年の瀬の気配が近づいてくるこの季節、れんこんが旬を迎えます。スイレン科ハス属に分類され、蓮(はす)の肥大した地下茎を食用とし、見た目が根のように見えるため、蓮根という名になったのだそうです。輪切りにした際、穴から先がよく見えることから、「先の見通しがよい」縁起物として、お正月のおせち料理に欠かせない食材とされています。ちなみに、この穴は、水面の上の空気を泥の中まで運ぶ通気口なのだとか。まずはれんこんの種類からご紹介しましょう。
主流の中国種の他、各地にブランド品も!
全国の生産量の半分近くを占めているのが茨城県で、水と湿地帯に恵まれた霞ケ浦周辺は、日本一の産地として知られています。この茨城県をはじめ、徳島県、愛知県などで生産されている主流が、明治初期に中国から導入された品種を改良した中国種です。
一方、江戸時代以前から各地に根付いているものは在来種と呼ばれ、現在では非常に希少です。加賀藩の五代目藩主の時代から栽培されてきたと伝えられる石川県の加賀れんこん、岩国藩主の支援の下で江戸時代後期から栽培されてきた山口県の岩国れんこんなど、由緒あるブランドれんこんもぜひ一度は味わってみたいものです。
ビタミンCと食物繊維の宝庫!
これからの季節、風邪の予防に欠かせないのが、免疫力アップをサポートしてくれるビタミンCですが、れんこんは100g当たり48mgも含み、温州みかんの35mgをはるかに上回っています。また、腸内環境を調えてくれる食物繊維は100g当たり2.0g、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を助けるカリウムも100g当たり440mgと、なかなかの含有量です。ちなみに、切り口がすぐに変色してしまうのは、抗酸化力にすぐれたポリフェノールの一種であるタンニンによるものです。
部位と加熱時間で変わる味わい!
芽に近い端にあたる節は、丸く小ぶりで、断面が白っぽく、若い繊維が多いため、シャキシャキとした食感で、サラダや酢の物などに向いています。2番目の節は、丸々と太く大きく、断面が白とクリーム色の中間で、ほどよい歯触りとモッチリ感が楽しめるため、きんぴらなどに適しています。3番目以降の節は細長く、断面がクリーム色で、でんぷんを多く含むため、加熱するとモチモチほくほくの食感になります。粘り気のある食感を楽しみたい、れんこん餅や煮物、揚げ物などには、この細長い節がおすすめです。また、加熱時間を短めに仕上げるとシャキシャキに、じっくり長く加熱するとモチモチほくほくの食感に仕上がります。
保存の際は、土付きのものは水で濡らしたキッチンペーパーで包んでからポリ袋に入れ、カットされたものはラップで密封して、冷蔵庫の野菜室へ。ただし、あまり日持ちしないので、早めに調理しましょう。
パリパリとした食感に、ついつい手が出る、れんこんチップス!オリーブオイルで揚げると、とてもいい香りに仕上がります。また、今回は青のりを振りましたが、お好みで、刻みパセリ、粉チーズ、カレーパウダーなどを振っても美味です。
- れんこん1節はよく洗って水気を拭き取り、スライサーで皮ごと薄切りにし、キッチンペーパーでしっかり水気を拭きとっておきます。
- オリーブオイルを160~170℃に熱し、1を入れ、こんがりと揚げます。
- よく油をきり、塩と青のりを振ります。