菜果図録
注目度No.1のカラフル野菜! スイスチャード

 「野菜の栄養は色にあり」とよく耳にしますが、数ある野菜の中でもカラフルなのが、近年よく直売所などで見かけるスイスチャードです。赤、ピンク、オレンジ、黄色など色とりどりの茎や葉脈が、とりわけ人目を引きます。4月から10月にかけて収穫されるヒユ科フダンソウ属の葉野菜で、茎や葉脈が白い白茎種の「ふだんそう」の仲間です。欧米ではサラダとして使われることが多く、幼葉はベビーリーフにも使われています。ちなみに、濃い紫紅色の根菜「ビーツ」や、砂糖の原料となる「甜菜(てんさい)」も、フダンソウ属に分類されています。確かに、スイスチャード特有の香りは、同属のビーツや同じヒユ科のほうれんそうともよく似ています。

 原産は地中海沿岸といわれ、紀元前から栽培されていたようで、中国を経て日本へ伝わりました。江戸時代の「農業全書」によると、四季を通じて絶えずあることから、不断草の名になったのだとか。当時は葉が小さい在来種だったとされていますが、明治時代には葉が大きく茎の白い西洋種が、やがてカラフルなスイスチャードが登場。ふだんそうは「うまい菜」などの名称で全国各地で栽培されており、特に沖縄では伝統的農産物の島野菜の一つに数えられ、「ンスナバ―」の名で古くから愛されてきました。

カラフルな色に抗酸化作用が!

 スイスチャード特有のカラフルな色は、ベタレインという色素成分によるものです。ベタレインの中でも、ベタシアニンは赤紫色、ベタキサンチンは黄色を発色し、その含有量によってオレンジ色や赤などのカラフルな色が生まれます。このベタレインはポリフェノールの一種であるため、抗酸化力にすぐれています。
 また100g当たりのふだんそうの栄養価としては、ベタレインと同様にすぐれた抗酸化作用を持つベータカロテンは3700μgと小松菜よりも多く、貧血の予防に欠かせない鉄は3.6μgとほうれんそうの1.8倍も含まれており、体内の余分な塩分の排出を助けてくれるカリウムは1200 mgと野菜の中でもトップクラスです。
 ちなみに、スイスチャードやふだんそうには、体内でカルシウムと結合して腎臓結石や尿路結石の原因となるシュウ酸が多く含まれています。そこで予防策として、カルシウムの豊富な粉チーズ、ごま、ちりめんじゃこ、干しえび、かつお節などの食材を加え、一緒に食べることをおすすめします。すると、腎臓や尿路へ至る前にシュウ酸がカルシウムと結合し、そのまま大腸を経て排出されるからです。もしくは、切ってから下ゆですれば、水溶性のシュウ酸が溶け出すため、減らすことができます。

おいしいスイスチャードの選び方・保存法・調理のポイント!

 店頭で選ぶ際は、全体にみずみずしく、茎や葉脈の色が美しく、葉が濃く鮮やかな緑色のものを選びます。育ち過ぎた茎は硬いので、あまり長い茎ではなく、若いものを選びましょう。
 保存する場合は、ポリ袋などに入れ、立てた状態で冷蔵庫の野菜室へ。硬めに下ゆでして水気をしぼり、食べやすい大きさに切ってからラップに包み、冷凍保存してもOKです。
若い茎は生のままスティックサラダなどにすると食卓が華やぎます。硬い茎や葉を調理する際は、軽く塩を加えた湯で1~2分ほど下ゆでするのがポイントです。


スイスチャードのチョップドサラダ

 色とりどりのスイスチャードの茎を刻み、見た目にも楽しいサラダに。今回の材料以外にも、きゅうり、ラディッシュ、枝豆などを加えても、よく合います。


作り方(2人分)
  1. 細めのスイスチャードの茎5本とセロリ1本はよく洗い、水気をきって、1センチの長さに切ります。
  2. ミニトマトは1/4に、赤・黄パプリカ各1/4個とサラダチキン100gは1センチ角に切ります。
  3. オリーブオイル大さじ1、レモン果汁大さじ1、塩こしょう少々を合わせてドレッシングを作り、①と②を加えて和え、器に盛り、粉チーズ大さじ1をかけます。
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written by

堀 基子

/文・写真

野菜ソムリエ上級プロ。J Veganist。冷凍生活アドバイザー。アスリートフードマイスター3級。ベジフルビューティーセルフアドバイザー。ジュニア青果物ブランディングマイスター。アンチエイジング・プランナー。受験フードマイスター。第6回・第8回野菜ソムリエアワード銀賞受賞。