梅雨が明けたら、もうすぐ夏。ひんやり冷たいサラダが美味しい季節ですね。サラダを彩るトッピング野菜といえば、鮮やかな赤紫と白のコントラストが美しい赤たまねぎです。紫たまねぎ、レッドオニオンとも呼ばれ、1枚1枚の白い鱗葉の表面が鮮やかな赤紫色で、輪切りにすると年輪のように見えます。新たまねぎのようにみずみずしく、辛みが少ないので、サラダなどの生食に適しています。分類としては、おなじみの黄たまねぎと同様にユリ科ネギ属に分類されてきましたが、新たな分類体系(DNAの塩基配列を用いて推定された系統関係を反映しているAPGに基づく)ではヒガンバナ科ネギ属に分類されます。
国内で生産されている品種は意外と多く、今時期の5月下旬から6月上旬にかけて収穫されるのが、1961年に旧神奈川県園芸試験場で誕生した「湘南レッド」です。続いて8月から翌5月中旬まで出荷されるのが、1985年に品種登録された「アーリーレッド」で、その半分以上が北海道で生産されています。他にも、北海道の端野地区だけで栽培されている「くれない」、主に兵庫県で栽培されて5月中旬から6月下旬に収穫期を迎える「ルビールージュ」、タキイ種苗の「猩々赤(しょうじょうあか)」、松島交配の「甲高ルージュ」、岐阜農業試験場で育成されたとされる「岐阜レッド」、兵庫県で10月から収穫が始まるピンポン玉ほどの大きさの「ルビーオニオン」、ケルセチンを豊富に含む「クエルリッチ」や「さらさらレッド」など、様々な品種があります。
アントシアニンとケルセチンに注目!
赤たまねぎと黄たまねぎの栄養価を比較して見ると、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの含有量に大きな差はありませんが、ポリフェノールの一種であるアントシアニンとケルセチンの含有量は赤たまねぎに軍配が上がります。
まず赤たまねぎの美しい赤紫色の色素成分であるアントシアニンは、すぐれた抗酸化力で知られ、紫キャベツ、紫芋、赤じそ、なす、黒豆、黒ごま、ブルーベリー、いちごなどにも含まれています。しかし、黄たまねぎには含まれていません。
同様に高い抗酸化力で知られるケルセチンは、黄たまねぎにも含まれており、特に外皮に多いことが分かっています。赤たまねぎはこのケルセチンが豊富で、特にケルセチンの含有量が多い「クエルリッチ」などの新品種も開発されています。「クエルリッチ」の研究データによると、たまねぎの品種別ケルセチン含有量は、黄たまねぎの「Dr.ケルシー」と「スーパー北もみじ」がいずれも平均値0.58であったのに対し、「クエルリッチ」の平均値は0.74でした(北海道農業研究センター研究報告第192号より)。
また、赤たまねぎの香りと辛みは、黄たまねぎと同様にアリシンという成分によるものです。アリシンは、ビタミンB1の吸収率を高め、疲労回復を助ける働きが期待されますので、ビタミンB1を含む豚肉、鮭、豆腐などと一緒に食べるのがおすすめです。
赤たまねぎの選び方、保存法、調理のコツ!
店頭で選ぶ際は、表皮がしっかりと乾燥していて張りがあり、色鮮やかで、上部が締まっており、重みのある物を選びます。水分が多く、あまり日持ちしないため、購入後は早めに使い切りましょう。保存するなら、新聞紙などで包んでからポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。
赤たまねぎは辛みが少ないため、調理の際は水にさらさず、切った断面を空気に触れさせておくだけで辛みが抜けやすくなります。薄い輪切りにし、トレーや皿に広げて10分ほど空気に触れさせておき、食べてみてまだ辛かったら、さっと水で流し、しっかりと水気をきれば、そのままサラダなどの生食に使えます。
日持ちが短い赤たまねぎですが、マリネや酢漬けにすれば4~5日は冷蔵できます。そのまま食べるのはもちろん、サラダ、カルパッチョ、肉料理や焼き魚に添えてもよく合います。
● | 赤たまねぎ | 2個 |
● | レモン(皮ごと使うため無農薬がおすすめ) | 1個 |
● | 砂糖 | 大さじ3 |
● | 塩 | 小さじ1/2 |
- レモンは皮ごとよく洗い、中央部を5枚の薄切りにしてから4等分に切り、残りは果汁を搾ります。
- 赤たまねぎは縦半分に切ってから薄い輪切りにし、皿に広げて10分ほど空気にさらします。
- 食品用保存袋にレモン果汁、砂糖、塩を入れてよく混ぜ、①のレモンと②を入れて全体を混ぜ、空気を抜いて密封し、冷蔵庫へ。2時間ほどで味がなじみます。