菜果図録
若い果実を野菜として食す 青パパイヤ

2015年9月2日UP
残暑厳しいこの季節、元気な姿で店頭に並ぶのは南国生まれの野菜たち。今回ご紹介する青パパイヤもその一つです。熱帯アメリカ原産のパパイヤはトロピカルフルーツとして知られていますが、アジアの国々や沖縄県では未熟果が野菜として扱われることから、別名・野菜パパイヤとも呼ばれています。国内では沖縄県を筆頭に鹿児島県などでも栽培されており、沖縄県では年間を通じて生産され、中でも7月から9月にかけて収穫のピークを迎えます。

青パパイヤ

青パパイヤ

フルーツのパパイヤには種がありますが、青パパイヤには種があるものとないものがあります。青パパイヤは雌株を中心に栽培されるため、受粉せずにできた果実が多いからなのだとか。青パパイヤ専用に改良された品種の他、トロピカルフルーツとして栽培される品種を青いうちに若採りする場合もあります。
栄養面での一番の注目株は、たんぱく質分解酵素の「パパイン」です。その力は非常に強く、肌が弱い方は調理で触れるだけでかぶれる場合もあるほど。汁物や煮物などを作る際、生のパパイヤと一緒に煮込めば、硬い肉も柔らかく仕上がります。生のまま食べるときは、必ず水にさらし、アク抜きをお忘れなく!

沖縄の家庭の味 パパイヤイリチー

沖縄の家庭の味 パパイヤイリチー

青パパイヤといえば、生のまま千切りにして食べる、タイ料理のソムタムサラダが有名ですね。国内のナンバーワン産地である沖縄県では、このパパイヤイリチーが家庭の食卓でおなじみの一品です。イリチーとは炒め煮のことで、にんじんシリシリーと同様、シリシリー器と呼ばれるスライサーで粗めの千切りにし、ニラ、にんじん、豚肉またはツナなどを加えて炒めます。今回は食感のアクセントに、きくらげも加えてみました。

作り方
青パパイヤ200 gとにんじん(小)1/2本はスライサーで粗めの千切りにし、ごま油大さじ1を熱したフライパンで炒める。しんなりとしてきたら千切りにしたきくらげ2枚分を加えて炒め、仕上げに4cmの長さに切ったニラ1/2束とツナを加えて炒め合わせ、塩こしょうで味を調える。

文/写真:野菜ソムリエ 堀基子