9月から10月にかけて、秋なすが旬を迎えています。秋なすは皮が薄く、肉質のきめが細かく軟らかで、種が少なく、うま味が多いといわれています。インド東部が原産のなすは、奈良時代に日本へ伝来し、『東大寺正倉院文書』(750年)や平安時代の『延喜式』(928年)などにも記録が残っており、徳川家康が好んだといわれ、古くから日本人に親しまれてきた野菜です。
農林水産省が発表した令和2年産の夏秋なす収穫量の二大産地はいずれも北関東で、1位は群馬県20,800トン、2位は茨城県17,500トン。一方、冬春なすの収穫量ベストスリーは、1位が高知県37,900トン、2位は熊本県26,400トン、3位は福岡県13,400トンで、いずれも温暖な地域にシフト。年間を通じて生産されています。
なすは種類が豊富で、日本全国で100種類以上が栽培されています。形で大別すると、西日本や東北に多い長なす、「千両」など品種でおなじみの中長なす、九州を中心に栽培されている大長なす、伝統品種にも多い丸なす、よく漬物に使われる小丸なす、関東を主に栽培されていた卵型なす、大型の米なすなどがあり、水分の多い水なす、白なすや青なすなどの種類もあります。また、京都府の賀茂なす、大阪府の泉州水なす、長野県のていざなす、香川県の三豊なす、山形県の薄皮丸なす、山口県の萩たまげなす(田屋なす)、新潟県のやきなす、宮崎県の佐土原なすなど、各地で大切に栽培されている伝統的な地方品種も数多くあります。近年はイタリアなど海外の品種のなすもよく見かけます。
なすの栄養は皮にあり!
なすは9割以上が水分で、100g当たり18kcalと非常にカロリーが低く、ダイエット中には特におすすめの野菜です。なすの美しい紫紺色は、アントシアニン系の色素ナスニンによるものです。アントシアニンはブルーベリーなどにも含まれているポリフェノールの一種で、すぐれた抗酸化力を持つことが知られています。また100g当たり、体内の余分な塩分の排出を助けるカリウム220 mg、赤血球の生産を助けることから「造血のビタミン」とも呼ばれる葉酸は32μg、食物繊維も2.2g含まれています。
なすの選び方・保存法・調理のポイント!
店頭で選ぶ際は、皮に光沢と張りがあり、色ムラがなく、ガクの下が白く、ヘタの切り口が新鮮なものを。トゲがある品種の場合は、トゲがとがっているものを選びます。
保存する場合、茄子は寒さに弱く、5度以下で低温障害を起こして風味が損なわれてしまうため、新聞紙とポリ袋で二重に包んでから冷蔵庫の野菜室へ入れましょう。冷凍保存する場合は、ヘタとガクを除いて縦半分に切り、断面にぴったりとラップをかけ、食品用ジッパー付き保存袋に入れて冷凍庫へ。調理の際は、凍ったまま食べやすい大きさに切って使います。
調理時のポイントとしては、断面が空気に触れると黒ずむため、切ったらすぐに水にさらしてアクを抜きましょう。色よく仕上げたいときは、素揚げや油通ししておくか、表面に薄く油を塗っておくこと。加熱後はすぐにうちわなどであおいで、早く余熱を冷ますのも有効です。
また、なすを丸ごと電子レンジ加熱し、粗熱が取れてから食品用ジッパー付き保存袋に入れ、ポン酢しょうゆ、またはめんつゆ、おろししょうがを加えて冷凍しておくと、室温解凍するだけで手軽に煮浸しが楽しめます。
なすと相性のいいトマト、にんにく、オリーブオイルが香る一品。なす1本を丸ごと煮るので、野菜だけなのにボリューム感があり、大満足の食べごたえです。パクチーの代わりにパセリやイタリアンパセリなどを添えてもOKです。お好みで粉チーズを振っても美味です。
● | なす | 2本 |
● | 大玉トマト | 1個 |
● | たまねぎ | 1個 |
● | パプリカ(黄) | 1/2個 |
● | にんにく | 1片 |
● | オリーブオイル | 大さじ1 |
● | ハーブソルト | 大さじ1 |
● | パクチー | 適宜 |
- なすはヘタを切り落し、縦に切り込みを入れます。大玉トマトはざく切りにします。たまねぎ、にんにくは薄切りにします。パプリカは1センチ角に切ります。
- フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて中火にかけ、いい香りが立ってきたらなすを入れてフタをし、しんなりとするまで焼いて取り出します。次にたまねぎを炒め、油が回ったらトマトを加えて煮込みます。トマトが煮崩れたら①を戻し、パプリカを加えて火を通し、ハーブソルトで味を調えます。
- さらになすをのせ、切り込みに具材を詰め、パクチーを添えます。食べる際はナイフで切り、パクチーをのせて、お召し上がりください。