秋が深まり、樹木が赤や黄色に色づきはじめると、きのこがおいしい季節です。数あるきのこの中でも、モエギタケ科スギタケ属のなめこは日本原産といわれ、漢字では滑子と表記されます。9月から11月頃にかけてブナの倒木や切り株などに群生するものを食用にしていましたが、大正時代から原木栽培が始まったといわれ、第二次大戦後から現在の主流である菌床栽培が本格化。今では店頭に並ぶなめこのほとんどが年間を通して生産される菌床栽培です。
ちなみに、農林水産省発表の平成30年特用林産基礎資料によると、なめこ総生産量の約23,350トンはほぼ菌床栽培で、原木栽培はわずか約72トンしかありません。菌床栽培は新潟県、山形県、長野県など、原木栽培は山形県、岩手県、鳥取県、長野県、福島県などで行われています。希少な天然ものや原木栽培のなめこを見つけたら、ぜひ味わってみてくださいね。
水溶性食物繊維で腸活&免疫力UP!
食物繊維が豊富なきのこの仲間の中でも、特有のぬめりがあるなめこには、特に水溶性食物繊維が多く含まれています。100g当たりの水溶性食物繊維は1.0gで、しいたけやえのきたけの2倍以上です。水溶性食物繊維は腸内環境を整えるのに役立ち、糖質の吸収を緩やかにしたり、コレステロールの吸収を抑える働きなどでも注目されています。人の免疫細胞の6~7割が集まる腸内の環境を整えることは、免疫力を高めるためにとても大切です。新型コロナやインフルエンザが心配な季節だからこそ、なめこなど食物繊維が豊富な食材とともに、乳酸菌などを含む発酵食品を、ぜひ積極的にとりましょう。
選び方・保存法・調理のポイント
以前はカット済みの足切りなめこが主流でしたが、近年はしめじのように株が付いたままの株とりなめこもよく見かけるようになりました。選ぶ際は、かさが肉厚で粒の大きさがそろっているものがおすすめです。
冷蔵保存が可能な期間が2~3日程度と短いため、もっと長く保存するなら冷凍しましょう。足切りなめこはそのまま、株とりなめこは石づきを切り落としてほぐし、ジッパー付きポリ袋に入れ、空気を抜いて密封し、冷凍庫へ。3週間は保存できます。
なめこは生食できませんので、必ず加熱しましょう。封を開けて、ざるに入れ、さっと軽く水洗いしてから、熱湯を回しかけるか、短時間で加熱調理します。ぬめりが取れるほど洗うと、せっかくの栄養成分が流されてしまいますので、ご注意くださいね。
味噌汁やすまし汁、なめこおろし、和え物など、様々な楽しみ方ができるなめこ。今回は定番のなめこおろしを秋なすと組み合わせてみました。
定番のなめこおろしは、そのまま食べても美味ですが、焼いたなすと合わせて秋らしい一品に。水菜の代わりに、かいわれ菜、豆苗、青じそなどをのせても、よく合います。
- なす(小)2本は縦半分に切り、皮目に5ミリ幅で斜めに切り込みを入れ、オリーブオイルでソテーします。
- 株とりなめこ1/2パック分は、石づきを切り落とし、さっと水洗いし、熱湯を回しかけて水気を切ります。
- 大根4センチは皮をむいてすりおろし、水菜5本分は3センチの長さに切ります。
- 器に①を盛り、③の水菜と大根おろしをのせ、②をのせ、ぽん酢しょうゆ大さじ3(お好みでめんつゆでもOK)をかけます。