野菜ソムリエの思ひ出の味
お菓子コンテストで優勝した「ほうれん草のミルクレープ」

2015年5月27日UP
パティシエになる夢を実現させるための一歩として、この春、専門学校へ進学した。その原点となったのは、数年前に応募したお菓子コンテストであったように思う。

小学5年生の時、地元でお菓子コンテストが開催されることを知り、面白そうなので応募することにした。応募したレシピは「ほうれん草のミルクレープ」。ほうれん草は、ばあちゃんが栽培していることもあり、馴じみのある食材だ。旬になると根元まで甘く、またその鮮やかな緑色はお菓子の生地に混ぜると映えるのではないかと思い、食材として選んだ。

一次の書類審査は突破した。二次は、会場で皆が見ている前で調理をし、それを試食してもらう審査となる。本番で失敗しないよう、何度も何度も練習を重ねた。生地が分厚くなりすぎたり、薄くしすぎて穴があいたりと失敗も多かった。ばあちゃんには、ほうれん草のおいしい茹で方を教えてもらった。練習で作ったものを家族や友達にも食べてもらうと「ほうれん草の味がする!」「おいしい」と言ってもらえ、とても嬉しかった。

ミルクレープとは、クレープの間にクリームをはさみ、それを何層も重ねて作られたお菓子である。応募した「ほうれん草のミルクレープ」は、クレープ生地に茹でたほうれん草をペースト状にして混ぜ、彩りよく緑色のクレープにしたのがポイントだ。十数枚の緑色のクレープとカスタードクリームを何層も重ねて完成させた。

そして迎えた本番当日。練習の成果もあって優勝することが出来た。初めてのコンテストで緊張したものの、それ以上に楽しんで作ることが出来たことを覚えている。

このコンテストを機に、パティシエになるという将来の夢や野菜への気持ちが一層高まっていった。中学生になってから、ジュニア野菜ソムリエを受講。コンテストの時もそうだが、親が勧めてくれたことがきっかけだった。資格取得後は、野菜ソムリエコミュニティえひめに加入。幅広い年代の人と接することやコミュニティの活動を手伝うことで、新たなつながりや見聞の広がりができたように思う。そして、野菜の知識を深めるたびに、色々なお菓子への可能性を感じることもできた。もっと多くのことを学んで取り入れ、どんな人にもおいしく食べてもらえるお菓子を作るパティシエになりたいと思っている。

石川輝さんのプロフィール
愛媛県在住。ジュニア野菜ソムリエ。中学生の時に資格を取得。高校生になり、野菜ソムリエコミュニティえひめに加入。たくさんの野菜ソムリエ仲間とつながり、もっと野菜のことを知り、伝えていきたいと思っている。パティシエを目指し、この春、大阪府の専門学校へ進学した。

取材 / 文:野菜ソムリエ / ベジフルビューティーアドバイザー タナカトウコ