カレンダーが12月に入ったとたん、冬本番という気分になりますね。冬に旬を迎える数ある野菜の中でも、甘みを増しておいしくなるのが、湯豆腐などの薬味にも欠かせない、ねぎです。ねぎといえば、関東では長ねぎとも呼ばれる白ねぎ、関西では葉ねぎとも呼ばれる青ねぎが好まれます。今でこそ万能ねぎなどの青ねぎは全国区で知られる存在ですが、かつては関東ではねぎといえば白ねぎで、硬い青い部分は捨てるのが常識でした。その一方で、関西から九州にかけては青ねぎが主流となっています。
ねぎの生産が東西で大きく分かれた理由は、土壌と気候の違いにあります。関東平野は軟らかな赤土の関東ローム層で、地中深くに根を張る白ねぎの栽培に適しています。しかし、硬い花崗岩質の関西の土壌は、白ねぎが深く根を張ることができない一方、根の浅い青ねぎなら栽培条件にかなっています。また、冬の関東平野を強く吹き抜ける冷たい空っ風は、根を深く張る白ねぎなら耐えられますが、根が浅い青ねぎでは倒れてしまいます。西の青ねぎ・東の白ねぎという市場の背景には、こうした栽培条件の違いがあるのです。
ちなみに各地の青ねぎには、約千三百年の伝統を誇る京野菜の九条ねぎ、福岡のブランド野菜の博多万能ねぎ、大阪の伝統野菜の難波ねぎ、高知のやっこねぎ、広島の観音ねぎなど、様々な品種があります。
青ねぎと白ねぎでは栄養価にも大きな違いが!
地上で太陽の光を浴びて育つ青ねぎと、土中で育つ白ねぎは、風味の違いだけではなく、その栄養価にも違いがあります。青ねぎ100g当たりでみると、体内でビタミンAとなって粘膜や皮膚を健やかに保つ作用が期待され、抗酸化作用にもすぐれたベータカロテンは1500μgで、白ねぎの18倍以上。免疫力アップに欠かせないビタミンCは、温州みかんと同じ32mgで、白ねぎの2倍以上。出血時に血液を凝固する成分の生成に関わるビタミンKは110mgで、白ねぎの約14倍。骨の健康に大切なカルシウムは180mgで、白ねぎの2倍以上。腸内環境を整える働きで知られる食物繊維は3.2gで、白ねぎの約1.3倍。また、特有の香りを生み出すアリシンという成分も含まれており、豚肉や大豆製品に多く含まれるビタミンB1の吸収を高め、疲労回復に役立ちます。
選び方・保存法・調理のポイント
葉がピンとまっすぐに伸びていて、しおれたり枯れたりしておらず、美しく濃い緑色のものを選びます。
保存の際は、水で湿らせた新聞紙などで包み、根を下にして立てた状態で冷蔵庫の野菜室へ。使い切れないときは、小口切りにし、保存袋に入れて冷凍保存しておくと、そのまま薬味などに使えて便利です。
また、ねぎを大量に切ると涙が出やすくなりますが、青ねぎを冷蔵庫でよく冷やしておき、よく切れる包丁で、上から押しつぶすように切るのではなく、包丁の刃を滑らせるように切り、短時間で手早くカットすると刺激が和らぐそうです。
青ねぎの香りと辛み、ごまの風味が絶妙なハーモニー! 豆腐をはじめ、ゆでた野菜、焼き厚揚げ、白身魚のソテー、蒸し鶏、鶏のから揚げなどにかけたり、納豆と和えたり、炒飯の味付けに使用しても美味です。3~4日は冷蔵OKです。
- 青ねぎ1パックは、よく洗い、しっかりと水気をきり、3ミリ厚の小口切りにします。
- 清潔な食品用ジッパー付きポリ袋に、ごま油大さじ3と鶏がらスープの素大さじ1を入れ、よくなじませてから、①、白すりごま大さじ2、粗びきこしょうを入れ、袋の上から手で軽くもみ、よく混ぜ、空気を抜いて密封し、冷蔵庫に入れてなじませます。
- 器に豆腐を盛り、たっぷりと②をかけます。