厳しい暑さが続いていますが、お元気でお過ごしでしょうか。夏バテで食欲がないときに、冷奴やそうめんに薬味として添えるだけで清涼感を添えてくれるのが、みょうがです。日本での歴史はとても古く、邪馬台国や卑弥呼について語られていることで有名な3世紀頃の書物「魏志倭人伝」にも、みょうが日本に存在したことが記されています。日本や中国が原産といわれ、英語ではJapanese gingerと呼ばれます。
2018年産の都道府県別出荷量をみると、国内総出荷量5376トンのうち、9割以上を占めているのが高知県で、ハウス栽培により年間を通じて安定した出荷量を保っています。また、和歌山県、奈良県、秋田県などでは主に露地栽培で生産されています。
みょうがの旬は年に3回!
おなじみのみょうがは、土の中の茎から出たつぼみの部分で、「花みょうが」とも呼ばれます。年間を通じて店頭に並んでいますが、本来の旬は6月から10月にかけて。7~8月にかけて出回るものは「夏みょうが」、9~10月にかけてのものは「秋みょうが」と呼ばれ、秋みょうがの方がふっくら大きく、色や香りもすぐれているといわれます。
また、3~5月にかけて収穫される若い茎は「みょうがたけ」と呼ばれます。光を当てないように土を盛って軟白栽培した後、軽く日光に当てて、ほんのりと薄紅色に色づかせるのだとか。生産者さんの手間がかかった、贅沢な春の味覚です。
夏みょうがは早生、秋みょうがは晩生に大別され、品種としては、群馬県倉渕地区で改良された「陣田早生」、長野県で改良された「諏訪1号」「諏訪2号」「諏訪3号」などがあります。
みょうがの栄養学
100g当たりの栄養価としては、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を助けてくれるカリウムが210mg含まれています。この美しい赤紫色は、すぐれた抗酸化作用で知られる天然の色素成分アントシアニンによるものです。また、特有の香りはαピネンという成分によるもので、集中力を高め、血行を促し、食欲を増進し、消化を促進するなどの効果があるといわれています。
ちなみに、「みょうがを食べ過ぎると馬鹿になる」といわれてきましたが、科学的根拠はありませんので、ご安心くださいね。お釈迦様の十大弟子の一人である周利槃特(しゅりはんどく)という人物が、自分の名を忘れるほど物忘れが激しく、その墓にみょうがが生えたことから、みょうがは物忘れするという伝承につながったようです。
みょうがの選び方、保存法、調理のコツ!
ふっくらと丸く、鮮やかな赤紫色で、表面にツヤがあるものを選びます。先端から花が見えるものや咲きかけたものは繊維が固くなっているので避けましょう。保存するときは、3~4日以内なら、ラップに包み、冷蔵庫の野菜室へ。もっと長く保存するなら、縦半分に切ってから小口切りにし、食品用密封袋に入れ、空気を抜いて冷凍すれば、凍ったまま薬味に使えます。刻んだ万能ねぎや大葉と合わせて冷凍しておくと、より美味しさが増し、彩りも美しいので、夏の食卓で重宝します。
みょうがの赤色と、きゅうりの緑色が、なんとも華やかで美しい野菜の棒ずし。今回は酢飯に白ごまを混ぜましたが、表面をはがした甘酢漬けのみょうがの残りを小口切りにして混ぜこんだり、甘酢漬けの甘酢でピンク色の酢飯にしたりと、アレンジも楽しめます。きゅうりも甘酢に漬けると、より酸味のあるさっぱりとした味に仕上がります。
● | みょうが | 4個 |
● | きゅうり | 1/2本 |
● | 酢 | 100ml | ● | 砂糖 | 大さじ3 |
● | 塩 | 小さじ1/2 |
● | 酢飯 | 米1合分 |
● | 白ごま | 小さじ2 |
- みょうがは根元を切り、赤紫色が濃い部分だけを破れないように一枚ずつはがし、熱湯に10秒くぐらせ、分量の酢と砂糖と塩小さじ1/3を合わせた甘酢に3時間以上漬けておきます(残りのみょうがは縦半分に切って一緒に甘酢漬けにしても可)。
- きゅうりはピーラーで縦に薄くスライスし、塩の残りを振っておきます。
- 白ごまを混ぜた酢飯の半分を、巻きすの上に置いたラップに広げ、巻いて棒状に形を整え、ラップを開いて①のみょうがと②のきゅうりをのせ、再び巻きすで巻いて棒状に形を整えます。2本目も同様に作り、表面の具材がなじむまで、30分ほど冷蔵庫で冷やしてから、包丁で切り分けます。