京都では「みず菜が並ぶようになると冬本番」といわれる「みず菜」。年間を通じて栽培されるようになりましたが、本来は冬から春にかけて旬を迎えます。「京の伝統野菜」の一つでもあり、古くから京都で栽培されてきたため「京菜」とも呼ばれています。水を使って栽培されていたことから「水菜」の名が付いたとの説もあり、細い葉柄がたくさん伸びる姿から「千筋京菜」、柊(ひいらぎ)のような葉の形から「柊菜」とも呼ばれています。
農林水産省が発表した令和2年産の水菜の収穫量を見ると、第1位は茨城県の22,500トンで、全国の収穫量43,800トンの半分以上を占めています。第2位は福岡県3,590トン、京都府は第3位で2,270トンとなっています。
みず菜と壬生菜は親戚筋!
みず菜は日本原産のアブラナ科アブラナ属の野菜です。一般的な「みず菜」の他に、生食用に小株栽培した「サラダ水菜」、大きな株に育つ「千筋京水菜」、茎に幅と厚みがある「広茎京菜」、茎が美しく色づいた「赤水菜」や「紫水菜」などの種類があります。また、葉に切れ込みがなく丸い「壬生菜」は、みず菜の突然変異から生まれたもので、京都の壬生寺周辺で栽培されていたことが名前の由来といわれ、ピリッとした辛みを生かした漬物は京都の名産品としても知られています。
みず菜の栄養学
みず菜の100g当たりの栄養価をチェックしてみると、ベータカロテンが1300μgも含まれていて、立派な緑黄色野菜であることが分かります。免疫力の維持に欠かせないビタミンCは55mg、造血のビタミンとも呼ばれる葉酸は140μg、骨の健康に欠かせないカルシウムは210mg、腸内環境を整えるのに役立つ水溶性食物繊維は0.6g、お通じをよくする働きが期待される不溶性食物繊維は2.4gと、いずれも小松菜よりも多く含まれています。
また、「赤水菜」や「紫水菜」の美しい茎の色は、ブルーベリーなどでおなじみのアントシアニンという天然の色素成分によるもので、すぐれた抗酸化力で知られています。
みず菜の選び方・保存法・調理のポイント!
購入の際は、葉が鮮やかな緑色で、みずみずしいものを選びます。葉の色が黄色っぽくなっているもの、葉がしなびているもの、茎が半透明になって傷みかけているもの、根元が傷んでいるものは避けましょう。
保存の際は、乾燥を防ぐため新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、根元を下にして立てた状態で冷蔵庫の野菜室へ。
京都生まれのみず菜は、京のおばんざいの定番「みず菜とお揚げの炊いたん」、かつて使われていた鯨肉を豚肉や鴨肉で代用するようになっても今なお愛され続けている大阪発祥の「はりはり鍋」など、数々の料理で人気を博してきました。ちなみに「はりはり」とは、みず菜のシャキシャキとした食感や見た目のみずみずしさを表現しているのだとか。みず菜のクセのない味わいは、煮物や鍋料理の他、お浸し、和え物、漬物、炒め物、サラダなど様々な料理によく合います。万能野菜みず菜、あなたはどんな風に楽しんでみたいですか?
みず菜とだいこんのシャキシャキとした歯ざわり、こんがり焼いた油揚げのサクサクとした食感が、美味しいハーモニーを奏でるサラダ。だいこんは繊維に沿って切ることで、水分が出にくくなり、より食感も楽しめます。手軽に作るならドレッシングはごま油+市販のポン酢しょうゆ+白ごまでもOKです。
● | みず菜 | 100g |
● | だいこん | 4cm分 |
● | 油揚げ | 1/2枚 |
<ドレッシング> | ||
● | 白ごま | 大さじ1 |
● | ごま油 | 小さじ2 |
● | しょうゆ | 小さじ1 |
● | みりん | 小さじ1 |
● | 酢 | 小さじ1 |
- だいこんは皮をむき、繊維に沿って縦に1cm幅の板状に切ってから、繊維に沿って薄い短冊切りにします。みず菜はよく洗い、しっかりと水気を切って、長さ4cmに切ります。
- 油揚げは長さ4cm×幅1cmに切り、フライパン(油は不要)に入れて弱めの中火にかけ、カリッとするまで焼きます。
- ①と②をさっと混ぜて器に盛り、ドレッシングの材料を合わせて回しかけ、全体をさっくりと混ぜれば完成です。