分は取り除いて
一方、注意しておきたいのが、じゃがいもの食中毒。じゃがいもの芽とその根元、日光に当たって緑色になった部分には、ソラニンやチャコニンといった天然の毒素が多く含まれており、食中毒のような症状や頭痛、めまいなどを起こす場合があるそうです。加熱調理しても毒性は消せないため、調理の際は必ず周囲まで十分に取り除き、もしも苦味などを感じたら食べるのを止めましょう。
さあ、夏を迎えるまでの季節限定の味、新じゃが。煮てよし、揚げてよし、焼いてよし、皮ごと旬をお楽しみくださいね。
外はカリッと、中はしっとり、極上のフライドポテトに仕上がる簡単レシピです。小さめの新じゃがなら、カットせず、丸ごと揚げてもOKです。新じゃがならではの風味とローズマリーが香る絶品フライドポテト、ぜひお試しくださいね。
- 新じゃがはよく洗い、皮ごと4等分に切り、サッと水にさらし、水気をよく拭き取ります。
- フライパンに1を並べ、室温のオリーブオイルをかぶる程度まで注ぎ、ローズマリー1~2枝を入れ、中火にかけます。ローズマリーは揚がったら取り出しておきます。
- 新じゃがに竹串を刺してスッと通るまで揚げ、仕上げに火を強めてカラッと揚げて取り出し、器に盛り、塩とほぐしたローズマリーの葉を振ります。