暦が9月に入っても、残暑厳しい日が続き、秋はもちろん冬の到来はまだまだ先…という気分ですね。では、夏に旬を迎える野菜の中で、名前に「冬」が付くのは?その答えは「冬瓜」です。7~9月にかけて最盛期を迎える冬瓜は、風通しのよい日陰なら冬まで保存できる日持ちのよさから、この名が付きました。
原産地は熱帯アジアといわれ、インドの伝承医学アーユルヴェーダでも利尿・解毒・解熱効果のある食材とされています。3世紀頃には中国へ伝わり、5世紀頃には日本へ伝来したようで、奈良時代の「正倉院文書」にも「冬瓜」の名が残っており、奈良時代に仏教とともに伝来したのではないかといわれています。冷蔵庫のない時代、保存のきく冬瓜は貴重な野菜として重宝されていましたが、現代と同様に大きな冬瓜を丸ごと使い切るのはなかなか大変だったようで、江戸時代には冬瓜を切り売りして財を成した冬瓜仁右衛門という人物の話も残っているそうです。ちなみに、国内の冬瓜の出荷量の第1位は沖縄県で、愛知県、岡山県、神奈川県と続きます。
表面の白い粉の正体は?
ウリ科トウガン属に分類される冬瓜は、近年よく見かける1~2kgほどのミニ冬瓜から、10kgを超える大きなものまで、サイズは様々です。縦長の形をした濃い緑色の「琉球種」が現在の主流で、つややかな表皮をしています。一方、完熟すると白い粉をふいたようになる丸型の「大丸冬瓜」のような種類もあります。ちなみに、この白い粉はブルームと呼ばれ、水分の蒸発を防ぐために植物が自ら分泌している天然の成分で、ブドウ、ブルーベリー、マンゴーなどの表皮にも見られます。他にも、各地の在来種、早生トウガン、長トウガン、小トウガン、台湾種、中国長トウガンなど様々な種類があります。
ビタミンCはミカン以上!ダイエットにも!!
冬瓜のビタミンC含有量は100g当たり39mgで、なんと温州ミカンよりも豊富です。また、90%以上が水分であるため、100g当たり16kcalと非常に低カロリーなうえに、冬瓜に含まれるサポニンという成分は、腸から吸収された糖が脂肪として蓄積されるのを防ぐ働きがあるといわれており、ダイエットにはピッタリな食材です。さらに、すぐれた利尿効果で知られ、冬瓜に含まれるカリウムは、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を助けてくれるため、むくみが気になる方や、血圧が気になる方にもおすすめです。
おいしい冬瓜の選び方&保存法
冬瓜を購入する際は、ずっしりと重く、緑色が濃く、表面に傷がないものを。カットしてある冬瓜は、断面がみずみずしく、真っ白なものを選ぶのがポイントです。購入後は風通しのよい冷暗所で保存します。包丁を入れると傷みやすくなるため、断面をラップで包んで冷蔵庫へ入れ、早めに食べきりましょう。使い残した場合は、食べやすい大きさに切り、食品用の密封ポリ袋に入れて冷凍保存しておくと、凍ったまま煮汁に入れて加熱調理すればよいので、とても便利です。生のままより火の通りが早いので、時短にもなります。
使い切れなかった冬瓜はスイーツに。電子レンジで作れる手軽さが魅力です。今回はレモン果汁を使いましたが、オレンジや柚子などの柑橘類、アルコールを飛ばしたワインで作っても美味です。
- 冬瓜200gは丸くくり抜き(1.5センチの角切りでもOK)、耐熱皿に並べ、はちみつ大さじ2を回しかけ、ラップをかけて、電子レンジ強で3~4分ほど加熱します。
- 粗熱がとれたら、食品用の密封ポリ袋に入れ、レモン果汁大さじ2を加えてよく混ぜ、空気を抜いて密封し、冷蔵庫で冷やします。召し上がる際に、レモンとミントを添えて。