菜果図録
マスタードの父 和からしの母 からし菜

2017年2月22日UP
 冬から春へと季節が移りゆく12月から4月にかけて、からし菜が旬を迎えます。からし菜はキャベツやブロッコリーと同じアブラナ科に属し、その名の通り、ピリッとした辛みが特徴の葉野菜です。からし菜の仲間は意外と多く、漬物で知られる高菜、主に茎の肥大部を食べるザーサイ、生食できるマスタードグリーンや葉が赤いレッドマスタード、葉の付け根から出るわき芽を食べる博多蕾菜(つぼみな)などがあります。ちなみに、西洋のマスタードや日本の和からしは、からし菜の種子が原料となります。

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 からし菜には、粘膜や肌を健やかに保つ働きや抗酸化力が期待されるベータカロテンをはじめ、免疫力を高めるビタミンC、体内の余分な塩分の排出を促して血圧の上昇を抑える作用のあるカリウム、成長期や骨粗しょう症の予防に役立つカルシウム、胎児の健やかな成長に欠かせない葉酸などが含まれ、非常にヘルシーな野菜です。特有の辛みはアリルイソチオシアネートという成分によるもので、抗酸化作用や殺菌効果などで注目されています。
 大きく成長したものは硬く筋っぽい場合もあるため、選ぶ際は茎が太すぎず、小松菜やホウレンソウ程度のサイズのものを。葉が鮮やかな緑色でみずみずしく、張りのあるものを選ぶのがポイントです。あまり日持ちしないので、冷蔵するなら湿らせた新聞紙に包んでポリ袋に入れ、野菜室に立てて保存し、2日以内に調理しましょう。からし菜を伝統的な島野菜の一つに数える沖縄では、さっと塩もみして水気を絞ったものを「チキナー(漬け菜)」と呼び、豚肉やツナ、島豆腐などとチャンプルーにするのが定番です。ぜひ試してみてくださいね。

からし菜の肉みそ炒め

からし菜の肉みそ炒め

 ご飯のおともにはもちろん、お弁当のおかず、ふろふきダイコンや豆腐に添えてもよく合います。鶏ひき肉を使って、あっさりと仕上げました。豆板醤を加えてピリ辛仕上げにしても。

作り方
1)フライパンにごま油大さじ1を熱し、鶏ひき肉100g、おろしにんにく小さじ1、おろししょうが小さじ1を入れ、肉をほぐしながら中火で炒めます。肉の色が変わったら、2センチ幅に切ったからし菜1/2束を加えて炒め合わせます。
2)からし菜がしんなりしてきたら、フライパンの端を空け、みそとみりんを入れてよく溶かし、全体にからめます。
※豆板醤を入れるときは、1)の調味料と同じタイミングで加えてください。

文/写真:野菜ソムリエプロ 堀基子