春の気配が待ち遠しいこの季節、旬を迎える野菜の一つがブロッコリーです。キャベツや白菜と同じアブラナ科に属し、原産地は地中海沿岸で、そのルーツはケールだといわれています。その歴史は古く、古代ローマの時代から食用とされ、15~16世紀頃にヨーロッパに広まり、19世紀にはアメリカへ伝わりました。日本へは明治時代に導入されましたが、本格的に栽培されるようになったのは1980年代から。今では定番野菜となり、2006年と2019年を比較すると、全国の収穫量も作付面積も14年間で約40%も増えており、ブロッコリーの人気の高まりを裏付けています。農林水産省が発表した令和2年産のブロッコリーの収穫量を見ると、第1位は北海道の29,500トン、第2位は埼玉県16,100トン、第3位は愛知県と香川県で15,700トンとなっています。
1株に約30000個ものつぼみ!
葉や根や実を食べる野菜が多い中、ブロッコリーは植物のどこを食べているのかというと、花蕾(からい)と呼ばれるつぼみの部分で、1株に約30000個ものつぼみが密集しています。なので、畑で収穫せずにおくと、菜の花のような花が咲きます。おなじみのブロッコリーの他、細い茎も美味なスティックブロッコリー、新芽の部分のブロッコリースプラウトなども人気です。
ブロッコリーの栄養学
すぐれた栄養価から「野菜の王様」とも称されるブロッコリー。100g当たりの栄養価は、免疫力の維持に欠かせないビタミンCが140mgと豊富です。抗酸化作用にすぐれたベータカロテンは900μg、造血のビタミンとも呼ばれる葉酸は220μg、止血のビタミンと例えられるビタミンKは210μg、腸内環境を整えるのに役立つ水溶性食物繊維は0.9g、お通じをよくする働きが期待される不溶性食物繊維は4.3gと、いずれもたっぷりと含まれています。特に注目したいのがタンパク質で、5.4gと野菜の中でもトップクラスです。 また、がん予防効果が期待される機能性成分スルフォラファンを含むことでも知られています。ちなみに、紫色を帯びている場合がありますが、それは寒さによって天然色素成分アントシアニンが生成されたためです。アントシアニンはすぐれた抗酸化力で知られるポリフェノールの一種ですが、紫の色は加熱調理すると消えてしまいます。
ブロッコリーの選び方・保存法・調理のポイント!
購入の際は、緑色が濃く、花蕾がこんもりとして、つぼみが小さく、すき間なく詰まったものを選びます。つぼみが黄色っぽくなっているもの、茎の切り口に空洞があるものは避けましょう。また、生のままでは日持ちしないため、できるだけ早く調理すること。長く保存するなら硬めにゆでて冷凍しましょう。
調理の前には、つぼみの中に虫やゴミが入り込んでいる場合があるので、ポリ袋に入れて水を注ぎ、軽く空気を抜いて密封し、ふり洗いします。切り落とした太い茎は捨ててしまいがちですが、中はとても甘くて美味ですから、硬い皮をむき、食べやすい大きさに切って、一緒に加熱調理してくださいね。
加熱の際は、小房に切ってたっぷりの湯でゆでると断面からビタミンCが流出しやすくなるため、蒸すのがおすすめです。小房に切ったものを耐熱皿に並べ、水を少々回しかけ、ラップをかけて電子レンジ加熱してもOK。600Wの電子レンジなら1株で3~4分が目安です。
ブロッコリーを大胆に縦にスライスし、断面を生かしました。にんにくしょうゆでも美味ですが、旬のブロッコリーの風味をより楽しめるよう、ハーブソルトであっさりと味を調えました。下に添えたパリパリチーズを砕いて一緒にお楽しみいただくと、味と食感のアクセントになります。パリパリチーズは1枚ずつ加熱するのがポイントです。
● | ブロッコリー | 1個 |
● | ミニトマト | 8個 |
● | オリーブオイル | 大さじ1 | ● | ハーブソルト | 小さじ2 |
● | 水 | 大さじ2 |
● | スライスチーズ | 2枚 |
- ブロッコリーの太い茎は硬い皮をむき、縦2枚に厚さ1.5センチに切ります(切り落した部分はサラダやスープなどに活用しましょう)。ミニトマトはヘタを取り除きます。
- フライパンにオリーブオイルを入れて火にかけ、①のブロッコリーとミニトマトを並べて中火で焼き、こんがりと焼き色がついたら裏返し、水を加えてフタをして3~4分ほど蒸し焼きにし、ハーブソルトをふります。
- オーブンペーパーにスライスチーズ1枚をのせ、電子レンジ(600W)で1分30秒加熱してパリパリにし、皿にのせ、②のブロッコリーとミニトマトを盛りつけます。