菜果図録
生産量はキング・オブ・きのこ! えのきたけ

 秋が旬の食材といえば、きのこ。しいたけ、ぶなしめじ、まいたけ、なめこ、エリンギなど数あるきのこの中でも、国内で一番多く生産されているのが、えのきたけです。全国で生産される食用きのこの約3割がえのきたけ、次がぶなしめじ、しいたけと続き、特になじみ深いきのこの一つだと思います。

 えのきたけはキシメジ科エノキタケ属に分類され、天然のものは榎(えのき)の切り株や枯れ木などを好み、11月から1月にかけて旬を迎えます。自然の中で育つ野生のえのきたけは、傘も柄も茶褐色で、おなじみの白い物とはまったく異なる姿をしています。白いえのきたけは昭和63年に登録されたM-50という純白系品種が日本初で、その後、人工栽培が広まり、今も店頭に並ぶほとんどが純白系品種です。近年では、天然のえのきの色に近い「ブラウンえのき」も見かけるようになりました。
 農林水産省が発表した令和3年の特用林産基礎資料によれば、北は北海道から南は沖縄県まで全国各地で生産されており、集荷販売実績の約13万トンのうち、群を抜く1位が長野県の約79000トンで全国の約6割を占め、2位が新潟県の約19400トン、3位が宮崎県の約5500トン、4位が福岡県の約4900トン、5位が長崎県の約3800トンと続きます。

鉢植えならぬ瓶育ち!?

 人工栽培のえのきたけが生産されるのは、衛生管理が徹底された栽培施設の中なので、特に旬はなく、年間を通じて生産されています。栽培には20センチほどの高さのプラスチックの瓶が使われます。トウモロコシの芯の粉や米ぬかなどをブレンドした培地をこの瓶に詰めて殺菌し、えのきたけの菌糸を植え付け、栽培に適した温度と湿度に設定された環境下で、菌を増殖させ、発芽させ、大切に育てるのだそうです。横に広がらせず、まっすぐスマートに育てるためには、瓶の上にケースを巻いて栽培するのだとか。ちなみに、私たちが入手するえのきたけの根元のギュッと締まった軸は瓶の中で育った部分、根元の汚れのようなものは培地の素材という訳です。

えのきたけの栄養学

 えのきたけは、他のきのこと同様にとても低カロリーですが、意外なほど栄養価にすぐれています。100g当たり、カルシウムの吸収を促進してくれるビタミンDはしいたけの3倍にあたる0.9μg、エネルギーの代謝に関わるビタミンであるナイアシンはしいたけの3倍にあたる6.8mgも含まれています。赤血球の生成に関わることから「造血のビタミン」とも呼ばれる葉酸は75μg、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を助けてくれるカリウムは340mgと、いずれもきのこ類の中ではトップレベルの含有量。腸内環境を整えてくれる食物繊維は3.9gと豊富で、血液をサラサラにする効果が期待できるグアニル酸、免疫力強化やコレステロール値の上昇を抑える効果で知られるβグルカン、ストレス軽減効果やリラックス効果で注目されるGABA(γ-アミノ酪酸)なども含まれています。

えのきたけの選び方、保存法、調理のコツ!

 全体が白く、軸が太く、傘が小さめで開き過ぎておらず、張りがあり締まっていて、袋の内側に水滴がついていないものを選びます。短期間の保存ならパッケージのまま立てて冷蔵庫の野菜室へ。冷凍なら1カ月保存可能なうえ、冷凍することでうまみ成分のグアニル酸が増えるので、一石二鳥です。冷凍の際は、食べやすい長さに切り、食べやすい大きさにカットし、食品用保存袋に平たく広げて入れ、空気を抜いて密封し、冷凍庫へ。凍ったまま調理に使えるのも便利です。ちなみに、調理の際に切り落すのは、汚れがついた硬い石づきだけでOK。ギュッと締まった軸の部分は、2センチほどの厚さに切ってバター焼きにしたり、細かく刻んで肉団子やハンバーグなどに混ぜたりすると、とても美味です。

えのきたけの洋風カリカリ焼き

 えのきたけに下味をつけ、片栗粉をまぶし、多めのオリーブオイルでカリカリに焼きました。しょうゆ風味のレシピが定番ですが、洋風にさっぱりと仕上げてみたら、ワインやビールにもよく合う美味しさに。お好みでレモンを搾っても。焼きたてカリカリを召し上がれ!

材料(1個分)
えのきたけ 1袋
イタリアンパセリ 1枝
オリーブオイル 大さじ3
片栗粉 大さじ2
大さじ2
おろしにんにく 小さじ1/2
2つまみ
こしょう 少々
作り方
  1. えのきたけは石づきを切り落してほぐします。
  2. 酒、塩、こしょう、粗く刻んだイタリアンパセリの葉を混ぜ、①を和えて下味をつけ、しんなりとしてきたら片栗粉をまぶします。
  3. フライパンにオリーブオイルとおろしにんにくを入れて中火にかけ、いい香りが立ってきたら②を並べ、カリッとするまで焼き、裏返して同様に焼きます。
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written by

堀 基子

/文・写真

野菜ソムリエ上級プロ。J Veganist。冷凍生活アドバイザー。アスリートフードマイスター3級。ベジフルビューティーセルフアドバイザー。ジュニア青果物ブランディングマイスター。アンチエイジング・プランナー。受験フードマイスター。第6回・第8回野菜ソムリエアワード銀賞受賞。