特有の爽やかな香りとシャキッとした歯ごたえが魅力のセロリ。ヨーロッパ、西南アジア、インドなどが原産地といわれ、古代ギリシャや古代ローマの時代から薬効のある野菜とされてきたのだとか。16~17世紀頃にヨーロッパで栽培が始まり、19世紀にはアメリカへ伝わりました。日本へは戦国時代の武将の加藤清正が朝鮮半島から東洋種のセロリを持ち帰ったという説があり、そこからセロリは「清正人参」とも呼ばれるようになったのだとも。江戸時代から明治にかけて西洋種も伝来しましたが、香りの強さからなかなか受け入れられず、ようやく定着したのは昭和50年代以降といいますから、日本人の舌になじむには時間を要したようです。
セロリの産地と仲間たち!
農林水産省が発表した国内出荷量28100トンのうち、第1位は長野県の11800トン。第2位は静岡県5470トン、第3位は福岡県で3150トン、第4位は愛知県で2690トンと続き、この上位4県だけで国内生産量の8割以上を占めています(令和2年産都道府県別出荷量より)。生産量ナンバーワンの長野県では5月から11月にかけて旬を迎え、静岡県や愛知県では11月から5月にかけてハウス栽培を中心に生産されているため、嬉しいことに年間を通じて国産セロリを入手できるのです。
葉が緑で香りが強いグリーンセロリ(緑色種)は、欧米で特に好まれ、「トップセラー」「ユタ」などの品種があり、おなじみのセロリより小ぶりなため「ミニセロリ」とも呼ばれます。一方、茎が白く、三つ葉のように細いホワイトセロリ(白色種)もあり、「ミニホワイト」などの品種があります。この2つの中間種がおなじみの薄緑色の茎をしたセロリで、「コーネル619」や、これを改良した「幸みどり」、諏訪独自の「諏訪3号」といった品種があります。また、ちょっと珍しいセロリの仲間としては、スープセロリとも呼ばれる東洋種の「キンサイ(芹菜)」、かぶのような根茎を食用とする「セロリアック(根セロリ)」、発芽後の苗の状態を食す「スプラウトセロリ(サラダセロリ)」などがあります。
セロリの栄養学
セロリ100g当たりの栄養価を見ると、体内の余分な塩分の排出に役立つカリウムが410 mgと比較的多く含まれています。また、骨の健康に欠かせないカルシウムは39mg、すぐれた抗酸化作用を持つベータカロテンは44μg、免疫力の維持に欠かせないビタミンCは7mg、造血のビタミンとも呼ばれる葉酸は29μg、腸内環境を整えるのに役立つ水溶性食物繊維は0.3g、お通じをよくする働きが期待される不溶性食物繊維は1.2g含まれています。
セロリ特有の香りは、気持ちを落ち着かせリラックスさせる働きで注目されるアピイン、リラックス効果に加え血流を促す働きがあるといわれるピラジン、デトックス効果が期待されるセダノライドなどの成分によるものです。セロリの葉や茎はその強い香りを生かし、パセリ、ローリエ、タイムなどとともに木綿糸で縛り、ブーケガルニと呼ばれる香味野菜やハーブの束にして、フランスの肉や魚の煮込み料理などで臭み取りと香り付けに使われることでも知られています。
セロリの選び方・保存法・調理のポイント!
葉がみずみずしく、切り口が新鮮で、筋がくっきりとしたものを選びます。保存の際は、葉と茎を切り離してポリ袋などに入れ、冷蔵庫の野菜室で保存し、2~3日以内に使い切りましょう。茎は薄切りに、葉は使いやすい大きさに切って冷凍しておくと、スープや炒め物にそのまま使えて便利です。
塩味とゴマの香りが、セロリ特有の爽やかな風味を引き立て、箸が進む一品です。セロリのシャキシャキとした食感を活かすため、ニンジンを先に炒め、セロリは後から加えるのがポイント。お弁当のおかずにもぴったりです。
● | セロリ | 2本 |
● | にんじん | 1/2本 |
● | オリーブオイル | 大さじ1 | ● | 白ごま | 大さじ1 |
● | 塩 | 小さじ1弱 |
● | ごま油 | 少々 |
- セロリの茎と、縦半分に切ったにんじんは、それぞれ斜めに薄く切ります。
- フライパンにオリーブオイルを熱し、にんじんを入れて中火で炒め、しんなりしてきたらセロリを加えて炒め合わせ、塩で味を調え、仕上げにごま油を振って香りづけし、白ごまを加えて全体を混ぜます。