今年の冬至は12月22日。ゆず湯のためのゆずは用意しましたか。冬至の日にゆず湯に入ると、その冬は風邪を引かずに過ごせるといわれ、江戸時代から楽しまれてきました。
特有の爽やかな香りが魅力のゆずは、和食に欠かせないミカン科ミカン属の香酸柑橘の仲間です。原産地は中国の揚子江の上流とされ、日本へは奈良時代には伝来していたといわれています。
ゆずは数ある柑橘類の中でも耐寒性が強く、東北から九州まで全国各地で栽培されています。農林水産省が発表した2019年の特産果樹生産出荷実績調査によると、国内総出荷量およそ23191トンのうち、約半分にあたる12104トンが高知県で生産され、愛媛県、徳島県、鹿児島県、宮崎県と続きます。
夏の青ゆず、冬の黄ゆず
5月から6月かけて可憐な白い花を咲かせるゆず。7月から8月にかけて青玉とも呼ばれる未熟な青ゆずが収穫されます。その後、11月半ば頃から年末にかけて黄色く熟した黄ゆずが収穫のときを迎えます。ゆずは貯蔵性にすぐれているため、この時期に収穫された黄ゆずは春先まで店頭に並びます。
ゆずは大きく分けて3つの系統があります。まずは徳島県那賀郡木頭村で選抜された木頭系とも呼ばれる「本ゆず」。次に徳島県阿南市の山根氏によって選抜された、やや平たい形をした早期結実する「山根系」。そして、果実は小ぶりながらトゲが少ない種なしの「多田錦」です。また、1989年に愛媛県鬼北町の影浦氏が発見し、2013年に登録された、トゲがほとんどない「鬼北町の香里」という品種もあります。
ゆずの栄養学
ゆずは果汁だけではなく果皮も栄養価にすぐれています。100g当たりの栄養価では、体内でのコラーゲンの生成に役立つビタミンCは、果汁に40mg、果皮にはその4倍の160mgが含まれています。体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を助けてくれるカリウムは、果汁には210mg、果皮にも140mg含有されています。骨や歯の健康に欠かせないカルシウムは、果汁に20mg、果皮に41mg含まれます。骨の健康維持や免疫力を高める働きが期待される天然の色素成分ベータクリプトキサンチンは、果皮には440mg含まれています。
また、ゆずにはおよそ350種もの香り成分が含まれているといわれ、その約60%はレモンなどにも含まれるリモネンです。ゆず特有の爽やかな香りの決め手となるのがユズノンという成分ですが、ゆず1個に100万分の1ほどしか含まれていないのだそうです。
柚子の選び方、保存法、調理のコツ!
皮が硬くハリがあり、黒ずみや黒い斑点がなく、ヘタの切り口が新鮮なものを選びましょう。ゆずの木には鋭いトゲがたくさんあるため、風で揺られるとそのトゲで果皮に傷がつくことがありますが、味や香りにはほとんど影響はないのだとか。
保存の際は、乾燥しないようにポリ袋などに入れ、冷暗所や冷蔵庫の野菜室へ。もっと長く保存したいときは、皮を薄くむいて細く切り、天日干しにするか、食品用密封袋に入れ、空気を抜いて冷凍保存を。絞った果汁は、製氷皿を使って小分けして凍らせ、冷凍保存しておくと、少量ずつ使えるので便利です。
果汁を搾る際は、柚子を横半分に切り、皮を下にして断面に手のひらをかぶせ、そのままギュッと搾ります。この方法がもっとも香り成分を逃さないのだそうです。ぜひお試しくださいね。
ゆずの香りと甘酸っぱさがたまらない、おなじみの柚子大根。甘酒を使い、やさしい甘みに仕上げてみました。今回は、風味が濃厚な酒粕甘酒ではなく、クセのない米糀甘酒を使いましたが、甘酒の種類はお好みでどうぞ。まろやかな甘酒の風味が、ゆずの香りを引き立て、箸がとまらない美味しさです。
● | 大根 | 200g |
● | 塩 | 小さじ1 |
● | 柚子果汁 | 大さじ2 | ● | 甘酒 | 40g |
● | 砂糖 | 大さじ1強 |
● | 柚子の皮 | 適量 |
- 大根は拍子木切りにし、食品用保存袋に入れて塩をふって軽くもみ込み、空気を抜いて密封し、30分ほど皿などの重しをのせておきます。
- 柚子を皮ごとよく洗い、半分に切って果汁を搾り、皮は水気を拭き取って細い千切りにします。
- 袋に入れたまま①の水気をしっかりと絞り、袋に柚子の果汁、甘酒、柚子の皮を加えて混ぜ、空気を抜いて密封し、皿などの重しをのせて3時間以上漬ければ出来上がりです。