冬から早春にかけて旬を迎える、きんかん。金運を上げてくれる縁起のいい食材として、おせち料理に欠かせない存在でもあります。きんかんは中国原産で、江戸時代に「寧波(ねいは/にんぽう)きんかん」という品種が伝わったといわれ、今も代表的な品種として知られています。他にも球形の「丸きんかん」、長球形の「長きんかん」、大きめの「長寿きんかん」、種なしの「ぷちまる」などの種類があります。
農林水産省が発表した国内出荷量3470tのうち、第1位は宮崎県の約2443トンで、全国のおよそ7割を占めています。第2位は鹿児島県842トン、第3位は熊本県で約67トンで、この上位3県だけで国内生産量の95%以上を占めています(平成30年産特産果樹生産動態等調査より)。
宮崎県が誇るブランド完熟きんかん!
きんかんの中でも、とりわけ大きくて甘い「たまたま」をご存じですか。これは全国一の産地として名高い宮崎県で、大切に育てられた生食専用のブランド完熟きんかんです。数多くの果実の中から、傷のあるものや形のよくないものを手作業で摘み取り、選び抜かれたものだけを、ゆっくりと完熟させるのだとか。ハウス栽培で開花から210日以上を経過し、樹上で完熟させ、糖度16度以上で直径28mm(Lサイズ)以上の外観もすぐれたものだけに、完熟きんかん「たまたま」のブランド名を冠することが許されます。さらに、糖度18度以上で直径33mm(2Lサイズ)以上というスーパーエリートは、「たまたまエクセレント」として出荷されます。ちなみに、完熟きんかん「たまたま」には毎年、解禁日があり、2022年は1月13日でした。なお、大切に育てられたものの、規格から外れて「たまたま」になれなかったものは、「宮崎県産完熟きんかん」として店頭に並ぶそうです。
きんかんの栄養学
きんかん100g当たりの栄養価を見ると、抗酸化作用にすぐれ、免疫力の維持に役立ち、皮膚や粘膜を健やかに保つのに欠かせないコラーゲン生成に必要なビタミンCが49mgも含まれ、その量は温州みかんよりも豊富です。そして、ビタミンCの吸収を高め、毛細血管を強化する作用や抗アレルギー作用が期待されるポリフェノールの一種であるヘスペリジンという成分も含まれています。このヘスペリジンは柑橘類の果皮や白い筋に多く含まれるため、皮ごと食べられるきんかんは、とても効率よくヘスペリジンが摂取できるフルーツなのです。また、二型糖尿病のリスクを下げる効果、骨粗しょう症や動脈硬化を予防する働きなどで注目される天然色素β-クリプトキサンチンも含まれています。ところで、きんかんは古くからのどの痛みや咳止めに効くといわれてきましたが、実際に咳止め効果のあるシネフリンという成分が果皮に多く含まれています。きんかんのこれらの栄養価を最大限に生かすなら、皮ごと生で食べるのがおすすめです。ただし、人によっては、果皮に含まれるテレピンという成分の影響で、口の中がピリピリしたり、しびれる感じがすることも。有害な成分ではないので、そこで食べるのを止めれば大丈夫です。
きんかんの選び方・保存法・調理のポイント!
購入の際は、全体が濃い橙色で、果皮に傷が無く、張りとツヤがあり、ヘタの切り口が新鮮なものを選びましょう。保存する際は、乾燥を防ぐためポリ袋などに入れ、冷蔵庫へ。1~2週間は冷蔵OKです。
スモークサーモンにはよくレモンを添えますが、きんかんのフレッシュな風味とも相性バツグンです。今回はクリームチーズ、ディル、リーフレタスとともに、全粒粉のハードパンにのせましたが、お好みのパンやクラッカーにのせてお楽しみくださいね。
● | きんかん | 4個 |
● | リーフレタス | 2枚 |
● | スモークサーモン | 4枚 | ● | クリームチーズ | 100g |
● | ディル | 少々 |
● | ピンクペッパー | 8粒 |
● | 全粒粉ハードパン | 4切 |
- きんかんはよく洗って水気をふきとり、上下を切り落とし、3枚にスライスし、種を取り除きます。
- 全粒粉ハードパンはお好みで軽くトーストし、ちぎったリーフレタス、スモークサーモン、クリームチーズをのせ、ディルとピンクペッパーを添えます。