菜果図録
ハイビスカス似の花が咲く野菜!? オクラ

 カレンダーが7月に入り、食卓にも夏野菜の登場回数がぐっと増えてきましたね。きゅうり、なす、ゴーヤーなど、数ある夏野菜の中でも、近年その健康効果で注目を集めているのがオクラです。オクラはハイビスカスと同じアオイ科に属するため、よく似た美しいクリーム色の花を咲かせます。原産地はアフリカ北東部といわれ、エジプトでは紀元前から栽培されていたそうです。ちなみに、オクラの英名は日本語と同じOKRAで、その語源はアフリカなのだとか。日本国内でも、鹿児島県、高知県、沖縄県、熊本県など、温暖な地域で栽培されています。

パワーUP!特有のねばねば成分

 オクラ特有のねばねば成分は、水溶性食物繊維の一種であるペクチンなどによるものです。胃の粘膜を保護し、腸内環境を整える効果があるといわれていますので、冷たいものの食べ過ぎや飲み過ぎ、夏バテなどで胃腸の調子が気になるときに、ぜひおすすめです。また、水溶性食物繊維は、糖の吸収を緩やかにして、食後血糖値の急激な上昇を抑える効果も期待されていますので、ダイエット中には特にうれしい食材です。ねばねば成分は水溶性であるため、今回ご紹介するレシピのように、オクラを刻み、だし汁などの水分に浸けておくと、ねばねば成分が溶け出し、ねばりがより強くなります。汁ごと食べるメニューで、ぜひお試しくださいね。
 また、オクラには、体内でビタミンAに変換されて粘膜や皮膚を健やかに保つ働きで知られ、抗酸化力にもすぐれたベータカロテンをはじめ、骨の健康に欠かせないカルシウム、体内の余分な塩分の排出を助けてくれるカリウムなども豊富に含まれています。

五角形じゃないオクラ、緑じゃないオクラも!?

 オクラといえば五角形の切り口がおなじみですが、もっと角の数が多い「ダビデの星」という品種や、沖縄や八丈島などには切り口が円形になる丸オクラという種類があります。また、鮮やかな赤紫色をした赤オクラや、うっすらと緑色をした白オクラなどもあります。なお、赤オクラの美しい色は、加熱すると緑色に変色してしまいますので、ぜひ生のままでお召し上がりくださいね。

おいしいオクラ選び方&保存法

 オクラを選ぶ際は、表面がうぶ毛でおおわれ、全体に緑色が濃く、黒ずみがなく、切り口がみずみずしく、大き過ぎないものがおすすめです。大きく育ち過ぎたものは、筋っぽい場合があります。また、5℃以下で保存すると低温障害を起こしますので、保存の際は新聞紙やポリ袋で包んでから冷蔵庫の野菜室へ入れましょう。調理の際、うぶ毛が気になる方は、塩で板ずりしてくださいね。加熱調理する場合は、オクラの食感を生かすため、加熱し過ぎないこともポイントです。


トロトロの汁が新食感!オクラと鰻の冷やし素麺

 炭水化物「そうめん」×たんぱく質「鰻」で夏バテに喝!ノドごしのよいトロトロ新食感が魅力のつゆは、オクラ特有のねばねば成分を存分に生かし、さっぱりとした梅風味に仕上げました。ちなみに、「鰻と梅はNG!」という食べ合わせ説に科学的な根拠はないそうですので、どうぞご心配なく!

作り方(2人分)
  1. オクラ10本は小口切りにし、市販のめんつゆ300mlに加えてよく混ぜ、とろみがでるまで30分ほど浸しておきます。(*生のオクラが苦手な方は、浸しておいた汁を一度加熱し、粗熱をとってから、冷蔵庫で冷やしてください。)
  2. ゆでた素麺を器に盛り、1をかけ、1センチ幅に切った鰻のかば焼き、縦切りにしたオクラ、種を抜いてたたいた梅干し1粒をのせ、梅肉を溶き混ぜながらいただきます。
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written by

堀 基子

/文・写真

野菜ソムリエ上級プロ。J Veganist。冷凍生活アドバイザー。アスリートフードマイスター3級。ベジフルビューティーセルフアドバイザー。ジュニア青果物ブランディングマイスター。アンチエイジング・プランナー。受験フードマイスター。第6回・第8回野菜ソムリエアワード銀賞受賞。