春の気配を感じたら、今年こそ初めてみたいのがキッチンガーデニング。まず1鉢育ててみるなら、爽やかな香りで料理がグッとお洒落にグレードアップするローズマリーがおすすめです。シソ科マンネンロウ属に分類されるローズマリーは、地中海沿岸が原産の常緑低木で、魔除けの聖木とされ、「若返りのハーブ」とも呼ばれ、古くから愛されてきました。その花言葉は、「記憶」「思い出」。脳をシャキッと目覚めさせてくれるようなスッキリとした香りのためか、古代ギリシャ時代には学生がローズマリーの花冠を頭にかぶせて学んだとも伝えられています。ちなみに、フランスの花言葉では「あなたに会うと幸せ」。ヨーロッパでは愛の象徴として結婚式のブーケに添えられるのだそうです。また、「追憶」「再生」という花言葉もあり、棺に添えられることも多く、エリザベス英女王の国葬の際、棺の上に置かれた花輪にもローズマリーが用いられていました。
ローズマリーはヨーロッパを中心に世界各国で生産されており、日本国内では、年間を通じてハーブが栽培できる沖縄県をはじめ、千葉県、三重県、茨城県などでも生産されています。
料理におすすめの種類は?
ローズマリーは世界中に数多くの品種や交雑種がありますが、大きく分けて、上に向かって枝が伸びる「立ち性」、地面をはうように成長する「ほふく性」、立ち性とほふく性の中間のような「半ほふく性」の3つに分類されます。香りが強く、料理に好まれるのは、イタリアのトスカーナ地方を中心に生産されている「立ち性」の代表的な品種である「トスカナブルー」と、濃いブルーの花が美しい「マリンブルー」です。「ほふく性」には「サンタバーバラ」「ダンシングウォーター」、「半ほふく性」には「モーツァルトブルー」「ウッドローズ」などの品種があります。品種によって異なりますが、11月から5月にかけての開花時期には、青色やピンク色がかった紫色や薄紫色の可愛い花が目を楽しませてくれます。
ローズマリー特有の香りの秘密
針葉樹を思わせる清涼感のある爽快な香りが、「森の香り」とも称されるローズマリー。その特有の香りは、防虫作用で知られる樟脳とも呼ばれるカンファ―、ティーツリーなどにも含まれる爽やかな香りが特徴のαピネン、ユーカリなどにも含まれる鼻に抜けるシネオールなどの芳香成分によるものです。
また、ローズマリーからその名がついたポリフェノールの一種であるロスマリン酸は、抗酸化作用や抗炎症作用が期待され、近年は健脳効果でも注目を集めています。
ローズマリーの選び方、保存法のコツ!
店頭に並ぶローズマリーを選ぶ際は、葉の緑色が鮮やかで、乾燥・変色しておらず、張りのある葉がしっかりとついたものを選びます。
保存の際は、数日なら、乾燥を防ぐため購入時のパックごとポリ袋に入れ、葉を上にして冷蔵庫の野菜室へ。また、グラスに水を入れて枝ごと挿しておくと、しばらくはフレッシュなローズマリーが楽しめます。水換えは毎日行うのがポイントです。しばらくすると、根元からひげ根が伸びてきますので、土に5センチ以上は埋まるように植木鉢やプランターに植えて育ててみるのもおすすめです。1カ月ほど保存する場合は、よく洗って水気を拭き取ったローズマリーを枝ごと、もしくは葉だけを摘んで、食品用保存袋に入れて密封し、冷凍庫へ。そのまま調理に使えるので、とても便利です。
甘くて美味しいけれど、重くなりがちな、さつまいも料理。ローズマリーを加えると、清涼な香りで、なんとも軽やかな仕上がりに。今回はさつまいもと沖縄産の紅いもを使いました。仕上げの塩と、ローズマリーの香りが、さつまいもの甘みを引き立て、カリッと揚がったローズマリーがとても美味で、手が止まらない一品です。
● | ローズマリー | 5本 |
● | さつまいも | 1本(約200g) |
● | 紅いも | 1本(約200g) | ● | 揚げ油(オリーブオイル) | 適宜 | ● | 塩 | 小さじ1/3 |
- さつまいもと紅いもは、きれいに洗い、皮つきのまま、斜めに輪切りにしてから拍子木切りにします。小ぶりないもの場合は、くし切りでもOKです。
- フライパンに①を並べ、室温のオリーブオイルをかぶる程度まで注ぎ、ローズマリー5枝を入れ、中火にかけます。ローズマリーは色よく揚がったら取り出しておきます。
- いもに竹串を刺してスッと通るまで中火で揚げて取り出し、塩とほぐしたローズマリー2本分の葉を振り、器に盛り、残りのローズマリー3本を添えます。