野菜ソムリエの思ひ出の味
杉本さん家の枝豆

2017年1月11日UP
 私は枝豆が大好きである。夏の暑い日、食欲がなくても気軽に食べられるのが、枝豆の魅力だ。さっとゆでて、塩で味付けしたものが一番豆の味を感じられるおいしい食べ方だと思う。サヤから豆を出して、市販のミックスビーンズなどと混ぜてお豆のサラダにしたり、かき揚げの具や料理の彩りにしたりもする。

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 杉本さんが栽培している枝豆と出会ったのは、4年前の夏だった。杉本さんは母の知り合いで、道の駅に野菜を出している農家さんである。恐らく、母が私のことを杉本さんへ話したのだろう。道の駅へ出している枝豆を直接分けてもらえることになったのだった。杉本さん家の枝豆は、今まで食べた枝豆に比べて味が濃く甘みがあり、いつまでも口の中に余韻が残る。テーブルに置いてあるとつい手が出てしまうおいしさで、食べ出したら止まらなくなる。
 品種は「濃姫」。黒豆系のためくすんだ緑色をしている。豆は大きく、サヤがふっくらとしていてみずみずしい。栽培は息子さんがされているのだそうだ。出来るだけ農薬は使わずに、収穫時期にも気を遣っているという。枝豆は足がはやく、時間が経つと味が変わってしまう。若い時は青々としているが、時間とともにどんどん黄みがかり大豆に近づいてしまうからだ。また、収穫する時間帯も味に影響するという。朝早くはうまみや甘みが強いが、昼から夜へと時間の経過にともなってうまみや甘みは低下していくのだそうだ。“旬のものを旬の時に作る”“自分も食べるのでおいしいものを作りたい”と杉本さんはいう。初めて食べた日以来、シーズンになると杉本さん家の枝豆は今や我が家の食卓にかかせない存在だ。

 18年前からバレエを習い始め、週2回のレッスンに通っている。ある日、間近で見たダンサーの体型に少しでも近づきたいと独自で食事調整をするも失敗。そんな時たまたま見ていたテレビ番組で野菜ソムリエという資格を知った。体にいい野菜をうまく活用して体調管理ができればいいなと思ったのが、野菜ソムリエ講座受講のきっかけだった。資格取得後は、野菜の選び方に気を配るようになり、毎日の食事に野菜を多く取り入れてバランスを意識するようになった。料理番組や本を見る機会も増えた。そして、バレエをしていることもあり興味のあったアスリートフードマイスター2級の資格取得にもつながったのだった。

 野菜ソムリエやアスリートフードマイスターの勉強を通じて、枝豆の小さな粒には栄養がたっぷり詰まっていることを知った。アスリートにとってはパワーフードでもあり、定期的に運動している私も、枝豆からたくさんのパワーをもらっていることに気がついた。枝豆に含まれる栄養素は、筋肉や骨・内臓など体の組織を作るたんぱく質、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1、ビタミンC・カリウム・鉄・食物繊維などだ。疲労回復やバテ防止にも効果がある。今では、好きだから、おいしいからというだけでなく、栄養素も意識して食べるようになった。
 今後は、生産者さんが心を込めて作った野菜や果物をまずは自分自身が楽しみ、そのおいしさを料理や言葉で表現して広めていく役割が果たせたらいいなとも思っている。

野畑朋枝さんのプロフィール
岐阜県在住。野菜ソムリエ。アスリートフードマイスター2級、アスリートボディケア・セルフトレーナー。「美味しく・楽しく~食事も大事なトレーニング~」を自身のテーマとし、イベントでのサポーターやコラム執筆など、資格を活かした活動を少しずつ積み重ねながら、食の大切さを伝えていきたいと日々勉強中。

※2017年1月10日より資格名称が変更しております。詳しくはこちら

取材 / 文:野菜ソムリエプロ / ベジフルビューティーアドバイザー タナカトウコ