炒め物の彩りなどに欠かせないキッチンの常備野菜、ピーマン。ハウス栽培のおかげで年間を通じて店頭に並んでいますが、露地栽培のものは5月から9月頃にかけて収穫期を迎えます。ピーマンという名前はフランス語の「piment(ピマン)」またはスペイン語の「pimiento(ピメント)」に由来するといわれ、英語では「green pepper(グリーンペッパー)」または「bell pepper(ベルペッパー)」と呼ばれます。
ピーマンは、とうがらしの甘味種を改良したもので、とうがらしは原産地の熱帯アメリカでは紀元前6500年頃には食べられていたそうです。このとうがらしの辛味種を大航海時代にコロンブスがヨーロッパへ持ち帰り、その後、品種改良されて甘味種のピーマンが誕生したとされています。日本へピーマンが伝わったのは明治時代ですが、広く普及したのは戦後になってから。農林水産省が発表した国内出荷量127400トンのうち、第1位は茨城県30600トン、第2位は宮崎県25400トン、第3位は高知県で12400トン、第4位は鹿児島県で11300トンと続き、上位3県だけ全国の出荷量の半分以上を占めています(令和2年産都道府県別出荷量より)。
体型別!?ピーマン分類
ピーマンはその形で大きく分類されます。一般的なピーマンはシシ型で、「京ひかり」「カリフォルニアワンダー」などの品種があります。大きく肉厚で甘みが強いパプリカ「フルーピー」「ワンダーベル」などはベル型に属します。糖度が高い「バナナピーマン」、緑ピーマンなのに苦味が少ない「こどもピーマン」とも呼ばれる「ピー太郎」、ししとうとパプリカから生まれた高知県産の「よさこいハニー」などは、細長い形が特徴でホルン型に分類されます。緑ピーマンでありながらパプリカのように大きく育つ「とんがりパワーピーマン」などのジャンボピーマンは長円筒型に属します。また、扁平でトマトのような形をした「トマピー」の愛称で知られるフルーツパプリカ「セニョリータ」のような個性的な品種もあります。
緑vs.赤!ピーマンの栄養学
ピーマンの仲間のパプリカが赤や黄色などカラフルであるのに対し、なぜおなじみのピーマンが緑色なのでしょうか。それは、完熟するより早く未熟な状態で収穫しているからです。そのため、特有の青臭さや苦味を感じやすいともいわれています。青臭さはピラジンという香り成分によるもので、血行を促す効果が期待されています。また、ポリフェノールの一種であるクエルシトリンという成分にピラジンが加わることで苦味を感じるといわれていますが、クエルシトリンは脂肪細胞の蓄積を抑えたり、血中の中性脂肪の上昇を抑える働きで注目されています。
ちなみに、緑色のピーマンを収穫せずに栽培を続けると、真っ赤に完熟します。するとビタミンCやベータカロテンの含有量は2倍以上に増え、甘味もグッと増えますが、日持ちしにくくなるため、あまり流通されないのです。なお、完熟ピーマンの赤い色は、抗酸化作用にすぐれたカプサンチンという色素成分によるものです。
ピーマン100g当たりの栄養価を緑ピーマンと完熟した赤ピーマンで比べてみると、すぐれた抗酸化作用を持つベータカロテンは緑400μg、赤940μg。免疫力の維持に欠かせないビタミンCは緑76mg、赤170mg。造血のビタミンとも呼ばれる葉酸は緑26μg、赤68μg赤と、ここまでは赤が優勢です。体内の余分な塩分の排出に役立つカリウムは緑190mg、赤210mgとほぼ互角。腸内環境を整えるのに役立つ食物繊維は緑2.3g、赤1.6gと、これは緑の勝ちでした。
ピーマンの選び方・保存法・調理のコツ!
濃い緑色でツヤがあり、全体にハリがあり、ヘタがピンとして切り口が新鮮なものを選びます。保存の際は、表面の水気を拭き取り、ポリ袋などに入れ、冷蔵庫の野菜室へ。冷凍する場合は、ヘタと種を除き、縦に細切りにし、ジッパー付き保存袋に入れて冷凍庫へ。凍ったままのピーマンが入った保存袋にめんつゆを注ぎ、空気を抜いて室温解凍し、かつをぶしをふるだけで、あっという間にシャキシャキ食感のおかか和えが楽しめます。また、冷凍すると苦味が和らぐため、お子さんにも食べやすくなりますので、ぜひお試しください。
パリッとしたピーマンの食感に、焼きねぎ味噌の香ばしさと塩気がよく合い、ついついビールが進みます。今回は焼きねぎ味噌をオーブントースターで焼きましたが、木べらにねぎ味噌を塗って直火であぶってもOKです。
● | ピーマン | 2個 |
● | 長ねぎ | 1/2本 |
● | 味噌 | 大さじ3 | ● | 黒糖 | 大さじ2 |
● | ごま油 | 小さじ1 |
- 長ねぎは端1センチほどを残して縦に2~3本ほど切れ目を入れ、手で束ねるように抑えながら、端から細かく切り、みじん切りにします。ピーマンは縦半分に切ってヘタと種を除き、氷水に漬けて冷蔵庫でよく冷やします。
- フライパンにごま油と長ねぎのみじん切りを入れて中火で炒め、しんなりしてきたら火を止め、味噌と黒糖を加え、木べらで混ぜながら弱火で軽く火を通します。
- アルミホイルに②を塗り広げ、オーブントースターでこんがりと焼き色がつくまで焼き、キンキンに冷やしたピーマンに添えます。