取材ノート
「食べられない」を「食べられる」へ
「低カリウムレタス」の生産拠点を訪問!(後編)

2016年11月22日UP

低カリウムレタスがもたらす
「食べられない」を「食べられる」へ変えること。
それは、病気を持つ方に限ったことではなく、
野菜嫌いの方にも当てはまることでした。

後編は、いよいよ工場へ潜入します!
昭和飛行機工業株式会社の斉藤さんにご案内頂きました。

■まずはクリーンスーツ着用ですね。

斉藤さん:
はい、帽子をかぶり、クリーンスーツを着てください。
コロコロローラーで全身のほこりを取ったら、
手を洗浄して消毒し、手袋とマスクを装着します。
そちらの小部屋でエアシャワーを一定時間浴びたら、
目の前の扉が開錠され、工場内に入ることが出来ます。

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■精密工場のようですね(驚き!)

斉藤さん:
衛生管理はもちろん、金属探知機による異物混入防止など
安全性にはとても気をつかっていますよ。
さて、こちらが低カリウムレタスの生産現場です。

斉藤さん:
播種から収穫まで、約42日かかります。
順番に生産工程を紹介していきますね。


(1)播種
ウレタンの小さなくぼみに種を播きます。
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(2)発芽
2~3日程度で発芽します。
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(3)移植1
ウレタンを切り離しピンセットでカップに入れ、43穴のプレートに移植します。
この時、状態の悪いものは取り除いていきます。
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(4)育苗1
光を調整しながら、育苗します。
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(5)移植2
大きく育ったレタスを間隔の広い8穴のプレートに移植します。
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(6)育苗2
移植後、育苗します。
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(7)低カリ工程
カリウム成分を減らした槽に移動させて、育苗します。
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(8)収穫1
槽からプレートを順に引き上げていきます。
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(9)収穫2
レタスの根をはさみでカットしながら、収穫していきます。
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(10)トリミング
変色した外葉などを手作業で取り除きます。
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(11)包装
計量して仕分けた後、丁寧に包装します。
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(12)出荷
外気が工場内に侵入しないように小さな空間を使います。
工場側の小さな扉からレタスを入れて扉を締めた後、
外部の小さな扉を開けて取り出します。

斉藤さん:
では、いったん外に出ましょうか。

■工場内は、とても清々しく心地よい空間でしたね。

斉藤さん:
植物のために、適度な温度と湿度を設定。
人間にとっても快適な空間なんですよ。

■納得です!
 食味はどういう感じなのでしょうか?

斉藤さん:
さっき収穫したものです。どうぞ食べてみてください。

■わ!かなり甘いです。食感もパリッパリですね!
 これは、ドレッシングいらないですね。

白須さん:
硝酸態窒素やカリウムが減ることで苦みが抑えられているのでしょう。甘みを強く感じると思います。レタスのパリパリ感にもこだわっていますよ。
 
児玉さん:
味がしっかりしているので、レタスだけのサンドイッチとか、レタスだけを食パンで巻くロールサンドもおすすめですよ。
 
元々は、透析患者向けにつくった商品ですが、食味のよさと洗わずにそのまま食べられる便利さから、今では一般のお客様にもリピーターが増えてきました。
 
また、ドクターベジタブルは業務用筋でも人気が高まりつつあります。一般的な植物工場のレタスよりも、割高ではあるのですが、異物混入がなく洗浄コストがかからないことと、ロングライフで廃棄コストも抑えられることから、コンビニのサンドイッチなどにも利用が拡大してきています。

■昨今話題のフードロス対策にもなりますね。
 ところで、どのくらいロングライフなのですか?

児玉さん:
通常、露地野菜を使用したサンドイッチの賞味期限は24時間程度ですが、ドクターベジタブルのレタスを使用したサンドイッチは菌数の少なさから48時間程度に長く設定されています。一般販売している低カリウムレタスも、パッケージのまま冷蔵保存すれば、10日前後はシャキシャキのまま。これはクリーンな工場の内部でパッケージしてしまうので、レタスに付着している雑菌が少ない。つまり、野菜を傷める要素がほとんどないということです。

■10日前後も長持ちならば、常備野菜になりますね。

児玉さん:
高齢の方は毎日買い物に出るのは大変ですからね。「気が付いた時に新鮮なレタスが食べられる」と、好評です。また、清潔で食べ切りサイズ、そして無農薬栽培という点では「使いやすくて安全」と、働くママから支持されています。朝食やお弁当などにもちょうど良いサイズなんです。

■バーベキューなどにはパッケージのまま持って行って、
 食べる直前に封を開け、具を挟みながら楽しむというのもよさそうですね。
 ちょっと、豪快ではありますが(笑)

児玉さん:
ぜひ、やってみてください!(笑) サンドイッチは本当に簡単にできるし、野菜ソムリエさんだったら、もっと良いアイディアがあるかもしれませんね。

■児玉さん、白須さん、斉藤さん、
 貴重なお話をありがとうございました。

(筆者後日談)
早速、レタスだけサンドを試してみました。

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食パンには、マスタードとマヨネーズを軽くぬり、
ドクターベジタブル1パック分だけを豪快にサンド。
パリパリ感が小気味よく、期待を裏切らない味でした!

取材協力:
ドクターベジタブルジャパン株式会社 セールス・マーケティング本部 児玉 由美さん
http://www.drvegetable.jp/
昭和飛行機工業株式会社 白須 徹さん、斉藤 正隆さん
http://www.showa-aircraft.co.jp/

取材・撮影 / 文:野菜ソムリエ・ベジフルビューティーアドバイザー タナカトウコ