猛暑が続くと、さすがに食欲が低下してきませんか。そんなとき、ぜひ食卓に取り入れて欲しいのが、栄養価にすぐれた夏野菜オクラです。アフリカ北東部が原産地とされるオクラは暑さに強く、農林水産省が発表した地域特産野菜生産状況調査の令和2年産の統計によれば、全国の収穫量12,000トンのうち、その4割以上を占めるのが鹿児島県の5,210トンで、高知県2,050トン、沖縄県1,060トン、熊本県806トンと続き、福岡県、宮崎県、愛知県、徳島県など温暖な地域を中心に全国各地で生産されています。ちなみに、オクラの英名は日本語と同じokraで、その語源は原産地アフリカに由来するのだそうです。
オクラの種類いろいろ
オクラの旬は6月から8月で、同じアオイ科のハイビスカスによく似た美しいクリーム色の花を咲かせ、花が落ちた後に成長する子房がオクラになります。
断面が五角形の五角莢種がおなじみですが、沖縄や八丈島には断面が円形の丸莢種もあります。また、断面の角が9~10個ほどある「ダビデの星」という品種もあります。「ダビデの星」は、その断面がイスラエルの国旗にも描かれている六芒星(Star of David)に似ていることから名付けられたといわれ、古くから受け継がれてきた伝統的なエアルーム(heirloom)品種とされています。さらには、定番の緑色だけではなく、鮮やかな赤紫色をした赤オクラや、うっすらと緑色をした白オクラなどもあります。赤オクラの美しい色は、赤たまねぎや紫にんじんなどにも含まれている天然の色素成分アントシアニンによるもので、加熱すると緑色に変色してしまいますから、ぜひ生のまま料理に使いましょう。
オクラの栄養学
オクラ100gあたりに含まれる栄養価は、体内でビタミンAとなって粘膜や皮膚を健やかに保つ働きで知られるベータカロテンが520μg、造血のビタミンとして知られる葉酸は110μg、止血のビタミンと呼ばれるビタミンKは66μg、骨の健康に欠かせないカルシウムは92mg、体内の余分な塩分の排出を助けるカリウムは280mg含まれています。ちなみに、オクラ特有の粘りは水溶性食物繊維の一種であるペクチンなどによるもので、食物繊維は5.0gと豊富に含まれていますから、腸内環境を整え、血糖値の急激な上昇を抑える働きも期待できます。粘り成分は水溶性なので、オクラを細かく刻むか、ミキサーやフードプロセッサーにかけてから、だし汁などに浸けておくと、水分の中に粘り成分が溶け出し、とろみがつきます。汁ごと食べる汁物やスープ、麺類の汁などのメニューで、ぜひお試しになってみてくださいね。
オクラの選び方、保存法、調理のコツ!
オクラを選ぶ際は、表面がうぶ毛でおおわれ、全体に緑色が濃く、黒ずみがなく、切り口が新鮮なものを。大きく育ち過ぎると筋っぽい場合があります。5℃以下で低温障害を起こすため、新聞紙などで包んでポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存し、4~5日以内に調理を。調理の際は、ヘタの先端部を切り落し、肩のガクの部分を包丁で1周むき、うぶ毛が気になるなら塩で板ずりします。この状態で冷凍すれば1カ月保存できます。小口切りの場合は、電子レンジで40秒ほど加熱してから冷凍すれば、使う際の解凍は不要です。加熱調理の際は、オクラの食感を生かすため、加熱し過ぎないのがポイントです。
オクラのネバネバ食感を生かした、飲むというより食べごたえのある冷製スープ。食事の最初に飲めば、オクラに含まれる豊富な食物繊維が食後血糖値の急上昇を抑えてくれる働きも期待できるため、ダイエット中の方や健康を気遣う方にぜひおすすめの1杯です。
● | オクラ | 6本 |
● | 完熟トマト | 2個 |
● | きゅうり | 1/2本 |
● | たまねぎ | 1/6個 |
● | パプリカ(赤) | 1/4個 |
● | レモン果汁 | 大さじ1 |
● | 塩 | 小さじ1/3 |
● | こしょう | 少々 |
● | オリーブオイル | 少々 |
- オクラは仕上げに飾る輪切りを取り分け、トマト、きゅうり、たまねぎ、パプリカとともにざく切りにします。
- オクラ以外の①の野菜、レモン果汁、塩、こしょうを15秒ほどミキサーにかけます。
- ②にオクラを加え、さらに15秒ほどミキサーにかけて、冷蔵庫で冷やしてからグラスに注ぎ、仕上げにお好みでオリーブオイルをたらし、オクラの輪切りを飾ります。