夏の食卓へ爽やかな風を運んでくれる、きゅうり。クセのない爽やかな香りと、パリッとした独特の食感で愛されています。きゅうりはウリ科キュウリ属の野菜で、原産地はヒマラヤといわれ、インドでは3000年以上も前から栽培されていたそうです。日本へは10世紀ごろには伝来していたといわれ、黄瓜(きうり)と呼ばれていたのだとか。江戸時代後期から盛んに栽培されるようになりました。
品種いろいろ、きゅうり今昔
ひと昔前は、表面に白い粉をふいたようなきゅうりを見かけたことがありませんか。これは、ブドウやブルーベリーなどにもみられるブルームと呼ばれるもので、実を乾燥や雨から守るために植物が自然に生成する成分です。しかし、きゅうりの場合、一見農薬のように思われてしまうこともあり、ブルームのない品種が主流となっていきました。
また、かつては漬け物に向く黒イボ系の品種の需要が高かったのですが、サラダなど生食のニーズが増えるのとともに、生食がおいしい白イボ系の品種が主流となり、現在では市場の9割以上が白イボ系なのだそうです。
表面のしわが多く歯切れのよい四葉(すうよう)や四川(しせん)、イボなしのフリーダム、ミニサイズのラリーノやミニQ、石川県特産の加賀太、伝統的な半白きゅうりの馬込半白節成りきゅうりや相模半白節成胡瓜など、実に多彩な品種があります。
栄養が無いなんて、いわせない!
かつてはギネスブックに「世界一カロリーが低い野菜」として記録されていた、きゅうり。見た目が濃い緑色ですが、緑黄色野菜ではなく淡色野菜に分類され、栄養価が低い印象を持たれがちで、確かにカロリーは14kcalと小松菜と並ぶ低さです。しかし、鮮やかなグリーンの表皮には抗酸化力にすぐれたベータカロテンが含まれており、体内でビタミンAに変換され、粘膜や皮ふを健やかに保つのに役立ってくれます。また、体内の余分なナトリウムの排出を助けるカリウムが豊富で、利尿作用も期待できるため、むくみ対策にもおすすめです。体を冷やす効果があるといわれていますので、体がほてりやすい夏にはぜひ積極的に食べたい野菜です。
選び方、保存法、調理のポイント
購入の際は、とげがピンととがっていて、緑色が濃く、皮に張りがあり、できるだけ太さが均一なもの選びましょう。曲がっていても味に変わりはないといわれています。保存の際は、水気に弱いので、水気をしっかり拭き取り、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。ヘタを上にして立てて保存するのがポイントです。
ヘタの切り口のある側の端に苦味成分が含まれているので、調理の際に1センチほど切り捨てます。塩をまいたまな板にのせ、手でごろごろと転がす「板ずり」を行うと、青臭さが抑えられ、鮮やかな緑色になります。
フランス語で「元気にさせる」という意味をもつラビゴットソースは、たまねぎやトマト、お好みの香味野菜などを細かく刻み、オリーブオイルと酢、塩、こしょうで味を調えますが、今回はきゅうりを主役に使いました。魚の他、豚肉や鶏肉のソテー、鶏のから揚げなどに添えても美味です。
- きゅうり1本、ミニトマト5個、紫たまねぎ1/4個、パプリカ(赤・黄)各1/4個は5ミリ角に刻み、オリーブオイル大さじ1、ビネガー大さじ1、市販のハーブソルト少々を合わせたものに浸けておきます。
- 好みの魚の切り身に軽く塩こしょうをふり、オリーブオイルを熱したフライパンで、こんがりと色よく両面を焼きあげます。
- 皿に2を盛り、1のソースをかけて完成です。