口の中に初夏の風が吹き抜けるような爽やかな特有の香りと辛味、シャキシャキとした食感が魅力のクレソン。ステーキなどの付け合わせでおなじみのハーブの仲間で、アブラナ科オランダガラシ属に分類されます。原産地は中部ヨーロッパとされ、明治初期に外国人宣教師によって日本へ伝来しました。湯布院町など大分県内各地の隠れキリシタンの里と称される山深い渓流には、今も耶蘇芹(ヤソゼリ)と名付けられたクレソンが自生しています。
クレソンは繁殖力が強く、野生のものは湧水や小川などの水辺に群生し、英名ではウォータークレス(Watercress)と呼ばれます。3月から6月にかけて旬を迎える露地栽培ものの収穫量ナンバーワンは山梨県の291tで、栃木県90t、沖縄県53t、静岡県11tと続きます。一方、施設で通年栽培されるものは、栃木県の180tを筆頭に、大分県33t、静岡県23t、和歌山県20t、愛知県13tと続き、年間を通じて水温が変わらない湧水などを活用している施設もあります。
活性酸素を退治してくれる特有の辛味成分!
クレソン特有の辛味は、同じアブラナ科のワサビなどにも含まれているシニグリンいう成分によるもので、大根おろしのように細胞が壊されることでイソチオシアネートという成分に変化し、辛さを感じるようになります。そのため、クレソンも、生のまま噛むと、辛さを強く感じるのです。この機能性成分イソチオシアネートは強い抗酸化力で知られますが、熱に弱いため、抗酸化作用を期待するなら生のまま食べるのがおすすめです。逆に、辛味が苦手な方は、加熱すれば辛味が弱くなります。
また、クレソンは同じく辛味を持つかいわれ菜と比べると100gあたりで、抗酸化力にすぐれたベータカロテンは約1.5倍の2700μg、赤血球の生産を助ける葉酸は約1.5倍の150μg、骨の健康に役立つカルシウムは約2倍の110 mg、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を助けるカリウムは約3倍の330 mg、貧血予防に欠かせない鉄は約2倍の1.1 mgと、栄養価にすぐれた野菜であることが分かります。
クレソンの選び方・保存の裏技・調理のコツ!
購入の際は、葉の数が多く、緑色が濃く、香りが強く、茎が太過ぎず、余分なひげ根がないものを選びます。花が開いているものは茎が硬くなっている場合も。あまり日持ちしないため、購入後は1~2日で食べきるのがおすすめです。食べきれないときは、コップに水を入れて茎を挿し、乾燥しないようにポリ袋をかぶせて冷蔵庫へ入れます。水は毎日取り換えて、早めに食べ切りましょう。
クレソンに、同じアブラナ科の仲間のラディッシュ、グレープフルーツ、オイルサーディン、モッツァレラチーズを合わせたパワーサラダです。DHAやEPAが豊富なオイルサーディンを油ごと使いましたが、お好みで生ハムやスモークサーモンでも。その場合はドレッシングにはオリーブオイルをお使いください。
● | クレソン | 1束 |
● | ラディッシュ | 4個 |
● | グレープフルーツ | 1個 |
● | オイルサーディン | 1缶 |
● | モッツァレラチーズ | 1/2パック |
● | レモン果汁 | 大さじ2 |
● | ハーブソルト | 大さじ1 |
- クレソンはよく水洗いし、しっかりと水気を切り、食べやすい大きさにちぎります。ラディッシュは薄切りにします。グレープフルーツは皮をむき、薄皮をむいて果肉を取り出します。
- 皿に①のクレソン、ラディッシュ、グレープフルーツと、オイルサーディン、モッツァレラチーズを盛り付けます。
- オイルサーディンの缶に残った油に、レモン果汁とハーブソルトを加えてよく混ぜ、食べる直前に②にかけ、全体を混ぜていただきます。